このブログを始めて…気がついたら一月が過ぎていました
なんと…35回も更新ししてます
そのうちお話は33話…
思わずびっくりです!

それもこれも、ここを訪れてくださる方々がいらっしゃるからこそ!

記念と言うにはあまりに小さなことですが、わたしが書きたかったプランその1をupさせてください




「叔母上とスリバンの奴らに貴女が戻られたと知らせを出してあります
鳩がまじめに飛んで、早馬がサボらなければ…今頃は大騒ぎだろうな…」

チェ・ヨンは卓に肩肘をつき、気軽な様でウンスの顔を覗くとそう言った

二人一緒の夕餉を囲むのも、今日で三日目になる
ウンスはそれがうれしくて、ついつい頬がゆるんでしまい…

「イムジャ、さっきから何をクスクスと?」

「チェ・ヨンさんも随分と砕けた物言いをするようになったのね
前はもっと杓子定規だった…あなたとの距離が縮まったみたいでちょっとうれしいかも…」

「そのチェ・ヨンさんというの、止めてもらえませぬか
俺はそれを聞く度に貴女との間に距離を感じる…」

チェ・ヨンがわざと乱暴な言い方をすると、ウンスは更に、今度はコロコロと笑う

「わたしが笑ったのはね…思い出し笑いよ
それに今のあなたのその格好、マンボ姉弟のところでわたしのクッパぜーんぶ食べちゃった時とまるっきり同じだわ」

そう言うとウンスも片方の肘をついて、すっかり食べ終わった匙をわざと自分の口元にやる

「貴女は料理の腕を上げましたね
最初の駆け落ちのとき、空き家で食べたメシは生涯忘れらぬ味でした…」

それを聞いた途端ウンスの大きな目からスーッと一筋の涙がこぼれる

「イムジャ…泣かなくとも…今日のメシはうまいです…いや今日もうまいです
俺の言い方が不味かったのか…なあウンス…」

チェ・ヨンは慌てて椅子から立ち上がると座ったままのウンスを後ろからそっと抱きしめた

「…違うの…ちょっと思いだしたものだから…」

ウンスは肩にまわされた大きな手を上から小さく撫でるとポンと叩く

「話してはくれぬのか? 何を思いだしたのかを…俺に…」

チェ・ヨンはウンスの手を取ると、立ち上がらせて寝台へと誘う
ウンスはその肩にもたれると、静かに話し始めた…

「あなたが贈収賄の罪で投獄されたって、そう聞いた時、びっくりしたわ…
チャン先生が、もしもあなたが約束の場所に来なかったら戻ってこいって…
わたしその言葉にムキになったの
あなたは絶対にくるわよ、そう言って典医寺を飛び出した
約束の時間よりだいぶ早かったけど、あの場所であなたを待ったわ…
この先どうするかより、あなたが捕まったってことのほうが心配だった…
だってあなたのことだから、どうにかして来ると思ってたから
…でもそれは脱獄させちゃうことになるわけでしょ…

だからあなたを見た時、すっごくうれしかったけど、その分どうしたらいいのか…複雑な気持ちになっちゃった

そうしたらさ、あなたはわたしに微笑みながらこう言ったの
『待たせました』って…
まるで何事もなかったように…ね
わたしったらもう夢中であなたに向かって飛び込んだ…
この人がここにいる…そう思っただけで胸が一杯になったわ」

「あのときは…驚きました…
頭が真っ白になって…貴女を抱きしめたいのに…自分の腕が思うように動かなくなった…
イムジャ…貴女をはじめて腕に抱いて…その暖かさ、柔らかさ、貴女の香りに…俺は酔ったのです」

ウンスはその言葉に少し頬を染める

「あなたはなかなか離してくれなかったわ…
背伸びしてたから、わたしったら足が痙りそうになっちゃって…」

「よーく覚えております
どうやって口づけようかと、そう考えていたのに…
イムジャときたら…足が痙ったと泣き言を言われたのだ…」

『ウンス…俺は何より貴女がちゃんとそこで待っているかが気になって仕方がなかった
また糸が切れた凧のように、どこかに行ってしまわれるのではと…あのときはそればかり心配していたな…』

ウンスの頬に手をあてるとチェ・ヨンは今でも心配だといわんばかりにぎゅっと抱き寄せたのだった





続く…予定





【小甘ばなし】

「イムジャ、いつの間にのんのん、それで合ってますか?
…と仲良くなられたのですか?
今朝までとは明らかに空気が違う…」

ウンスが夕餉の支度をはじめると、ヨンはそう話しかけました

「そう見える? ならいいわ」

「俺がのんのんに焼きもちを焼くくらいに…」

「女同士ですもの…きっと心が通じるのねぇー」

思わずウンスの語尾が上がります

『イムジャのそういう言い方は…心に少し疚しいことがある時…
まあ、敢えて聞くまでもない…な…
俺は貴女が笑ってくれるのなら、それでいい…』

『ばれちゃったかしら…
でもあの子が嫌いなわけじゃない…
ヨンアとの間に割り込んでくるから…軽く逆手に取っただけ…

動物ってね、タンタンとかランランとか、二文字を繰り返す呼び名が心地よいものなのよね…
それに高くてやわらかい音色にも弱い…
で、このウンス様は考えたわけですよ

繰り返す言葉で、わたしの心に平安が訪れる、そんな名前をね

ノンノンはさ、フランス語で…
ダメダメっていう意味
小さな子がよくママンにそうやって叱られてる映画を見たことがあるわ…

ウフッ あの子ったら名前とクッションで簡単に籠絡されちゃって…

ちょっと可愛いところがあるのよね…』