目次
1.まえがき

2.ソルダーレジスト

 2.1 アルカリ現像型ソルダーレジスト

 2.2 低誘電化

 2.3 有機・無機ハイブリッド材料

 2.4 半導体パッケージ用ソルダーレジスト

 2.5 インクジェットソルダーレジスト

 2.6 立体成型基板用ソルダーレジスト

3.層間絶縁材料

 3.1 多種多様なビルドアップ材料

 3.2 熱硬化型層間絶縁材料

 3.3 現像型層間絶縁材料

 3.4 低熱膨張と高強度化

4.プリント配線板外観検査技術の動向

 4.1 プリント配線板

 4.2 自動検査への要請

 4.3 検査技術の課題

 4.4 検査技術の動向

  4.4.1 パターン検知方式

5.注文手順

6.参考資料

 

1.まえがき

 スマートフォンやタブレット端末に代表されるスマートデバイスは,ますます軽薄短小化,高速通信が進み,それらに使用される絶縁材料は,高密度実装に対応した高解像性や高速処理のための低誘電率特性などが求められてきた。まず,プリント配線板で最初に目にするのがプリント配線板上の特定領域に施す耐熱性被覆材料(図1)のソルダーレジストで,はんだ付け作業の際にこの部分にはんだがつかないようにすることからこの名が付いている絶縁材料である。

 

図1 プリント配線板用絶縁材料の使用箇所

 

 以前は緑色のものが最も多かったが,青や黄色,赤など,さまざまな色があり最近は黒や白色のものも増えてきた。ソルダーレジストは,1970年代初期,図2に示すようなメラミン,エポキシ,アルキッド樹脂の混合系の材料をスクリーン印刷でパターン形成後,熱硬化させて使われていた。

 

図2 1970年代初期のソルダーレジスト

 

 しかし,硬化時にホルマリンガスが発生する問題から,その後,図3に示す代表的なエポキシ樹脂をイミダゾールなどの硬化剤を用いて熱硬化させる材料に移り変った。

 

図3 エポキシ樹脂とその特徴

 

 さらに,生産性の向上から紫外線で高速硬化するソルダーレジストが量産されるようになったが,スクリーン印刷の印刷精度の限界から,必要な部位だけ露光させ不要部位を現像除去するタイプのものが現在主流となっている。図3に代表的なエポキシ樹脂とその特徴を示すが,樹脂骨格の違いにより特性は大きく変わり,高密度化に必要不可欠な絶縁材料として,さまざまな内層絶縁材料が1990年代初め頃より数多く開発された。本稿では,ソルダーレジストを中心に,プリント配線板用絶縁材料の基本的なところから直近の情報を,ここに報告する。

 

2.ソルダーレジスト

2.1 アルカリ現像型ソルダーレジスト

 図4に現在主流となっているアルカリ現像型ソルダーレジストの硬化システムを示す。大きな特徴として,ポストキュア前においては炭酸ナトリウム水溶液のような弱いアルカリで溶解する材料であるが,エポキシ樹脂を混合することにより,アルカリ可溶樹脂中のカルボキシル基とエポキシ基を反応させ,アルカリに不溶化,物性の向上を図っている。表面実装のための微細化要求に対応し,1985年頃から現在に至るまで,このエポキシ樹脂混合組成物が多用されている。

 

図4 ポストキュア(後加熱)によるカルボキシル基の消失

 

2.2 低誘電化

 図5に,骨格の異なるエポキシ樹脂に,光硬化性とアルカリ溶解性を付与した樹脂と,同種のエポキシ樹脂を組み合わせて試作したソルダーレジストの誘電率と誘電正接を示す。

 

図5 主骨格の異なるソルダーレジスト組成物の誘電特性

 

 ここでは,ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の変性物の誘電率が低いが,同種のエポキシ樹脂を混合,硬化させた場合には,水酸基が発生する。改善策として,図6の比較のように,エポキシ樹脂の代わりにオキサゾリンを使用することにより水酸基の発生を抑えて,さらなる低誘電化を図るなどの検討が行われたが,充分なはんだ耐熱性が得られなかったことが報告されている。

 

図6 エポキシとオキサゾリンの反応生成基の違い

 

