いよいよ地平線が開けてくる。
呆れる程360℃何も無い。
線路はやたら真直ぐだが、道は悪い。

土が細かく埃っぽい。
土は風で舞い上がり、口の中に入ってくる。
この土は口の中の水分を奪い、喉がやたらと渇く。
水を思いっきり飲みたいが、限りある水は貴重なので飲めない。
水一口分をできるだけ長く口に含んでは、5分以上かけて飲む。
チェーンもスグに油切れをおこす。
マメにグリスアップが必要だ。

ローリナ手前5kmで酔払い運転のオージーに会う。
酔払いと言うか、ビールを片手に運転している。
映画に出てくる、絵に描いたような悪役っぽい奴だ。
でも、喧嘩は弱そうな感じだ。
映画だと、ヒーローに悪態をついて、1秒後にやっつけられちゃいそうなキャラだ。
へべれけの爺さんは何を言ってるのかさっぱり分からん。
笑いながら、しきりにビールを勧めてくる。
今日はローリナでストップするんだ。
あと5kmくらいなら良いかと、有り難く一気に飲み干した。

 むちゃくちゃうめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!

アンタは、悪役の脇役なんかじゃねぇ、ヒーローだよ!
すると
「あんちゃんイケるくちだねぇ。もう一杯飲みねぇ(多分こう言ったと思う)」
うおぉぉぉぉ~、アンタ良い奴だ!俺のヒーローだよ!
2本目も有難く呑む。

 むちゃくちゃうめぇェェぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!

 

ビールは俺にとって最高の燃料だ。
まさかココで飲めるなんて思ってもみなかったぜ!
しかしこの後ビールがまわり5kmをふらふら走る。
いつもはビール2本じゃ酔わないが走った後は別だ。

ローリナに到着した。

 

ローリナは町と言っても、多分人口5人とかだろう・・・


昔はもっといたらしいが、今はゴーストタウンだ。
3年前はここでガソリンを売っていたし、スーパーの跡もあった。
小学校もあった。駅の中に郵便局があったが、看板は色褪せほこりまみれ。

今日は日曜だからやってないのか、それともずーっとやってないのか分からない。
一番大きな民家に尋ねると、その家が俺の荷物を預かっていた。
カルグーリーからここの郵便局留めで食料を送ったのだ。
今日は車2台に出会った。
32℃南東の風