内外株式市場で株価が急落しているが、その一因は日本にもある。
安倍首相は10月15日の臨時閣議で、2019年10月に消費税を予定通り10%に引き上げる考えを改めて示した。
菅官房長官は
「消費税率については、法律に定められたとおり、来年10月1日に現行の8%から10%に引き上げる予定であります。今回の引き上げ幅は2%ですが、前回の3%引き上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応いたしてまいります」
と述べた。
しかし、その菅官房長官は10月7日のNHK番組で次のようにも述べている。
「消費税引き上げはリーマンショックのようなことがない限り実施する」
この言葉は、
「リーマンショックのようなことがあれば実施しない」
という意味だ。
安倍内閣は2016年6月に消費税増税を延期した。
2017年4月に延期していた消費税増税を、さらに1年半延期することを発表した。
このときに使った理由が「リーマンショックのようなこと」だった。
2016年5月の伊勢志摩サミットで安倍内閣は内外の経済金融情勢がリーマンショック前に似ているとした。
客観的に見れば、情勢は「リーマンショック後の」状況にやや類似するものだったが、これを理由に消費税増税再延期を決めた。
最大の理由は、「選挙があるから」だった。
選挙用のアピールとして「増税延期」が用いられた。
「リーマンショック」というのは、取って付けたような「口実」に過ぎなかった。
選挙対策に「増税延期」を使っただけである。
したがって、2019年も、再び「増税延期」が選挙に使われることになると考えられる。
しかし、今回は、「増税延期」を打ち出しても選挙に勝てないだろう。
野党がどのような政策を提示するのかにもよるが、野党は「消費税減税」、「消費税廃止」を打ち出すべきだ。
野党が「消費税減税」なら、安倍内閣が「消費税延期」のカードを切ってもインパクトはない。
そもそも、消費税増税政策が間違っていることを、日本の主権者は認識しなければならない。
以下の事実をすべての主権者が把握するべきだ。
1989年度と2016年度の税収構造の実態だ。
税収規模は1989年度が54.9兆円、2016年度が55.5兆円だった。
このなかで主要税目の税収が激変した。
所得税 21.4兆円 → 17.6兆円
法人税 19.0兆円 → 10.3兆円
消費税 3.3兆円 → 17.2兆円
法人税=9兆円減少、
所得税=4兆円減少、
消費税=14兆円増加
である。
消費税増税は法人税減税と所得税減税を実施するために強行実施されてきたのである。
財政再建や社会保障支出拡充のためではなかった。
したがって、これ以上、消費税を増税させることは断じて許されない。
消費税を減税して、所得税と法人税の負担を増加させるべきだ。
主権者は消費税減税・廃止を掲げる者のなかから選挙で支援する候補者を絞り込むべきだ。
「消費税減税連合」で来夏の国政選挙を戦うべきだ。
「リーマンショックのようなこと」は安倍首相の消費税増税指示によって発生している。
自ら創作する「リーマンショックのようなこと」で「消費税増税延期」は喜劇である。
安倍内閣の責任は重大だ。