3月22日更新分・記憶の宮殿【石頭FBノート】 | 手上のコイン Blog

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五月天の石頭がFBのノートに書いてる日記を、ちょこちょこ翻訳しております。
おかしいところがあれば、ご指摘下されば幸いですm(_ _)m


石頭FBノート 記憶宮殿'170322



記憶の宮殿

僕の記憶はとても壊れやすい代物だ。蝉の羽根のようなガラスの器に盛られた、器いっぱいの記憶の結晶は七色に眩く輝いて僕を魅きつける。
常に素晴らしい物ではあるけれど、器が割れてしまって、結晶が辺り一面に散らばってしまうと、拾い集めた時には完全ではなくなってしまう危険性がある。
大切に保存するしかないけれど、時間というのはこれを破損させてしまう元凶で、結晶は本来あった輝きを失い、最後には蒸発し跡形もなく消失してしまう。
スペンス①の『マッテオ・リッチ記憶の宮殿』に書かれていた方法を試してみたようとしたことがあるけれど、僕は自分の記憶の宮殿を建て始める為の基礎となる材料すら、全く見つけられなかった。
何故かといえば、宮殿を建てる方法では、記憶したい事柄を先に想像力によって置き換える必要があったからだ。
置き換えたあとに人は物事を脳内で架空の場景に構築する。
テレビゲームの『マインクラフト』によく似ている。
最初にまっさらな地図を提供してやり、それから物事を脳内の片隅に配置してやる。いつでも好きなときに使うことができるようにね。

決して、僕に想像力が無いということではないんだ。ただ、想像力を働かせるには時間がかかるんだ。僕が宮殿を構築しようとする時はいつも、覚えておくべき事柄があまりに多く、大脳が処理してくれるのを待たなければならない。
PCのタスクバーの上に、アプリケーションやファイルを開きっぱなしで作業していると、しまいにはフリーズして、再起動せざるをえなくなって、保存していなかったファイルがパーになってしまうようなものなんだ。

記憶というものは、時間軸の上に生まれた美しく光る点であるからというだけではなく、思い返して眺めてみる時、その僅かな時間でその眺めている者へ、すぐに影響を与える事が出来る、そういった貴重なものだ。

だから僕は日記を書き始めることにした。
勤勉に毎日を記録するまでには至らないだろうけど、僕の人生にとって重要な日々を書いてみようと思っている。
そして、今日のようにその価値があるものを記録しておこうと思う。
今日の君と僕、そしてその後の僕達の為に。

(高雄4日目)

①ジョナサン・D・スペンスはイギリスの歴史学者。主な研究は中国史。著書に『毛沢東』『神の子 洪秀全:その太平天国の建設と滅亡』などがある。
彼の書いた『マッテオ・リッチ記憶の宮殿(原題:The Memory Palace of Matteo Ricci)』はマッテリオ・リッチに関する歴史的研究の本らしいですが、その中に彼が実践していたという記憶術も紹介されているそうです。