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霽月日乗・ホーマーEのブログ

個人の備忘録です。

今日の現場はこちら。





会場は九段上のイタリア文化会館B2Fアニェッリホール、内装も椅子もとてもモダンなデザインでした。


オペラというのは歌手はもちろんオーケストラも舞台装置も大掛かりなのでそうそう簡単に上演できるものではありません。従ってたとえばコンサート形式(舞台装置なし、歌手も普通のリサイタルで着るような式服)などの簡易的な方法で上演されることがありますけど、さらにリブレットや楽曲にも手を入れて朗読劇の形式にしたものがリーディング・オペラ、と解釈してよろしいかと。


リーディング、というからには歌はかなり犠牲になるんだろうな、という先入観をもって今日この公演に臨みましたが、結論から申し上げれば非常に満足のゆく催しでした。


たとえば『蝶々夫人』という演目なら、オペラだと大雑把に言えば歌8に台詞(レチタティーヴォ)2くらいの割合とすれば、今日のこれは逆に台詞8の歌2という印象。購入したプログラムを見ますと、歌(アリア、二重唱などを含む)は約2時間の公演(全二幕)のうち全部で9曲、有名な「ある晴れた日に」は蝶々夫人の独唱とカーテンコールでの合唱の2回歌われました。


ただし、すべてが原曲通りというわけではなく、ミュージカル曲的に編曲されてたり、プッチーニの他のオペラ(『トゥーランドット』のリューのアリア?)を流用していたり、その辺りはリーディング・オペラという形式に合わせて自由度の高い構成、伴奏は二十五絃琴と二胡、アコーディオンという和漢洋の組み合わせでしたが、すべてが高いレベルで調和が取れていて申し分なかった。


ピンカートン役の上原理生さん、シャープレス役の宮原浩暢さんはいずれも藝大声楽科ご出身で現在はミュージカルでご活躍されている由、スズキ役の市川笑三郎さんは説明不要ですよね(随所に歌舞伎の所作が入って、思わず「澤瀉屋」と口に出そうになった)。


そんな「本筋」のみなさんに囲まれてわれらがひなちゃんはどんなパフォーマンスを見せてくれるのかと興味津々でしたが、いや、素晴らしかったです。彼女の声域はアルト〜コントラルトだと思うのですが(僕の聴感です)、二重唱や合唱でも男声に埋もれることなく、高音が真っ直ぐに客席に飛んで来ました。ビブラートも美しかった。数年前に見たミュージカルでもいたく感心しましたけど、ひなちゃん、年々成長を遂げて、今日の最後の独唱など声が本当に強くて凄みさえ帯びてました。


プッチーニの旋律って筋がわかってても泣きの場面に掛かるとやっぱりウルウルしちゃうんですね。今日も危うかった(でも少し涙ぐみましたけど)。プッチーニといえば僕が最も好きなのは『ボエーム』、そして『西部の娘』『トスカ』『トゥーランドット』などがそれに続いて、『蝶々夫人』はそれほど好きじゃなかったのですが(一種の共感性羞恥ですかね、西洋産の日本モノを観たり聴いたりする時に感じるアレのせいです)、今日のひなちゃんを観てこの演目に対する評価が少しく変わりました。ひなちゃんありがとう。ひなちゃんのおかげで僕の精神生活が今日からまた少し豊かになりました。







これから行かれるひなちゃん推しの方、大いなる期待をもって臨んでください。プログラム1.5k、ハガキ2枚セット0.5kも良心的な価格で、プログラムは内容も充実してるのでお買い求めになられた方が良いかと。



もう一度観に行きたいところですが、予定が詰まっててどうにもならないのが惜しい。


最後にひとこと、アー写には見当たりませんが、ひなちゃん、第一幕で着ていた淡い色合いの振袖衣装も可愛らしくて素敵でした。