これは2020年8月4日にAmebloに投稿した記事の"りばいばる"です。
さて前回のブログで長々とオランダ移住のメリットを書き連ねましたが、物事には表と裏、光と影が必ずと言っていい程存在するものです。
ということで早速いってみましょう。
●オランダ移住のデメリット(by 英語できない手に職もないパパ版)
☆その1 言語が違う
これはデメリットというカテゴリーとは少しニュアンスが違うかもしれませんが、当然オランダでは日本語は通じません。
オランダの公用語(国語)はオランダ語なのですが、オランダ人は世界でもトップクラスに英語が上手いとも言われており、もちろん個人差はあれど義務教育で9割近い人が英語を話すことが出来るようになるとかで、オランダ人は最低2言語が話せるということですが、メインはオランダ語なので、小学校、役所、税務署、銀行やその他諸々の生活周りの書類等は全てオランダ語ですし、各種ウェブサイトもオランダ語がメインです。
オランダ語はアルファベットで構成されているものの、やはり英語とは異なるので、Google翻訳などの文明の利器が随分発達したとは言え、短時間で深くまで理解するのは難しいです。
例えば、何かしらの税金の支払いなどの書類が正しく理解出来ず、何の税金なのか?期日はいつまでなのか?そもそも合っているのか?よく分からなくて不安になったり、払わなくてよい支払いをしてしまったりする場合などもあります。(返金してもらう作業も発生し、いつになるかもマチマチです。)
また、公共交通機関などのアナウンスなども基本的にオランダ語なので、急に運休になったりしても、どうしたらいいのか分からないという事態になることもしばしばあります。
しかし、そもそもオランダは200を越える国からの移民で構成されており、皆が言語が違うという前提の元、社会が成り立っているので、あらゆる局面で言語が通じない外国人に対して皆優しい印象ではあります。
ですが、やはり長期で住まわせてもらうなら、オランダ語を学ぶ姿勢というものが大事だと思います。
☆その2 仕事がうまくいくか未知
これはメリット側の仕事の可能性の逆バージョン。しかも日本だろうとどこであろうと同じことが言えると思います。
個人事業主としてゼロから仕事を生み出し継続していくということは、なかなかハードルが高いのは当然です。
ましてや先の言語の問題に加え、文化や習慣の違いなどで、異国の地では日本では考えられないトラブルなどにも見舞われる確率が高いと言えます。
店舗ビジネス等は、なかなか進まない内装工事や近隣住人からの苦情などで、予定のスケジュール通りいくことの方が稀でしょうし、図面通りではないという理由から三ヵ月間も営業停止を食らった飲食店の話も耳にします。
人を雇うにしてもこのご時世人を集めるのは大変ですし、現地人であれば文化や常識や価値観に仕事の捉え方自体日本人とは大きく違うのでお互いの歩み寄りに時間を要するでしょう。
金銭的にはもちろん、精神的にも削られることは覚悟の上で、それでも商売を軌道に乗せられれば、希少な経験を積むことにも繋がるでしょうが、苦労の度合いは想像以上かもしれません。
☆その3 日本食が乏しい
オランダには日本でお馴染みのおにぎり、お弁当、パスタ、そば、うどん、カレー、ラーメン、牛丼、インスタント食品、惣菜パン、あったかい肉まん、おでんなどなどが置いてあるようなコンビニやファーストフード店はありません。
ごく一部の地域の日本食材店や専門店などで、高めの価格でおにぎりやお弁当や日本食材を手に入れることは可能ですが、ちょっとランチで久しぶりに日本食を堪能しようと思うと、お弁当は安くて一つ10ユーロ(1ユーロ150円の場合、約1,500円)ラーメンは一杯安くて12ユーロ(約1,800〜1,900円)から。定食は飲み物と合わせて20ユーロ(約3,000円)なんて当たり前ですし、郊外にいくと日本食なんて簡単には手に入りません。
