ヤクシャの問いは続く
ヤクシャ:感官の対象に触れることに喜びを覚える人間がいる。知性を備え世間からも高い評価を受けている。息をして生きていながら果たして彼は実は生きていない、と言われる。その理由は何だ?
ユディシュティラ:たとえ息をしていても、神々や客人や使用人やプリスリ(大地の女神達・女性の事か!?⦅足立啓司注⦆)に気を使って捧げることをしない人間は、生きているとは言えない。
ヤクシャ:大地より重いものはあるか?
ユディシュティラ:はい、それは母です。
ヤクシャ:天空より高いものはあるか?
ユディシュティラ:はい、父は天空よりも高い。
ヤクシャ:風よりも速いものはあるか?
ユディシュティラ:思考は風よりも速く動きます。
ヤクシャ:草よりも多いものは何だ?
ユディシュティラ:人の心に湧きおこる思いです。
ヤクシャ:徳。その実践によって何を守りたい?徳行の最大の眼目は何だ?
ユディシュティラ:それは、寛容の精神をはぐくむためです。
ヤクシャ:では名声は?名声を得ることに如何なる大義があろう?
ユディシュティラ:名声を得ることで、人は、自(みずか)らの才能を守っていく余裕を持てます。これが最大の眼目です。
ヤクシャ:ならば天国はどうか?天国が存在するならその大義は何だ?
ユディシュティラ:そこでは真実が堅く守られています。これこそ天国が存在する大義です。
ヤクシャ:では問う。幸福とはそもそも何じゃ?幸福によって一体何がそこで守られているのだ?
ユディシュティラ:善行です。善い行いが、幸福の中で最大限に守られています。
ヤクシャ:人の魂とは何じゃ?
ユディシュティラ:それは彼の息子です。息子とは、その者の魂の現れです。
ヤクシャ:神々が汝に与える友とは?
ユディシュティラ:それは妻です。
ヤクシャ:人にとって何が最大の助けである?
ユディシュティラ:それは他の多くの人達です。多勢はとても力になるのです。
ヤクシャ:人はどうやって身を守るのか?
ユディシュティラ:自らの才能。これこそが身を守る最大の術(すべ)であります。
ヤクシャ:何をもって、人は最大限に称賛されるべきか?
ユディシュティラ:その手腕であります。
ヤクシャ:人の持ち物のうちで最高の価値があるのは何か?
ユディシュティラ:それは知識です。知識こそ人の最高の持ち物です。
ヤクシャ:では問う。人が得られる最高の利益とは何?
ユディシュティラ:それは、健康です。
ヤクシャ:ならば何をもって最大の幸福となすのか?
ユディシュティラ:満ち足りていること。これこそまぎれもない、幸福の最大のカタチであります。
ヤクシャ:この世での最大の義務は何であろう?
ユディシュティラ:他を傷つけない!利他の行いこそがこの世での最大の義務です。
ヤクシャ:調御(コントロール、制御、抑制)することで後々後悔しないものはあるか?
ユディシュティラ:はい、それは思考です。これを調御することは断じて後悔には至りません。
ははぁん、思考って自由に遊せてはいけないんだ!そう言えば思い出した、天才二コラ・テスラの言葉。ごちゃごちゃ考えるのはだめ!直感が正しい!と。
高次元意識が働きだすとごちゃごちゃ考えません。既に全部わかってる。前回のブログでヤクシャがバラモンについて質問しましたね、ここで補足としてマハーバーラタが成立したという今から2500年ほど前に生きた仏陀もバラモンとはなんぞやを説いていますのでそれを見ましょう。そして最後に、クンダリーニを覚醒したわが師ゴーピ・クリシュナの言葉で今回のブログを閉めます。
ダンマパダ(ブッダの真理のことば)
第26章、詩篇400:
怒ることなく、慎みあり、戒律を奉じ、欲を増すことなく、身をととのえ、最後の身体に達した人ーかれをわれは<バラモン>と呼ぶ。
最後の身体とは、もはや生まれ変わって次の身体を受けることが無い、という意味です。そういう自覚があるのです。
では最後にわが師ゴーピ・クリシュナの言葉を紹介します。
『高次元意識 人類の進化が目指すもの』第7章、p217, この生命の実相の自覚が今日明日に起こっても、或いはまだ遠い未来の子孫の代に起こるとしても、目覚めた人間が発見するのは、生命の舞台をひたすらに照らしてきた太陽としての自分の存在です。かつて自分が演じたとも思える生命世界の舞台がありありと見えるでしょう。人間以前の生き物だったこともあります。人間としてもたくさんの役を演じました。しかし、目覚めた人間はすでに超越しています。眠っていた者が夢から醒めるように、その舞台の幸せな場面からも不幸な場面からも、彼はもはや脱しているのです。
そう、クンダリーニが覚醒すると輪廻転生の輪から脱した、という自覚(授記)を得るのです。いいですか、これ大事ですよ。
ではまた次回まで。
ヴァジュラサットヴァ/足立啓司