
「テロルの決算」という沢木耕太郎さんの小説を読了しました。
沢木耕太郎というと「深夜特急」が有名ですよね。このテロルの決算も深夜特急に負けないノンフィクション小説でした。
(深夜特急は読んだことありませんが...笑)
そもそもこのテロルの決算とはどういった意味なのかわかりますか?
決算はわかりますよね、会計用語で一年間の取引を清算するといった意味で使われます。
では、テロルはというと、簡単にいうと「テロ」のことをいいます。つまりテロリズムです。
この小説ではある一つのテロを被害者と加害者ごとに決算していく、といった趣旨があるんです。
お話のあらすじは以下のようになっています。
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ひたすら歩むことでようやく辿り着いた晴れの舞台で、61歳の野党政治家は、生き急ぎ死に急ぎ閃光のように駆け抜けてきた17歳のテロリストと、激しく交錯する。
社会党委員長の浅沼稲次郎と右翼の少年山口二矢。
1960年、政治の季節に邂逅する二人のその一瞬を描くノンフィクションの金字塔。
新装版「あとがき」を追加執筆。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作。
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私はこのテロルの決算は次の3つの要素からなっていると考えました。
・信念
・愛
・偶然
タイトルにもあるこの3つの要素です。
信念
このテロルの決算の主な登場人物は2人です。
一人はテロを起こす張本人「山口二矢(おとや)」、もうひとりが暗殺される政治家「浅沼稲次郎」です。
この二人を軸にストーリーは展開されます。
2人はそれぞれがそれぞれの信念の元に世の中を良くしようを活動して行きます。
そして二人は右と左という真逆の思想もつことになります。
そもそもこの2人は祖父と孫ほどの年齢差があります。
時代の中で左に寄って行った浅沼と直線的に右に寄った二矢。全く対象的な2人ですが目指すところは世の中をよくする、といったことだったのです。
私はこれほどまでに己の信念を貫くことができるのか、正直不安です。
もしかすると2人は今の時代にはそぐわない考えの持ち主なのかもしれません。
でもやっぱり素敵ですよね、信念を曲げない生き方って。
愛
このお話を支えているのはこの2人だけではありません。彼らには当然家族がいます。
二矢だったら両親と兄弟。浅沼だったら奥さん。
時代背景的に危険を伴う政治活動はやはり家族から見ていると心配が多いはずです。
それでも国の為に闘っている2人を見守るというスタンスにある種の力強さを感じます。
テロル決行の後それぞれの家族にスポットライトがあたります。
中でも浅沼の奥さんが病院へ駆けつけるシーンは忘れられません。
恥ずかしながら少し涙ぐんでしまいました。
人は一人では生きて行くことはできないのです。
偶然
本来ならば相容れぬこの2人がどうしてこのような最悪の場面でかち合わせてしまったのでしょうか?
お話を読むと分かりますが、もはや見えない力が働いているとしか思えません。
二矢の愛国党への入党。浅沼の中国での演説。テロル決行時の警備の隙間。
様々な偶然が重なって「テロル」という一つの場面が作りだされていたのです。
これを考えた時には思わず鳥肌がたってしまいました。
今、自分が行っていることがもしかすると何かにつながってくるのかもしれませんよ。
おわりに
テロルの決算は昭和の熱量が感じられる数少ない作品だと思います。
そして史実に基づく入念な取材をなさっていた沢木耕太郎さんにはただただ頭が下がる思いです。
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