シンデレラのお姉さん(その4)
するとその時、表の方から誰かの声が聞こえたんだ。
「オニの王様はいらっしゃいますか。オニの王様はいらっしゃいますか。」
「だれだ、こんな時に。」
食事をじゃまされたオニは、チッとしたうちすると、手にお姉さんをぶらさげたまま、表にむかってどなり返した。
「だれだあ。わしをよんだやつはあ。」
「わたしですよ。オニの王様。」
いつの間にか、オニの足もとに一ぴきのネコがニコニコわらいながら立っていた。
それは、ティナもよく知ってるとっても有名な あのネコだよ。
―ティナも・・知ってる・・。
ああ。
だって、そのネコは、はいていたんだよ。長ぐつを。
―ええっ。 じゃあ、そのお・・城・・は。
そうさ、あのお話の人食いオニのお城だったのさ。
―へ・・え。
でも、声の主がネコだとわかって、お姉さんはがっかりした。
ネコ一匹じゃあ どうしたってオニには勝てないと思ったからね。
けれど、ティナも知ってるとおりに、ネコはオニをまんまとだまして、ネズミに化けたところを つかまえて食べてしまった。
そして、お城はそのままネコの主人のものになった。
―パパ、お・・姉さん・・は。
え。・・そうか、シンデレラのお姉さんのお話だったね。
だいじょうぶ。シンデレラのお姉さんは、ネコのおかげでオニに食べられずにすんだよ。それに、すてきなおむこさんも見つけたんだ。
―おむ・・こ・・さ・・ぁふ。
そう。助けてくれた長ぐつをはいたネコさ。お姉さんは、このゆうかんで頭のいいネコがいっぺんで好きになったんだよ。
―でも、・・ネコ・・でしょ。
そうだね。それじゃあ まほう使いのおばさんにたのんで、ネコを人間にしてもらおうか。それとも、お姉さんがネコになる方がいいかな。ティナ。
―う・・はぁぁぁふ。
おやおや、大きなあくびがでたね。じゃあ、パパのお話はこれでおしまいにしよう。
おやすみ、ティナ。
(おしまい)
シンデレラのお姉さん(その3)
でも、お姉さんはそんなことは知らないから、領主様を探して ずんずんお城の奥へ進んでいったんだ。
そうしたら、お城のずうっと奥の方から、オオカミの様におそろしい声が聞こえてきた。
「人間だ。人間のにおいがするぞう。」
それは、人食いオニの声だった。
それで、ようやくここがオニのお城だとわかったお姉さんは、大急ぎでお城から逃げ出そうとしたんだ。
だけど、もうこわくてこわくて、足がガクガクふるえて、うまく走ることができなかった。
そうこうしているうちに、奥からドスンドスンと床をふみならして、見上げるように大きな大きなオニ・・の首がやってきたんだ。
オニはお姉さんを見つけると、お皿のような目をギラギラさせて、舌なめずりして言った。
「こりゃあ、うまそうな娘だ。」
そのあまりのおそろしさに、お姉さんはとうとう腰がぬけて座り込んでしまった。
オニはブルブルふるえているお姉さんを二本の指でひょいっとつまみあげると、グハアッと大きな口を開けた。
お姉さんは思わず目をつぶって祈った。
(神様、助けてっ。)
するとその時、表の方から誰かの声が聞こえたんだ。
シンデレラのお姉さん(その2)
だけど、それはお星様の声じゃなかったんだ。
屋根の上で、お姉さんのお祈りを聞いていたホビットが、お星様のふりをしてたんだよ。
―どうして。どうして、ホビットはお星様のふりをしたの。
ティナも知ってるだろう。ホビットはいたずらが大好きだからね。
お姉さんのお祈りが あんまり欲ばりだったから、からかってやろうと思ったんだよ、きっと。
―ふうん。
ともかく、お星様の声だと思ったシンデレラのお姉さんは、次の朝、まだ暗いうちから起きると急いでしたくをして、やっと東の空が明るくなり始めるころには、もう、東の領主様のお城をめざして出発してたんだ。
にぎやかな町を通りすぎて、大きな川をいくつもわたって、広い畑をいくつもいくつも横切って、西の空に夕やけが見える頃、お姉さんはようやく大きなお城の門の前にたどりついたよ。
それは、本当に立派なお城だった。それに、シンデレラの王子様のお城よりもうんと大きかった。
お姉さんは領主様は本当に大金持ちなんだと思ったよ。
だけど、パーティーがあるはずなのにお城はとても静かだった。
門番もいないし、何度声をかけても誰も出てこない。それに、町の人たちも誰もやってこない。
そりゃあそうさ。だって、そこは領主様のお城なんかじゃなくて、人食いオニのお城だったんだからね。
―ええっ!
でも、シンデレラのお姉さんは、カッコよくてお金持ちの領主様のお城だと思ってたから、ちっとも変だと思わないでお城の中へ入っていったんだ。
―ええっ。お姉さん大丈夫なの。
さあ、どうだろう。なにせ、オニのお城だからね。

