脳死と臓器提供 | ほむにこ市川、ちょっとだけ思う事 - 司法書士法人市川事務所

脳死と臓器提供

「死は誰のものなのか」と、ちょっと考えさせられた。

臓器移植:家族承諾で移植へ
(8/10 毎日新聞/毎日jp)
http://mainichi.jp/select/science/news/20100810ddm001040012000c.html
日本臓器移植ネットワークは9日、本人の書面による臓器提供の意思表示がない20代男性について、家族が脳死判定と臓器提供を承諾し、法的に脳死と判定されたと発表した。本人意思が不明でも家族の承諾で脳死後の臓器提供を可能にする改正臓器移植法が先月17日に全面施行された後、改正法に基づいて脳死後の臓器提供が実施されるのは国内初。

自分の人生が終焉するという意味では、死は自分自身の問題。でも「死んでしまった自分」は自分の死を事象としてとらえる事はできないわけだから、そうなると死は、残される家族や友人のものという事になる。

脳死状態の人の臓器提供に対する判断を、家族にゆだねるという考え方は納得できるものだと思う。でも「脳死状態の人が臓器提供をする」という事は、その人から生命維持装置を外す事。つまり脳死を完全な死と判断するという事だ。家族にとってそれを決定するのは非常に辛いだろう。やはり本人の意思が何らかの形で確認できるようになっているのが理想的だ。それが「本人の書面による臓器提供の意思表示」。

この件は高齢者における相続の問題に似ていると思う。後見制度や遺言などが「本人の書面による臓器提供の意思表示」だ。自身での判断能力の無い人の所有物を扱うと考えると、共通する点が多い。どちらも一番大切なポイントは、「判断能力があるうちに決めておく」「それが無いと、家族が辛い想いをしてしまう」というところ。転ばぬ先の杖は、早く用意しておきたいな。