民進党は消費税率5%への引下げを確約すべきだ

10月10日公示、10月22日投開票になると見られる衆院総選挙では消費税が争点の一つになる。

安倍政権は突然、消費税増税で教育無償化、社会保障拡充の方針を打ち出し、この政策の信を問うと言い出した。

今回の衆院解散の本質は、

「もりかけ隠し」

である。

自民党の二階俊博幹事長がもりかけ疑惑を

「小さな問題」

と表現した。

この言葉にこそ、自民党政治の本質が鮮明に表れている。

森友疑惑は10億円の国有地が安倍首相と近い事業者にほぼタダで払い下げられた事案だ。

加計疑惑は安倍首相に近い事業者に通常の正当なプロセスを逸脱して獣医学部の新設が認可された事案である。

典型的な政治腐敗、政治私物化、金権政治問題である。

民主主義政治の根幹を破壊する重大事案である。

だからこそ、安倍首相自身が「総理大臣も国会議員も辞める」との見解を表明したのである。

このような重大問題を「小さな問題」だと認定するほど、自民党政治は根幹から腐敗している。

次の総選挙では安倍政治を一掃することが最優先課題である。

安倍首相による政治私物化にはっきりとけじめをつける。

これが、日本が再出発するための前提条件だ。

したがって、森友疑惑、加計疑惑を厳しく問うことがまずは重要である。

これらの重大事案に対する説明責任を放棄する安倍首相の姿勢を許してはならない。

この考えを持つ主権者と政治勢力が大同団結して安倍政治を退場させることが必要不可欠である。

この意味で野党の結束は重要である。

小選挙区制の下で選挙を行う以上、候補者を一人に絞る自公候補を落選させ、主権者の側に立つ候補者を当選させるには、野党勢力の結束、共闘体制の確立が必要不可欠である。

野党陣営の適切な対応が強く求められている。

また、比例代表選挙での死票を減らすためには、結束して選挙に臨む野党が「選挙新党」を創設して、比例代表候補の統一名簿を作成することが有効である。

主権者の意思を汲み、安倍政治を退場させる意思を野党勢力が有するなら、「選挙新党」創設と「統一名簿」の作成は欠くことのできないプロセスになる。

しかし、これだけでこの衆院選に勝利することは困難であろう。

争点に浮上する消費税問題について、主権者多数の意思に沿う明確な方針提示が必要不可欠である。

そもそも、2009年に政権を樹立した民主党が、ここまで主権者国民から見放されるようになった原因は何なのであろうか。

この根本を謙虚に見つめて、非は非として正す、というプロセスがなければ、主権者国民の支持を得ることは困難である。

昨年夏の参院選でも11の1人区で野党共闘候補が勝利し、この都によって民進党が辛うじて議席の上積みを獲得したが、その議席は民進党が単独で獲得したものでないことを認識しておくべきだ。

民主党、現在の民進党が主権者国民の全面的な不支持を得ている最大の理由は、消費税問題の取り扱いにある。

2009年の政権樹立に際して民主党は、

「シロアリ退治なき消費税増税を認めない」

ことを確約した。

ところが、2010年6月に菅直人氏がこの公約をいきなり一方的に破棄した。

そして、2012年、上記公約を明言した本人である野田佳彦氏が「シロアリ退治なき消費税増税」に突き進んだ。

その結果としての民主党大転落が現在の民進党の原点である。

2016年度の税収は消費税が導入された1989年度と同じ55兆円である。

この27年間に生じたことは、所得税が4兆円、法人税が9兆円減って、消費税が14兆円増えたという事実である。

社会保障支出拡充のために消費税が増えたのではない。

法人税と所得税を減免するために消費税が激増しただけなのだ。

民進党は2009年のお政権発足の原点にまで回帰するべきだ。

そして、この衆院選で

消費税率の5%への回帰

原発稼働即時ゼロ

を主権者の前に明示するべきだ。

このような明確な政策公約の提示がない限り、衆院選の投票率が高まり、安倍政治を一掃することは困難であると考える。