液晶ディスプレイ選び(その3) | 間違いだらけのパソコン作り

液晶ディスプレイ選び(その3)

その2の続きです。


 今までは、現在既に製品化されて一般市場に出回っているパネルを紹介しましたが、今後の商品化と低価格化が期待される次世代パネルには以下のようなものがあります。今から5年後くらいには製品が我々の手の届く範囲に入って来ればいいのですけどね。


■有機ELパネル


 電圧をかけると発光する発光体(無機物だとカラー化が難しいので、有機物を利用している。無機物を利用したパネルは無機ELパネル)を利用して、画像を表示する。現在主流のバックライトの光を利用するものではなく自発光なので「輝度が高い」「視野角が広い」「応答速度が速い」「発色が美しい」「消費電力が小さい」「薄型、軽量にできる」「形状に自由度がある」といいことずくめ
 それでなんで普及しないのか?と言えば、パネルが非常にデリケートで空気に触れるとすぐに発光体が劣化して使い物にならなくなってしまうため、パネルを作成すると同時に空気に触れない状態でパネルをパッキングするといういかにも難しそうな工程が存在することがまず挙げられます。このことで歩留まりが悪くなり(失敗率が高い)本来であれば安くなるはずのコストが高くなるともに、大型化も難しくなっています。そして現在最大の課題と言ってもいいのが「寿命が短い」という点です。これについては現在開発競争が行われている真っ最中で、近いうちに10,000時間の壁は破られることになるようですが、液晶テレビが60,000時間の寿命を持つ中で10,000時間では用途は限られることは間違いありません。車に乗った時しか使わないカーナビとか、動画はあまり見ない携帯電話とか。
 いずれにせよ今後非常に期待できるパネルには違いなく、三洋電機は有機ELディスプレー事業から撤退してしまいましたが、エプソンやソニー、パイオニア、日立、京セラなどがんばっているメーカーは多数あります。サムスンなど海外系のメーカーもかなりの技術力を持っているようです。技術の進歩に期待しましょう。


■表面電界ディスプレイ(SED Surface-conduction Electron-emitter Display)


 実際そんな単純に事は運びませんが、平たく言えば、従来のブラウン管の電子ビームを画素毎に設けて蛍光体との距離を大幅に縮めたものです。
 この技術により従来のCRTの広視野角、高輝度、高応答速度といったメリットはそのままで現在の液晶、プラズマディスプレイに勝る薄型化が可能となります。さらに消費電力についてもCRTに勝るのはもちろんのこと、開発を進めているキャノンと東芝によれば液晶やプラズマよりも優位となっています。
 SEDについては上記のキャノンと東芝によって今年1月に既に試作機が公開されており「2007年に製品を投入する」とプレスリリースされています。価格や画質に期待が膨らんでしまいます。


~~~補足説明~~~


〔応答速度について〕

 現在オフィスではほとんどのディスプレイが液晶に置き換わり、家庭でも液晶やプラズマなどへの置き換わりが進んでいます。
 しかし、全ての分野で液晶に移行しているのかというと、現時点ではそうでもありません。(画像編集用モニターなどは依然CRTです)
 この理由としては、やはり描画方式からくる色の再現性(特に暗色部分)と応答速度の問題だと思われます。
 応答速度は、画面上で色が切り替わる速度のことを言います。一般に「黒→白」または「白→黒」という完全ON、OFFの表示に要する時間と、「グレイ→グレイ」という中間色の表示に要する時間とがあります。ディスプレイを見る時には中間色を見る機会がかなり多くなり、特に動画を見る場合には中間色ばかりと言っても過言では無いわけですから、動画を見る場合には中間色の応答速度を気にしておく必要があります。
中間色の応答速度は液晶モニタの泣き所であり、10万を超えるような製品は置いておくとして、5万以内のPC用ディスプレイでは中間色の応答速度への配慮というのはあまり期待できません。
 さらに、このクラスの製品では「黒→白」の応答速度だけしか表示しないで「8msを実現!」などといかにもバツグンに動画に強いといった印象を与える宣伝をしておきながら、実際は中間色表示では数十ms程度まで応答速度が落ちてしまい、結果残像が出まくるといったディスプレイなどもあったようです。ここらへんはテレビを見たい方は要チェックです。
 最近では中間色の応答速度を高めるOD機能が搭載された安価なVA液晶を出すメーカーが出てきました。DVD鑑賞などはバッチリなようです。喜ばしいです。企業努力を賞賛したいと思います。  

 しかし、完璧というわけではなく、中間色は比較的高応答速度になりますが、「白→黒→白」については20~25msの応答速度のままとなりますので、建物内部や洞窟など暗い中でキャラが激しく動くようなゲームをやると、かなり残像がひどいようです。

 なお、当然ですがテレビの場合は動画を見るのが目的ですから、残像がはっきり出てしまうようでは使い物になりません。従ってテレビには残像を出ないようにする技術がよほどcheapなものでない限り搭載されています。例えば、


SHARP : 高速動画表示技術
Panasonic : クリアフォーカス駆動
Victor : 高速液晶ドライバ
Sony : 名前はわからないけど、SAMSUNGの技術が組み込まれていると思われる


などです。この中ではやはりシャープの技術が独創的で一番なんじゃないかと個人的に思います。


〔表示色数について〕

 現在のPCモニタでフルカラーと言えばRGB各色で8bitの解像度を持つパネルを指しますが、疑似フルカラーパネルというものもかなり出回っています。フルカラーパネルは8bitなので各色で256階調(2の8乗)が表現でき、256×256×256(R,G,Bの3色だから)=約1677万色の表示が可能となりますが、疑似フルカラーパネルは基本的に各色6bitの解像度しか持たないパネルを使用しています。6bitのパネルというのは2の6乗で各色64階調ですから、64×64×64=約26万色の表示色数ということになります。
 これがどのように疑似といえどもフルカラーになるかと言えば、それは各色で64階調しか持たないものをソフト的な処理(ディザリング)によって256階調程度に高めているからです。
 しかし、完全な256階調化は無理で、処理の都合上どうしても各色3階調足りなくなってしまいます。それで疑似フルカラーパネルは253×253×253=約1619万色という仕様になるのです。
 疑似フルカラーパネルはフルカラーよりも画質が悪い分安価で、実際売れているので実用上十分という人もかなりいると思います。しかし、当然チラつきやぼやけ、色の表現が悪いといった問題が起こります。フルカラーと疑似フルカラーの製品を並べて見てしまうと画質の差は歴然でしょう。
 フルカラーパネルだと最低7、8万はするということなら軽くあきらめてしまうんですが、ここら辺は5万円以内のモニタでも十分クリアできる部分なので、自分的にはフルカラーか疑似フルカラーかという点を「ゆずれない一線」としました。

 ま、以上で前置きは終わりとして、次章からは実際の液晶選びの経緯を書きたいと思います~。