能「翁(おきな)」、 豊作を願う水の流れ!
「とうどうたらりたらりら。たらりあがりららりどう」
金沢能楽会、金沢市、石川県
 
 新春1月定例の能(金沢能楽会)は、8年連続の「翁(おきな)」。これは、神事の趣がある特別な能で、笛方は着座してすぐ「座着き」を吹く。小鼓方が準備する間、せかせかとした演奏ぶりで祈祷の開幕を告げる。
 
 シテの謡が始まる。「とうどうたらりたらりら。たらりあがりららりどう」。この後、千歳(せんざい)が、「鳴るは滝の水。日は照るとも絶えずとうたり。ありうどうどうどう」と謡う。哲学者梅原猛氏は、豊かな水流を連想する!
 
 このシテ謡に重ねて吹くのが、八調のユリ。「ウラーウラーウラウラウラーウ」と、ゆったり揺れる音が耳に残る。これも水の流れか!若い千歳が大地を踏みしめ、翁も天地人の拍子を踏んで舞う。笛はリズムを離れ、軽やかに、厳粛に舞を彩る。(北陸中日新聞、2018.12.8)
 
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能「翁」、「とうどうたらりたらりら」と謡い出すシテ(右から2人目)。笛も特殊な譜を吹く、石川県立能楽堂、金沢市、石川県、北陸中日新聞、2008.4.26
 
「翁」能(金剛流)、天下泰平・国土安穏・子孫繁栄・五穀豊穣 、
2013.8.10
 
(解説)「翁」能(別名、式三番)は、父尉(ちちのじょう)、翁、三番猿楽(三番叟、さんばそう)の3演目を指し、祭儀的で古風な様式を備えている。
 
  面そのものがご神体とみなされ、役者は舞台でそれぞれ父尉、白色尉(はくしきじょう)または肉色尉(にくしきじょう)、黒色尉(こくしきじょう)の面をつける。
 
 老体の神が祝福をもたらすという信仰に関係し、子孫繁栄、天下泰平、国土安穏、五穀豊穣を祈る。