「高齢者への帯状疱疹ワクチンの啓蒙」のテレビCMを見たことがあるかと思います

帯状疱疹=子供の時に感染する「水ぼうそう(ヘルペス・ウイルスの仲間)」です

一度、感染すると治ったように見えても、ウイルスが神経細胞の中に「潜伏」します

 

高齢になるとウイルスが再活性化されるために高齢者へのワクチンが推奨されている訳です

 

 

「小児期に感染⇒潜伏⇒加齢で再活性化」という経過はヘルペス・ウイルスに共通する特徴です。

他のヘルペスウイルスであるHSV(単純ヘルペス)やCMV(サイトメガロウイルス)でも見られます

 

サイトメガロウイルスもヘルペスの仲間で、我々は皆、子供の時に感染しますが多くは無症状なので臨床的には問題にはなりません。しかし「サイトメガロウイルスの再活性化」は「潰瘍性大腸炎の増悪」と関連があることが昔から有名です

 

そして2023年のCellに「高齢者皮膚のサイトメガロウイルスの再活性化」の興味深い報告がありました。

 

高齢になると皮膚の「老化細胞」でサイトメガロウイルスが再活性化する

⇒これを標的にして免疫系が活性される

⇒結果、老化細胞が除去されアンチエイジングになる

という報告です。

 

以下のように考察しています

(1)サイトメガロウイルスはアンチエイジングの観点からは「有益なウイルス」である(ウイルスと宿主の共存)

(2)サイトメガロウイルス・ワクチンが皮膚のアンチエイジングに使えるかもしれない

 

なぜ「老化細胞」では潜伏ウイルスが再活性化するか?など興味深い現象が多く「老化の医学」は面白いですね