2.3 有機・無機ハイブリッド材料

 有機・無機ナノコンポジット材料の特徴として,分子運動の抑制により,低温領域の物性が高温まで保持され,耐熱性の向上が図れる。ナノフィラーや有機・無機ハイブリッド材料は,電子材料の特性アップに有効な手段と考えられ,その一例を以下に示す。まず,図7に示すシランカップリング剤は,加水分解によってシラノール(Si-OH)を生成した後,シラノール同士が徐々に縮合してシロキサン結合(Si-O-Si)となり,シランオリゴマーを形成する。

 

図7 シランカップリング剤の加水分解,縮合反応

 

 副生成物として発生した水は,未反応のシランカップリング剤を加水分解し,縮合,加水分解を繰り返すことにより分子量を増大させていく。図8に,ジシクロペンタジエン系樹脂の変性物を有機・無機ハイブリッド化したものと,光硬化後にオキサゾリン化合物を反応させたイメージ図を示す。

 

図8 ジシクロペンタジエン型有機・無機ハイブリッド樹脂の低誘電率化

 

 シラノール基などを一部残した状態でレジスト組成物を作製し,露光,現像後に行う加熱処理でオキサゾリンを反応させることにより,耐熱性の改善と低誘電化を行うことが可能となった。

 

2.4 半導体パッケージ用ソルダーレジスト

 今後ますます小型化が進む情報端末や,高速・高機能化が進む用途においてパッケージ基板は,さらに薄くすることが求められ,図1に示した絶縁材料のうちパッケージ基板ソルダーレジストは,コアレス基板や薄板に対応するものが必要となっている。特にコアレス基板や薄板は取扱いが難しいため,図9の例にあるような高弾性,高剛性の要求が多く,パッケージ基板の最外層に求められる薄膜対応で,膜厚精度,平坦性,並びにファインピッチ配線への埋め込み性などに優れたドライフィルムタイプのソルダーレジストが使われ始めている。

 

図9 コアレス基板対応ソルダーレジストの剛性試験

 

2.5 インクジェットソルダーレジスト

 近年,省資源・省エネルギ型の電子デバイス作製技術として「プリンタブル・エレクトロニクス」が注目を集めている。この技術潮流への対応として,スクリーン印刷法やグラビアなどの転写式印刷技術に対応する部材が検討されてきたが,ここでは今注目度の高いインクジェット技術について紹介する。まず,インクジェット描画の特長を以下に記す。

①必要部分にのみ塗布可能

②印刷版やネガフィルムなどの副資材が不要

③基材一枚ごとに異なるパターンが形成可能

④基材の伸縮に合せたパターンの寸法補正が可能

⑤有機溶剤を含まないインクが一般的

 開発当初は,微細パターン形成と生産性の両立が困難であり,回路のエッジ部の充分な膜厚確保が困難であったが,インクジェットプリンターの進歩とインクの改良から,適応可能な基板も多くなっている。多ヘッド化による印刷スピードアップと,UV仮硬化後に熱硬化を行うことで,ソルダーレジストに必要な特性を確保することが可能となった。インクジェット法では,必要な部分のみを選択的に被覆せることが可能なため,2.1で示したアルカリ現像を可能にするための樹脂のような極性基(カルボキシル基)を必要としない。特性を重視した材料選択が可能なことから,電気特性などは,アルカリ現像タイプのソルダーレジストを上回る。

 

2.6 立体成型基板用ソルダーレジスト

 ガラスエポキシ基板をはじめとする平面の基板から,図10のような成型材(熱可塑性樹脂)を基材とし,製品形態に合わせた自由な形状が実現可能な立体回路基板の技術について注目が集まっている。

 

図10 立体成型基板対応ソルダーレジスト

 

 立体回路基板に微細部品を搭載するためには,実装時の不具合防止や回路保護のためにソルダーレジストの使用が必要不可欠と考えられ,現時点では熱可塑性樹脂との密着性に優れ,絶縁性,耐熱性,耐薬品性の高いソルダーレジストを用いた,部品搭載タイプの立体成形基板の車載部品やスマートデバイスへの導入検討が進んでいる。実装のためのソルダーレジスト開口部形成方法としては,レーザ装置の性能向上および対応するソルダーレジストが開発されたことにより,レーザトリミング(アブレーション)による開口法の精度および生産性が向上しており,実用化に近づいている。

