隆弘side



俺たち6人は授業がないときはほとんど会うっていうくらい同じ時を過ごすことが多くなった。


俺自身は…未だに祈との関係を終わらせることもできず、時間だけが過ぎていった…



宇野ちゃんの存在はきっとどんどん大きくなってきている…それなのに気持ちに背を向け気づかない振りをする…そんな毎日。




そんな中、「大学といえばサークルだろ」という日高の一声により、なぜかテニスサークルに入ることに…

サッカーをやりたかった俺と真司郎の声は女子達にかき消され(笑)

運動音痴な宇野ちゃんでも遊びながらできそうなテニスサークルに入ることになった。
何やら表向きテニスメインだけど、休日にはドライブにでかけたり、登山したり、バーベキューしたり…冬になればスキー合宿があるというバラエティに富んだサークルのようで。

サークル活動に情熱を燃やす顧問に、はっちゃけた先輩達となかなか賑やかな面々に囲まれ充実した日々を過ごしていた。










テニスコート



直   ほい!次は男女分かれてじゃんけんね。それぞれ番号つけて同じ番号どうしペアになれ~。試合するぞ~。




実   はぁ~…



直   ん?どうした宇野?



実   だって直也先輩…私と組む男の子可哀想じゃないですか?いっつもこの時間は憂鬱で…



直   ははっ。そんなことか?大丈夫だよ。みんなお前と組んで嫌がるようなやなやつか?


実   それはないです!でも…



直   みんなちゃんとフォローしてくれる。お前はボレーをたまにぶちかましてやればいいんだよ。この間の俺の腹直撃のボレーはすごい破壊力だったぞ?(笑)



実   もう、先輩!!



直   ははっ。その調子だよ。ほら、女子も集まってるから行ってこい。



実   …はい!ありがとうございます。



円になって待つ女子メンバーのもとへ走る実彩子。










真   直也先輩ってほんといい人やな~。フォローの仕方がうまいわ。おまけにソフトの学年主席。こんな出来た人おるんやな。


日   あぁ。ほんとにな。ありゃ、女子がキャーキャー騒ぐわな。



直   おい!ほらじゃんけんするぞー。




日真隆   ほーい!













じゃんけんの結果、実彩子は真司郎と組むことに。




実   真司郎ごめんね…また私と組むハメに…


真   何言ってんねん(笑)実彩子前の方でちょこちょこ動いてるの見るのおもしろいねん。


実   え~!いっつもそんなふうに見てたの⁈ひど~っ。



真   いいやんいいやん。一生懸命でかわいいって言ってるんやで?


実   はいはい。いつもありがたいお言葉ありがとうございます(笑)
ぷっ。


真   なんやねん~(笑)







2人の様子を遠くから見ている千晃と隆弘。

「ねえねえ、千晃ちゃん。」



先輩が話しかけてくる。


千   なんですか?


「あの2人って仲いいよね~。付き合ってるの?」


千   それはないですよ~(笑)だって真ちゃん今彼女いるはずたし。


「へえ~。そうなんだ。いっつも楽しそうにしてるし、宇野ちゃんはともかく、與くんは宇野ちゃんのこと好きなのかと思ってた」


千   ああ、真ちゃん誰にでもあんな感じですから(笑)


「そっか。勘違いか(笑)…っと、次私の番だ!ありがとね!」




隆   …



千   真ちゃんと宇野ちゃんがね~。ないでしょ?まず(笑)




隆   …そうかな…



千   にっしー?



隆   ん?なんでもないよ。ほら、俺らも行くぞ!



千   あ、うん!







ーーーーーーーーーー


日   あ~今日も頑張った~。これぞ大学生って感じだよな!



実   もう…みんなは運動できるからいいけど、私ほんとついてくの大変なんだから…


千   いやいや、宇野ちゃん。今日もボレーは光ってたよ?私怖かったんだけど(笑)



隆   あのボレーは脅威だ…何より宇野ちゃんの目が殺気だってて…


実   にっしーったら!もうっ!私真剣にやってたんだから!