なのでもっぱら外にいる時のランチは、スーパーのパンコーナー等で適当に買ったり、サービスエリアのサンドウィッチ、パニーニやクロケット(コロッケ)バーガーキング、マクドナルドなどをローテーションして、遠く離れた日本のバラエティに富んだランチに想いを馳せるのです(笑)
最近ではこだわらなければかなりの数の日本食が手に入りやすくなりましたし、日本人経営の日本食レストランなども増えたので、たまの贅沢に日本食を堪能したり、毎日和食を食べることも可能ですので、デメリットにはならなくなって来ましたが、種類の豊富さで言うと日本に到底及びません。
☆その4 日本のTV番組が見れない
TV離れが進んだ現在ではデメリットでもなんでもないでしょうが、思い切りTVっ子だった僕はオランダ移住する際にかなり後ろ髪を引っ張られたことの一つでした(笑)
そもそも日本とオランダのTV事情が全然違うので、日本の様な芸人さんが出まくりのバラエティみたいな番組はオランダでは皆無です。
無類のお笑い好きの僕(妻も)は毎年年末に漫才日本一を決めるM-1や、キングオブコントやR-1などの賞レースをなるべくリアルタイムで観るのが人生の楽しみの一つでもあったのですが、それがままならなくなるということは、海外移住を諦めるのに充分な要素となり得るぐらい大きなことでした(笑)が、実際にはYoutubeなど便利な時代で、がんばれば何かしらネットで動画が見れますし、日本のTV番組をそのままリモートで観られるハードディスクや中国製のチューナーや、TVerなど何とでもなりますし、一番の変化は日本のTVを観なくても何とも思わなくなりました。
人間は環境によって変化するということを体現しましたし、日本の、影響力が強いのに商業的に偏り過ぎているTVのあり方に疑問を感じる程にもなりました。
そういった「気付き」という部分でメリットかもしれません(笑)
☆その5 教育のあり方
こちらもメリットの方でも書きましたが、オランダの初等教育は日本の様な偏差値や受験や塾や夏休みの宿題がない世界ということで、小学生にとって天国のようにも思いますが、一方でバリバリの学歴社会だとも言われています。
この辺りのことはまた別の機会に書くことにしますが、ざっくり言うと「自己責任」という感じでしょうか。
たまに宿題が出ても「いついつまでに提出しないといけない」という概念ではなく、宿題をやった方がいいと思うならやり、やらなくてもいい、もしくはやりたくないならそれはそれで提出しなくても何らペナルティはないという感じです。
あくまで自分で考えて行動する。
その結果、やはり勉強をがんばった人はより人生の選択肢が広がり、がんばらなかった人はそれ相応というのはどこの世界でも、どのジャンルにも共通することかもしれません。
日本の横並びで強制的に押し上げて行き、どんな状況でも平均的に対応出来る大人になっていけるシステムの方がある意味優しいともとれるのかもしれません。
☆その6 その他細々
他にも、学校に広い運動場がない、プールがない、運動会みゃ音楽会もない、未だにシラミ検査がある、時々街角でマリファナの臭いがする、交通違反が厳し過ぎる、日本への交通費と時間がかかる(これはしょうがないw)などなど、改めて書き出してみると、これは正に表裏一体、光と影。
それぞれの立場で見るとメリットはデメリットでもあり、デメリットはメリットでもあるということに他ならないということが浮き彫りになりました。
何度も何度もしつこいですが、これはあくまでオランダ移住4年足らずの英語できない手に職もない46歳の5姉妹のパパで、おっちゃんでもある私の目線ですし、ほんの一部切り取っただけという側面もありますので、ご参考までになさって下さい。
よろしくお願い致します。
日本への交通費と時間に関しては、ロシアウクライナ問題もあり、更に日本が遠くなってしまいました。
実際に我々も体験しましたが、年齢的にも親の死に目に会うのが困難という問題もデメリットに加えようと思います。