米国出身のアーティスト、

ブルース・ナウマンの大規模個展が、

香港のアートセンター

『大館コンテンポラリー』

で開催されています。




 ブルース・ナウマンは、

20世紀後半以降の多くの芸術運動に

影響を与えたアーティストで、その作品は、

ポスト・ミニマリズムからパフォーマンス、

コンセプチュアル・アートへの転換を促し、

今日でも持続的な影響を残している。


 本展は、

ヴェネチアのパラゾ・グラッシ美術館

(ピノー・コレクション)の協力を得て、

ブルース・ナウマン・スタジオと共同で

企画されたもの。

2021年から22年にかけて同地の

プンタ・デラ・ドガーナで開催された

「Bruce Nauman: Contrapposto Studies」

展から着想を得ている。

 


 展覧会では、

ピノー・コレクションやフィラデルフィア

美術館の所蔵作品を中心に、テート、

ニューヨーク近代美術館、ディア芸術財団、

ソナベント・コレクション財団などから、

35点の作品を展示。

アーティストの60年にわたるキャリアを

横断しながら、その作品に一貫して内在する

基本的な要素を再考するものだ。


 例えば、ネオン作品

《真のアーティストは、神秘的な真実を

あかすことで世界を救う(窓あるいは

壁かけのサイン)》(1967)は、広告

サインとしてネオンの本来の工業的な

機能を利用したもので、開催地の香港の

文脈とも呼応する。

彫刻作品《動物のピラミッド》(1989)は

17体の実物大の剥製を12フィートの高さ

に積み上げた作品で、貴重な毛皮や角を

失った動物たちは、特徴のない、エイリアン
のようなものを連想させる。


 
 60年にわたり、

既成のジャンルの枠を打ち破り、新たな

地平を開拓してきたナウマン。

香港に行く機会があれば、ぜひ会場にて

その実践を目撃してほしい。

 

会期は8月18日まで。