隆弘の腕をポコポコ叩く実彩子。



隆   分かってるって(笑)ちょ、宇野ちゃん痛いから!



実   もう、にっしーのばかっ!



隆   あははっ。いたっ、痛いって宇野ちゃん(笑)







日   まーた始まったよ(笑)



千   ね~(笑)



真   お、もうこんな時間やん。俺これから用事あんねん。先行くな?



千   何々?愛しの彼女さんとデートですか??


真   愛しのって….



千   照れなくてもいいから♡


真   いや、ほんまに…




日   ?



真   …ほな、また明日な。



実   あ、真司郎またね~。


隆   またな。




真   おう。






歩きだす真司郎。



少し歩いた後歩みをとめ、さっきまでいた方向に目を向ける。




真司郎の瞳にうつるのは、隆弘と実彩子が楽しそうに話をする姿。




真   …






ーーーーーーーーーー




隆   じゃ、帰ろうか。


実   うん。千晃家遠いから送って…



秀   よう!お疲れ!


日   あれ?秀太じゃん。今日来れねえって。

秀   ああ。やんなきゃならない課題があって今までかかった。お前らもう終わる頃かと思ってさ。

千晃帰るんだろ?送るよ。


千   え?




日   (ぼそっ)そういうことね。


隆   だな。

実   ふふ。




秀   いや?


千   ううん!…ありがと。





秀   よし。じゃ、俺ら行くから。またな。

千   また明日ね~。



実   うん、ばいばい。




微妙な距離を保ちつつ、並んで帰る2人。





隆   さ、俺らも帰ろうぜ。


実   そだね。


日   あ、俺研究室に忘れもの。先帰ってて。気をつけて帰れよ~。



実   あ、日高くん!…もう、少しくらい待つのに…ねえ?


隆   あいつ…


実   ?なに?



隆   あ、なんでもないよ。帰ろっか。送ってく。


実   うん。ありがと。














自転車を押す隆弘と、隣を実彩子が並んで歩く。
2人の笑い声があたりに響く。



隆   あの2人は時間の問題だろうな。



実   そうだね。千晃も秀太のこと気になってるみたいだし…ぷっ。


隆   なに?


実   あ、うん。前みんなで飲んだ時の秀太の焦りっぷりを思い出しちゃって(笑)あのあと秀太なかなか動けなくて悩んでる間にそのまま寝ちゃったらしいじゃない?次の日起きたら秀太がめっちゃ近くにいて千晃も飛び起きたあと頭ぶつけたって(笑)



隆   あの日か(笑)宇野ちゃんもなかなか大変でしたけど。



実   あ、その節は大変お世話になりました。



隆   いえいえ、どういたしまして(笑)


実   うまくいってほしいね。2人には。


隆   …そうだね。






実   にっしーはさ、彼女とどう?


隆   え。


実   ほら、前彼女いるって言ってたし。ラブラブなのかな~と思いまして♡


隆   いや…どうかな…


実   ?なんか、聞いちゃまずかった?


隆   …そんなことないよ。あっち高校生だし、受験でしょ?最近はあまり会ってないから…


実   あー。そっか…会えないとお互い寂しいね…


隆   …俺よりさ、宇野ちゃんは?…宇野ちゃん彼氏とかいないの?


実   こんなにみんなと過ごしてるくらいだからいないのは想像つくと思うんですがね(笑)


隆   あ、確かに(笑)






実   私は…恋とかはしばらくいいや…
ははっ…



隆   …




実   あ、じゃあここで。わざわざありがと。にっしーも気をつけて帰ってね?



隆   あ、うん。じゃあ…また。



実   うん。ばいばい。







家に入っていく実彩子の後ろ姿を見つめる隆弘。









なんで…





そんなに辛そうなの…?









君をそんな顔にさせる










笑顔の奥に隠された気持ちを













いつか、俺が知ることができる日は















くるのかな…