2020年、おめでたいことが起る兆しの “気” が、あなたの玄関先に集まってきますように!

…という願いを込めて、年賀のご挨拶をば。

 

 

で、本編に入る前に、プロローグ的な小噺をはさんじゃいます。

引っぱりすぎてゴムが緩んじゃった鬼剣絡みの話しは、この後になるという ε=ε=ε=ε=ε=ε=

 

 

 

「あの者達は、なにゆえああやって本心を隠そうとするのじゃっ。

このままでは、あの時空だけ道を外れてしまうというのに。

ああ、まこと焦れったい」

 

ここ崑崙山の女主人、西王母はややご立腹の様子である。

天界の美しき最高仙女が指一本動かせば、枝で囀りを繰り返していた青鳥が慌ててやってくる。

 

 

娘娘(にゃーにゃー)、この青鳥にご用でしょうか?」

「東海の竜王に、この文を運んでおくれ。急ぎじゃ」

「かしこまりました、娘娘。超特急便で今から行って参ります」

 

「竜王はこういうことが苦手。それは承知の上じゃ。しかし、あの漢(おとこ)の守護神なら、策を講じねばなるまいて。下界は今真冬であろう? 温もりが恋しくなり、事が起こりやすいもの。いうなれば love affairじゃ。今朝、瑞気があがってきておるのを、其方も見たであろう? …見ておらぬのか?」

 

西王母がその美しい顔を枝に向けると、すでに青鳥の姿は消えていた。

 

「……もう発ったか。瑞気があがりきる前になんとかせねばならぬな。あの者に任せておいてよいものだろうか」

 


☆☆☆

 

ここは東海。天地を往来する霊獣、竜王の住まいである。しばらくの間留守をしていたが、今朝下界から瑞気があがるのを見て、急ぎ戻った。

 

「さて、どうするかだ。雪を降らせて閉じ込めるか、それとも雷を落として木を裂くか…」

 

 

「竜王、よかった…戻られたのですね。娘娘からの文を」

 

青鳥は崑崙山の使者。今朝の瑞気を西王母も感じ取ったに違いない。直ぐさま文面を読む。

 

「やはり、雪を降らせるしかないか…」

 

稲光を閉じ込めた玉の代わりに、竜王は銀花の玉を携えて天界へと舞い上がる。行き先は下界。チェ・ヨンとその想い人がいる場所に向かって、いくつもの時空を軽々と越えて行った。

 

 

 

☆☆☆

 

ところが…

その場所にはすでに瑞祥が現れており、降らせようとした雪も、軽やかに舞っている。

 

 

「こ、これはよもや…西王母が待ちきれずに術でもかけたのか?」

 

仙女がどこかに標を残していないかと、竜王は長い髭を動かして辺りを探ろうとすると…

 

「まさかの展開じゃ。其方と同じ名を持つ漢(おとこ)と、妾の女人の、自発的行為とはな」

 

 

その姿を白ギツネに変えた、西王母が現れた。

 

「やるときはやる、決めるときは決める、そういうことですかな。

…それにしても娘娘、その変身はいただけませぬぞ」

「何故じゃ? 美しい毛皮であろう?」

 

確かに純白でムクムクとしていて思わず触りたくなるが…

 

「娘娘、その種は北極にしか生息しない、その名も北極狐です。九尾なら未だしも…」

「九尾? その方が目立つではないか」

「なら、白兎にでもなればよかったものを…」

「兎…おお、それはおもわなんだ。次はそうしようか? いや駄目じゃ駄目じゃ。倭の国の書物、古事記によれば、ワニに毛をむしられた挙げ句、八十神に騙されて酷い目にあうらしい」

「ならば、リスとか」

「リスもよいが…竜王、そんなことより、これからの段取りをどう考える?」

 

二人の結び付きが確固たるものにならなければ、この時空に存在する高麗という国は、他の時空と同じ結末を辿ることになる。高麗の行く末は、チェ・ヨンと彼が天界で見つけたユ・ウンスの二人に掛かっているというのに。

 

「娘娘、急かしても躓くだけです。あの二人の出逢いはあくまでも運命。決して天命ではありませぬゆえ…」

「そうであった…暫くはそっと見守ろう。あの二人が離ればなれになったとしても、互いに想い合い、信じ合う気持ちを忘れぬよう、時には手をさしのべながら…」

「我らは守護神に過ぎませぬ。それがよろしいかと」

 

 

「ところで娘娘…その形には何の意味が?」

 

いつの間にか、雪面に見たこともない図形が描かれている。流石は最高位の仙女、霊力を使ったに違いない。

 

「想い合い、信じ合う心じゃ。このかたちこそが、すなわち信義なのだから ❤︎」

 

お後がよろしいようで…

 

 

 

今度こそ、本編へと続きます。

 

 

 

☆ いい加減都合の良い解説 ☆

 

西王母:王母娘娘(娘娘と書いてにゃーにゃーと読みます)とも九霊太妙亀山金母、太霊九光亀台金母、瑶池金母、金母、王母、西姥などと、たくさんの呼び名がありますが、ここでは西王母と。最高仙女なので、他の神仙などが西王母を呼ぶ場合は娘娘と。

なぜ西王母かというと、崑崙山が中原から見て西方にあったためだとか。

ある出来事により、ウンスの守護神になるのですが、その話はまだ書いていません💦

 

青鳥:西王母が宴を開くときに出す使い鳥ですが、やがては西王母の使者として、知らせや手紙を運ぶ使者という意味に格上げ?

 

竜王:天地を往来する霊獣であり、瑞祥の生きものだそうでして、五行説の東方・木行・青に当てはめてられる四神の一つがこの青龍です。今までこのブログでは竜神と呼んできましたが、改めて竜王に。チェ・ヨンのヨンは竜と同じ発音なので、勝手に守護神になってもらいました。

 

 

 

年末からすっかり飲み過ぎ食べ過ぎです…

朝からお屠蘇と雑煮ですから…

予め一人分ずつが重なってるおせち、おいしかった ❤︎ アワアワのお酒もね シャンパン