長野で冬季オリンピックが開催されたのは、もう
20年も前になるんですね。


あの大会でのジャンプ団体で金メダルを手にした
日本チームの原田選手が「ふなき〜〜」と発した
あの言葉は印象に残っている方も多いと思いま
す。

その時、
「俺じゃない、みんなだよ、みんなだよ」
「みんな、カッコよかったでしょ」
とも仰っていらっしゃいましたが、
その「みんな」に込められた想いがありました。


原田選手の2回目のジャンプの直前にかなり強い風と雪が荒れ始め、競技続行か否かを委員会で検
討されていた時に、その時点で、1,2,3位につけて
いた国の委員は全員が中止を唱えたところ、日本
からの委員だけが続行を強く希望したそうです。


もし中止になると再戦はなく自動的に日本が4位
という状況でした。


その結果、“テストジャンパー”の位置に在る人た
ちが飛んで、安全確認が出来たら続行という結論
に至ったそうです。


そして、テストジャンパーが25人。


協議対象となるほどの強い風雪の中、誰ひとり転
倒することなく大ジャンプに等しいジャンプを成
し遂げ、続行に至りました。


その結果が、日本が逆転金メダル。


原田選手の「みんな」は一緒に飛んだチームメイ
トの他テストジャンパーたちへ向け......。

そして、
その時、装着していたグローブやアンダーウェアにも向けられた気持ちだったそうです。

グローブは団体から外れた葛西選手のグローブで
アンダーウェアは同じく団体から外れた西方さん
のものだったそう。


それだけでなく、奇跡みたいな偶然か必然か、前
大会で原田選手の失速でメダルを逃した時のチー
ムメンバーのひとりが西方選手で、しかも、長野
オリンピックではテストジャンパー25番目(最後
のジャンパー)でK点超えの見事なジャンプで原
田選手に繋いだということになります。


このお話を今朝、改めて聴いて、チームに入れず
とも同じ日本のチームを金メダルにもたらすため
に危険を顧みずの果敢な姿に涙が自然に流れてい
ました。


競技の中で仲間ではあっても
ライバルで過酷な競争の世界。


気持ちにも紆余曲折ある中、
蜘蛛の糸を掴むくらい繊細なモチベーションは
どの競技にもあり、
私たちの生活している中にも必ずあります。


素直に「おめでとう」と言えない時はあっても、
人を自分基準で嘲笑ったり、故意に下手な手で陥
れたりは、惨めな姿しか残りませんね。



来たる冬季オリンピックは、様々な問題が露呈し
ていますが、アスリート自身はもとより、審判や
環境もアスリートにとって納得行く大会であって
欲しいと切に願います。


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長文をお読みいただきまして有難うございました。