■控除を受けた人はまだ400万人強

民間の各種アンケートでは大体1~2割が「やったことがある」と答えるふるさと納税だが、その数字も高すぎる印象だ。なぜなら総務省発表の「ふるさと納税に関する現況調査結果」によると、ふるさと納税の制度下で実際に住民税が控除された人の数は今年406万人。日本の成人人口の4%に満たない。もちろん民間アンケートはもともと関心の高い人に聞いたなど「母数」の影響もあるだろう。それ以外に考えられるのが……。
 
「ふるさと納税はしても住民税の控除を受けなかった人の存在」(総務省の担当者)だ。どういうことか?
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だそうですが
 
内容は面白いんですが、どうも統計用語である「母数」を「分母」のかっこいい言い方だと勘違いしていて文章の意味が分かりづらくなってます
 
「母数」とは統計学者が求めてやまない「真の値」のことであり、統計学は「母数をいかに正確に推定するか?」という学問です
 
例えば
「日本人全体のふるさと納税した人率」を知りたいと思ったら「日本人全体のふるさと納税した人率」が母数(母比率)です
それを推定する手段として100人にアンケートを取るとすると、この100人は「標本(サンプル)」です
この「標本(サンプル)」100人のうち15人が「ふるさと納税した」と回答したら15%がやったことある人ですが、
この15/100という標本(サンプル)の結果から、母数(母比率)の95%信頼区間を推定すると
「日本人全体のふるさと納税した人率」は信頼係数95%で15%±7%(8%~22%)と計算できます
 
だから記事の
「もちろん民間アンケートはもともと関心の高い人に聞いたなど「母数」の影響もあるだろう。」は
「もちろん民間アンケートはもともと関心の高い人に聞いたなど「標本の偏り」の影響もあるだろう。」の
間違いです
 偏り(かたより)またはバイアス(英: bias)とは、統計学で2つの異なる意味に用いられる。
 1.標本の偏りとは、母集団の要素が標本として平等に選ばれていないと考えられる場合をいう。
 2.推定量の偏りとは、推定すべき量を何らかの理由で高く、または低く推定しすぎている場合をいう。

この「標本(サンプル)の値は真の値(母数)ではなく、真の値(母数)を推定する材料である」というのは統計学の根本となる概念なのに、このような誤用が日経のような大手で公開されるということは、現代投資の基礎となる統計学は一般的ではなく「統計屋」に希少価値があるんだなぁと思いました。
 
たった数回の試行(集中投資)で平均値(インデックス)を上回っただけで「確かな運用実績」と宣伝されて、信じちゃう人や
過去の市場環境(畑)と今後の市場環境(畑)は異なるのに同じ結果(同じ種から同様の作物)が得られると、信じちゃう人の
なんと多いことか、、、(;'∀')
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ちなみに
・アンケートでは大体1~2割が「やったことがある」と答えるふるさと納税
・実際に住民税が控除された人の数は今年406万人。日本の成人人口の4%に満たない
の理由を
・もともと関心の高い人に聞いたなど「標本の偏り」の影響
・「ふるさと納税はしても住民税の控除を受けなかった人の存在」
以外で考えると、住民税控除406万人を日本の「成人人口」で割るのではなく「フルタイム労働人口」で割るべきだと思いました
 
具体的に

 

 

・15~64歳人口は 7467万人
この時点で406万人/7467万人=5.4%で、既に「4%に満たない」ではありませんが、、、間違えて日本人口で割ってません?
 
成人女性の1/4が専業主婦、働いている成人女性の60%がパートタイムで住民税をほぼ払ってないとすると
・15~64歳のフルタイム労働人口は 4854万人
406万人/4854万人=8.4%
信頼係数95%で15%±7%(8%~22%)の範囲に入ってきて、「日本人全体のふるさと納税した人」と「実際に住民税が控除された人」の母比率に有意な差があるとは言えなくなります
、、、いや100人アンケートで15人は適当だけど(;'∀')