M&Aで狙われる上場企業95社(エール出版) | 神保町在住? HON4946のビジネス本 格付け研究所

M&Aで狙われる上場企業95社(エール出版)

 M&Aという言葉は、昨年のライブドアや楽天のニッポン放送やTBSに対する買収劇でかなり一般化されました。一時期、その正式名称から説明しなければならなかったことを考えると隔世の感があります。


 M&Aで狙われる上場企業95社(エール出版) 島野清志著は、このような風潮をとらえ、M&Aの標的になりやすい企業を業種別に95社具体名とともに提示しています。また、その”選定基準”についても株価資産倍率が低い、圧倒的な株主がいないなど5つの条件について明らかにしています。


 本書は昨年の7月発行ですが、その時点で大見出しで”TBSは要注意”としていました。その4ヵ月後の楽天による買収騒動をその時点で予言していたともいえるでしょう。

 


 また、M&Aの主役というべき”投資ファンド”についてもその仕組み・具体的なファンドを独立系・外資系など6つに分類してその”性格”とともに解説しており、他にあまり類似の情報が存在しないだけにM&Aに敏感な関係者にとって貴重な情報だといえます。


 本書では、第4章で日本企業乗っ取り史というタイトルで、ジャパンライン、白木屋、小糸製作所等株式市場を賑わせたかつての買収騒動について、個別にその経緯・経過・その後の関係者の顛末を記述しており

面白い読み物となっています・


 株式投資の観点からM&Aに関心をもたれている方にも、買収されることを心配されている経営者にも、社会的な観点から興味がある方にも興味深い本と言えるでしょう。


                                                  面白度★★★★