 

3.層間絶縁材料

3.1 多種多様なビルドアップ材料

 最初に実用化されたビルドアップ配線板は,日本アイ・ビー・エム社のSLCで,図11に例を示すような光二量化反応が使われていた。

 

図11 光二量化反応(例)

 

 しかし,表面の数ミクロンのみが硬化するため特殊な後加工が必要で,フォトビア形成にソルダーレジストと同様な光重合タイプが多く使われ始めた。その後,現像液コストの安価なアルカリ現像型層間絶縁材料の開発が数多くの機関で行われたが,物性値の良好な熱硬化樹脂のレーザ穴あけ,樹脂付銅箔やドライフィルム,プリプレグと導電ペーストを組み合わせた多種多様な方式が基板の用途によって使い分けられるようになった。本稿では,大きく分けて熱硬化型層間絶縁材料と現像型層間絶縁材料について,以下に説明する。

 

3.2 熱硬化型層間絶縁材料

 熱硬化型層間絶縁材料を用いたビルドアップ工法は,予め信号層など形成したプリント配線板に,熱硬化型絶縁材料を塗布した後,加熱硬化して塗膜を形成する。その硬化膜をレーザ加工機によりビアを形成,必要に応じてドリルで穴加工を行う。その後に粗化処理,銅めっき,回路形成を行う。さらに同様の工程を繰り返すことにより多層化を行う。この工法で最初に実用化されたのは,液状組成物を用いたもので,積層に比べてリードタイムの短縮および設備投資の抑制を図ることができたと述べられている。その後,ビルドアップ材の平坦化要求の高まりから,平坦化が容易なプレス方式のラミネーターを用いたドライフィルムが有用となり,さらに,図12の比較で分かるように,回路のファインパターン化のため,絶縁層の表面粗さを小さくすることと,高周波対応材料の低誘電化が必要となっている。

 

図12 層間絶縁材料上にL/S=10/10μm回路を形成

 

3.3 現像型層間絶縁材料

 レーザ穴あけ加工機の普及に伴い,層間絶縁材料は感光材を用いたフォトビアからレーザビアへと移り変った経緯があるが,ビアの小径化とレーザによる下地ダメージの問題から,現像型層間絶縁材料の再評価が行われている。一般的なフォトビアの利点を以下に記す。

 

①新規設備投資不要従来の設備で生産可能

②生産性向上に貢献ビア数に関係なく一括露光

③レーザによる下地ダメージがない

④CO2レーザより小径加工(図13)が可能

 

図13 10μm膜厚6μmフォトマスクでのビアを形成例

 

 また,部品を含めたスマートデバイス向けプリント配線板の低背化のための一つの手法として,図14のように層間絶縁材料でキャビティ部を作ることが試みられているが,熱硬化タイプの層間絶縁材料を使用した場合では,レーザで除去する面積が大きく生産性が悪くなるため,感光性の層間絶縁材料が有用となる。

 

図14 キャビティ型ビルドアップ基板例

 

 さらに,図15のような部品内蔵基板を作製する場合,ICチップに対して直接レーザによる熱ダメージの影響がない感光性の層間絶縁材料が使い易いと考えられる。

 

図15 部品内蔵型ビルドアップ基板例

 

3.4 低熱膨張と高強度化

 プリント配線板用絶縁材料であるソルダーレジストも層間絶縁材料も回路である銅との熱膨張率を近づけるため,従来は無機フィラーの高充填により熱による膨張率を下げる手法が多く取られてきた。しかし,無機フィラー充填は,ソルダーレジストを脆くし,クラックなどの問題のため,従来手法では低熱膨張を追及するのが難しくなってきた。

そこで,セルロースナノファイバーのイメージを図16に示すが,その物性は,軽量(鋼鉄の5分の1),高強度(鋼鉄の5倍),低CTE(0.17ppm/K)であり,無機フィラーと,吸湿,分散性を改善したセルロースナノファイバーを併用することにより,ネットワーク構造をとらせて,低熱膨張と高強度化が達成されたとの報告がある。

