◆石原千秋『『こころ』大人になれなかった先生』みすず書房、2005年7月

テクストの「ほころび」を読み解く。大人になれない、子どものままでいた「先生」の物語と、その一方で「先生」を越えて大人になる青年の物語がある。さらに、先生の奥さんである「静」からみれば、「大人ごっこをしている子供たちの物語」(p.148)だと指摘している。『こころ』というテクストは、一筋縄では行かない構造を持っている。

石原 千秋
『こころ』大人になれなかった先生