「盲目的な恋」の章と「盲目的な友情」の章の2部構成。
前者は、大学のオーケストラ部に所属する、眉目秀麗なお嬢様“蘭花”の、まさに「盲目的な恋」の話で、
彼女と同じオケ部に所属する、重度の容姿コンプレックスをかかえてそれをこじらせてきた“留利絵”の、蘭花への「盲目的な友情」の話。
同じ時、同じ出来事を、それぞれの視点で描かれています。
以下、若干のネタバレを含みます
恋のパートは、美形で紳士で、将来を約束された蘭花の恋人が、色恋沙汰で転落して豹変、やばいヤツになっていくんだけど、彼への「盲目的な恋」で蘭花は彼から離れられず…
という、わりとありがちな話。
…なのでぶっちゃけ、最初の方はあまり進まなかったです
最後、あ…そういうことか…と思いきや、
次の「盲目的な友情」のラストでそれもひっくり返り、おいおいおい、ピュアガールの純愛ストーリーかと思ったら腹黒いなコイツ…冒頭ではよくまあそんな殊勝なことぬかせたな
って感じでしたw
友情パートは…
私もたいがい、容姿コンプレックス強めのこじらせ女子なのですが、
留利絵のこじらせ具合と、蘭花への執着はさすがに共感できない異常さでもはやホラー
…なんだけど…
うん、共感はしないしこういう経験があったわけじゃないんだけど、
なんだろう、この自分事として傷つく感じ…
男子から、キラキラした女の子たちと一線を引かれる感じ(他の女子たちは名前(+ちゃん)、自分は苗字)、
その区別された線の向こう側で笑う女子たち
男子からの女子人気投票に、そもそもエントリー?すらされない感じ
それを見た女の子(←この女の子は見ても笑ったり含みのあることは言わず、ただ「こんなことするなんてサイテー」って言うだけなんだけど)
揶揄したり、女子をランキングしたりする男子だけでなく、
「選ばれた」女の子たち(彼女たちには何もされなくても、言われなくても)に黒い感情が湧く感じ…
「選ばれない」惨めさ…
もちろん、男子から線を引かれるのは、容姿そのものだけじゃなく、容姿を気にしすぎるあまり卑屈になったり意固地になったりしている内面も相俟っているのだけど(むしろそっちのが大きい)
そういう経験があるわけではないのに、
なにこのわかりみ。エグい。つき刺さる。
ただ昔から、陽キャ、一軍=顔が可愛い子 とは限らなくて、その辺も上手く描かれてたなと思う…
まあ本筋はそこではなく、「選ばれない」女子の、「選ばれし特別な存在」への異常な執着を、募らせ拗らせ歪ませまくった末路…で、
その結末が、第一部(と第二部の途中)では、あ、ついにそうしちゃったのね…
と思わせといて、第二部、ラストのラストで、え、そっち!?
っていう…
面白かったんだけど、1つ言っていいですか?w
“女の敵は女” “女が一番怖い” って言うけど、それがテーマみたいになっているけど、まあその通りかもだけど、
茂実(蘭花の恋人)の最後だって直接の原因は自分(男)だし、留利絵のコンプレックスの根幹だって、結局は男のせいじゃないか!?
今時男同士の友情だって、河原で殴り合って喧嘩して、最後は肩抱き合って笑う、みたいなん無いでしょうよ!