 

図16 セルロースナノファイバーのイメージ図

 

 スマートデバイス向けプリント配線板は,今後もファインパターン化,低背化が進み,高速通信には高周波対応のための低誘電材料も使われ始めてくると考えられる。しかし,絶縁材料に対しては,さらに多種多様の要求が考えられ,単一の材料,工法で対応することは困難と考えられる。今後,プリント配線板に要求される幅広い用途に合わせた組み合わせや使い分けが検討されても,トータルコスト削減と環境対策は欠かせない必要条件であり続けると考えられる。

 

4.プリント配線板外観検査技術の動向

 プリント配線板の製造において,外観検査は,電気的な機能試験では検出できない欠陥を検出する手段として重要である。プリント配線板の製造(図17)において特徴的なことは,製造の各段階ごとに検査と修正を行って,信頼度を上げる製造システムとなっていることである。このため,各検査の信頼度によって,製品の品質が左右される。

 

図17 プリント配線板の製造工程と外観検査工程

 

 プリント配線板の検査には,電気的機能試験と外観検査とが併用されている。電気的機能試験は,電気回路の機能障害となる部品不良や断線,ショート欠陥を検出できる。しかし,現時点では障害とはなっていないが,将来障害となり得る潜在欠陥を検出することはできない。外観検査は,これらの潜在欠陥を検出できる唯一の検査法であり,プリント配線板の信頼性保証に欠くことのできない検査手段である。プリント配線板の製造工程に含まれる外観検査としては,銅はくのブランク基板検査,ホトマスク検査,レジストパターン検査,銅はくパターン検査,多層配線板のめっきスルーホール検査,さらにプリント回路板としてみると,実装部品検査,チップ部品検査,はんだ付け検査などがある。これまでは,これらの検査は目視によりなされてきた。しかし,プリント配線板の高密度化,実装部品の微小化が進み,検査時間,検査の信頼度の点で目視では対応できなくなってきた。この10年で検査の自動化技術の開発が盛んに行われ,かなりの検査工程が自動化されてきている。銅はくパターン検査,多層配線板のめっきスルーホール検査,実装部品検査,はんだ付け検査などについて最近の動向を述べる。

 

4.1 プリント配線板

 パターン検査プリント配線板パターンの外観検査の目的は,配線のパターン幅と間隔とが規格と合致しているかを確認し,その信頼性を保証することにある。従来,プリント配線板のパターン幅が200μmと太いときには,目視による外観検査が行われてきた。しかしパターン幅が100μmと細くなり,しかもプリント配線板サイズが600mm角に達するようになっているので,目視検査では検査時間や信頼度の点で対応が困難になってきている。外観検査自動化の要求は,プリント配線板の製造工程で発生する中間製品のうち中間層銅はくパターンについてが最も強い。その理由は,中間層銅はくパターンは,(1)ホトマスクや表面層に比べ,生産数量が数倍多い。また,(2)次工程の積層後では修正が困難になるため,この段階で欠陥の検出・修正をしておく必要がある,などのためである。プリント配線板パターンの自動外観検査装置は,内外の20社以上から発表されており,実用段階に達している。図18に市販されている検査装置の性能を示す。

 

図18 プリント配線板パターン検査装置性能一覧

 

4.2 自動検査への要請

プリント配線板パターン外観検査装置への要請には,

(1)高速検査

(2)高精度検査

(3)多品種パターンへの適用

などがある。(1)高速検査検査時間は,なるべく早いことが望まれている。実用的なレベルとしては,1面数分以内に検査することが必要である。(2)高精度検査工場で実用するにあたっては,欠陥パターンの見逃しがなく,かつ正常パターンを欠陥と誤認する虚報が極力少ないことが必要である。(3)多品種パターンへの適用検査対象としては,通常のパターンのほかに表面実装用のパターンをも検査できることが望まれている。以下には,これらの検査装置を構成している技術.について述べる。

 

4.3 検査技術の課題

パターン検査の技術的課題は,

 

(1)パターンの高S/N検知

(2)欠陥パターンと正常パターンとの高精度判別

(3)高速処理

 

