熊谷守一、簡素な形態と明るい色彩の画風
没後40年、生きるよろこび 回顧展(東京国立近代美術館)、代表作 
 
 洋画家、熊谷守一(くまがいもりかず)、温かみのある、独自の画風は、戦後、70歳代に確立。単純化した形と明るい色彩で、猫や草花、虫、雨滴などの身近な生き物や自然を描いた。その絵は、ものを「純粋に見る」ことを突き詰めた。その回顧展が、東京国立近代美術館(東京、竹橋)、2017年12月1日(金)~2018年3月21日(水、祝)、で開かれている。
 
〇 猫
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猫、1965年〈85歳) 油彩、板 愛知県美術館 
木村定三コレクション
 
 熊谷が猫をスケッチしだしたのは1940年(60歳)代、それを油彩にし始めたのは1950年(70歳)代であった。熊谷は人に忠実な犬よりも気ままな猫を好んだ。
 
〇 稚魚
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稚魚、油彩、板、1958年〈78歳) 天童市美術館
 
 5匹の魚がいるようにも、一匹の魚がぐるぐる泳いでいる(異時同図)ようにも見える。暗い色の一匹は水の深い所にいることを表している。青と赤というの取り合わせにより魚がちらちら動いて見えて、それが生命線を生んでいる。1932年(昭和7年)から亡くなるまで住んだ家の庭には、自分が掘った大きな池があり、水や魚に関する作品も多い。

〇 雨滴
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雨滴、油彩、板、1961年(81歳) 愛知県美術館 
木村定三コレクション
 
 猫についでよく知られる代表作の一つで、水たまりに落ちて跳ねる雨粒を描く。画面全体が中間色の中で、水滴だけがぱっと白く、そのため白い部分がちらちら動いて見える。
 
〇 ハルシア菊
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ハルシア菊、1954年〈74歳)、油彩、板 愛知県美術館 
木村定三コレクション
 
 庭の植物と昆虫を描く。かたつむりは二重円のハルシア菊の花をまねるように体を丸めている。植物と昆虫を同じ命あるものとして見えてくる。
 
〇 熊谷守一
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熊谷守一(1880-1977)、91歳
 
 熊谷守一(くまがいもりかず、1880~1977)は、岐阜県生れ。東京美術学校、西洋画科卒。フォーヴィスム(野獣派、原色的色彩、奔放な筆触の太い
描線が特徴)を経て、簡素な形態と明るい色彩の画風となる。
 代表作、蠟燭(ろうそく)、陽の死んだ日、晩年は、猫、雨滴のほか、虫や花、果物などの作品。1967年(87歳)文化勲章を辞退。
 
〇 蝋燭
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蠟燭(ローソク)、1909年(29歳)  岐阜県美術館
 
 蝋燭をもつ自画像を描く。第3回文展に出品し褒状を受ける。
 
〇 陽の死んだ日
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陽の死んだ日、1928年〈48歳) 大原美術館
 
 次男の陽の死顔を描く。初期二科展に出品し、注目される。1922年(大正11年)、大江秀子と結婚。1928年(昭和3年)に次男、 陽(よう)を、1932年(昭和7年)に三女、 茜(あかね)を、1947年(昭和22)年に長女、萬(まん)を失くすなど、戦争をはさんで次々と家族の死に見舞われる。
 戦後は団体を離れ、、単純化された形と明るい色彩を特徴とする、独自の作風を築く。