チェ・ヨンの実家での婚礼のため、はじめて屋敷を訪れたウンス
そこで知ったことは…

この話の後がアメンバー限定記事へと繋がります

先にupした限定記事、コメ蘭閉じているので、もし…もし…コメントをいただけるようなら…こちらにお願いいたします f(^ー^; お手柔らかに一つ…




北の故地を出立してから四日目の夕刻、二人はチョルウォンにあるチェ家本宅にやっと到着します
屋敷の門をくぐるのはヨンにとって実に17年ぶりのこと
その間の管理はすべてチェ尚宮が手腕を振るっておりました故、どの部屋もきちんとした設えで、不在の主をまっておりました

ウンスより少しだけ年上に見えるアジュンマは心得ている様子で、夕餉が終われば通いの者達は自分達の住まいへと早々に戻します

「ぼっちゃま、湯殿が整ってございます
大旦那様の部屋に必要なものを整えてございます故そちらにてお休みくださいませ 私どもは自室へ下がらせていただいてよろしいでしょうか?」



「ねえ、あのアジュンマさんキレイな人よね…若い頃はきっとすっごくモテたと思うわ…独身なの?」

「…」

なぜかなかなか答えようとしないチェ・ヨンに、じれたようにウンスが再度問いかけます

「んん? どうなの?」

「叔母上の話によれば…今は…寡婦のようです」

「そっか…
このお屋敷のことは叔母さまがすべてをご存じってね」

明るく答えてはみたものの、歯切れの悪いヨンの様子が気にかかり…

「ねえ、訳ありの人なのかしら?」

チェ・ヨンの顔が少し歪み…重い口を開きます

「…俺がチョゴルテに入る直前に叔母上が連れて参った
…俺の…その…房中の相手として…
チョゴルテに入るのならばその前に子孫を残してゆけと…」

「…よっ ヨン
じゃあ…その…はじめての?」

「イムジャ、違います!
俺は…そういうのは
それに…」

「それに?」

「チョゴルテの親爺殿が、俺にとってあの者は気を満たすのではなく削ぐものだと一目見てそう…」

「それで…あの人は…どうしてここに残ったの?」

「この辺りに屋敷を構える文官に見初められ、第二婦人になったということですが…その主人が亡くなり、戻って参ったと聞き及んでおります」

「ふ~ん…」

「イムジャ…納得がゆきませぬか?」

「うーん…この時代のそういう感覚がよくわからなくて…
わたしのいた時代では…身体を重ねるのは愛し合った者同士がすることだし…

もちろん妓楼のような場所もあるし、お金で女の人を買う男もいるわ
でも…」

でも…妻は一人よ…
ウンスは心の中でそう呟きました

この人はどうだったんだろう…
教科書にも載るような偉人…きっとこの先奥方だって二人、三人って…

気がつけば大粒の涙が頬をつたっております

「…イムジャ…どうされた?
泣いて…」

チェ・ヨンの指が大粒の涙を掬い、ウンスはゆっくりとその胸に抱きしめられます その確かな胸の鼓動がウンスの気持ちを落ち着かせました

「イムジャ…天界とは異なる習慣もここには数多くあるでしょう
だが、俺が一生側にいて欲しいと願うのは貴女だ
何度あきらめようとしても、手放すことができなかった…
離れてさえも側に感じ、愛おしかった…
俺のぱーとなーは…
生涯貴女一人と決めております…」

「うん…うん…わかってるから

…もう大丈夫

ねえ、ヨン…湯浴みにいってもいい?
今日もたくさんククアと走ったから少し汗をかいちゃった…」

☆☆☆

ウンス…
わかっていたはずよ…
ここに残るって決めた時からね

わたしはチェ・ヨンにどうしようもなく心惹かれた
そしてそんな自分がとても恐かった

オンマ、アッパ…わたし明後日ヨンと結婚するの…
信じられないでしょ?
「黄金を石ころのように思う人間となれ」
その家訓通りに生きたあの偉大な高麗の武士
そんなこと…信じろっていう方が無理よね…

もし…もしよ、私たちの間に子供が授からなければ…
あの人はどうするのかしら…
新しい人を迎える?
オンマ…わたし耐えられるのかな…って…

バシャバシャ!(ウンスが湯船をバシバシと叩いた音)

ええ~いままよ!
これってきっとあれよ あれ
マリッジブルー

私はどこの時代にいってもわたしなの
起こるかも、起こらないかも、そんな誰にもわからないことで悩むのは止め止め!

…あの人心配してるわね
わたしを待たせたくなくて、きっとまた外で身体を洗ってるわ

☆☆☆

イムジャ…
貴女を動揺させてしまった…

天界では一人の夫に一人の妻
それが当たり前のことだと以前話しておられた…

そして俺は…明後日の婚礼に来ることもかなわぬ貴女のご両親への償い方もわからぬままだ…
開京へ戻れば愛しい人を長く一人にしてしまうだろう…

だが、四年の月日が俺たちの結びつきをより強くしてくれた
イムジャ、貴女には医員としての、俺の妻としての未来がある

ユ・ウンス…俺はその道を共に歩もう

その輝く未来へ共に