(1)パターンの高S/N検知画像処理を行うため必要なパターンの信号S/Nとしては,3以上が望ましい。しかし,中間層銅はくパターンの特性として(1)銅はくと基材の光反射率がほぼ同じ,(2)銅表面が酸化により黒化しやすい,(3)銅はくパターンは,幅と厚みをもつ2.5次元形状をしている,などの性質がある。したがって,検知方式の工夫をしないと,幅を正しく計測できない。(2)欠陥パターンと正常パターンとの高精度判別パターンの判別にあたっては,欠陥の見逃しはあってはならず,しかも,虚報はできるだけ少ない必要がある。虚報が増えると,それをチェックする時間がかかり,検査工程のスループットが悪くなる。(3)高速処理プリント配線板1枚を数分で検査するための画像処理速度として,数10~100M画素/秒の高速処理が必要となっている。この速度は,CCD(ChargeCoupledDevice)センサなどの光検知器にとっては限界に近い。光センサで高速に画像情報を読み取るためには,検知光量を十分大きくできる方式とする必要がある。また,画像処理回路においても,現状では汎用ICのハードウェア回路で処理できる最高の速度領域である。

 

4.4 検査技術の動向

4.4.1 パターン検知方式

 パターンの検知方式としては,これまでさまざまな方式が開発されてきた。以下に,検知法の開発例について紹介する。(1)斜め照明法現状で最も一般的な方式は,銅はくパターンに対し斜め方向から拡散光を照明し,銅はくから反射してきた光をCCD光検知器で検出する斜め照明・検知方法である(図19)。

 

図19 「斜め照明法」による銅はくパターンの検知

 

 この方法の利点は,(1)光源が配線板を直接照明できるため強い照明強度が得られ,高速検知が可能である,(2)照明光学系と検知光学系が独立しているため機構が単純になる点である。しかし,銅の変色は,基材と銅とのS/Nを下げる原因となる。そこで,この影響を小さくするためさまざまな工夫がなされている。例えば,銅は赤い光に対して光反射率が高いことを利用し,照明光に赤色LEDやHe-Neレーザ光を用いたり,S/N向上用の波長フィルタを光検知器の前に設けたりしている。この方法では,銅はくが輝いている必要がある。

 したがって,銅はく表面が黒化処理されているものや粗化処理により,色がくすんでいるものは,検知が難しい。さらに,通常の銅はくパターンでも線幅100μm以下の微細パターンでは,一部だけが黒化した部分を,欠け,あるいは断線と誤認しやすくなる。そこで,最近では,微細パターンの検査用に,(1)基材の蛍光検知法,(2)ブラックライン法などの新しい検知法が開発されている。(2)基材の蛍光検知法この方式は,基材部から蛍光を発光させ,銅はくパターンを影として検知する方法である。

 照明光源として,Xeランプ,あるいはレーザ光などの短波長の光が用いられる。銅はくは蛍光を出さないので,原理的には,コントラストの良い信号が得られる。

 

しかし,課題は,

(1)基材の材質により蛍光の発生量に違いがある

(2)蛍光への変換効率が低いので高速検知に工夫が必要となるなどの点である。

方式としては,Arレーザ光で線状に照明したり(図20),光ビームによる走査などの工夫がとられている。

 

図20 蛍光による銅はくパターン検知法

 

(3)ブラックライン法ブラックライン検知法とは,基材が光を拡散する性質を利用したものである。線状の不透明体の影をプリント配線板上に結像し,影の部分をラインCCDで検知する。基材部分に入射した照明光は,基材内を拡散してから反射してくる。影の中にある基材部では,周囲から光が入り込み散乱・反射するので,明るく見える。一方,影の中の銅はく部分は,散乱光を透過しないので暗く見える(図21)。

 

図21 「ブラックライン検知法」による銅はくパターン検知

 

 この方法は,銅はく表面の変色の影響を受けにくい利点がある。また,Xeランプなどの強力な光源が使用できるので,検知できる光信号強度が大きくなり,高速の検査が可能である。

 

5.注文手順

 以下のリンクをクリックすると、JLCPCBのプリント基板及び3Dプリント製品の注文画面に移動できます。ご利用頂ければ幸いです。

 

6.参考資料