エビ中について記述するということ | 霽月日乗・ホーマーEのブログ

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個人の備忘録です。

自分の好きなものについて思わず語りたくなる、あるいは書きたくなるというのは自然な欲求であり、現にいろいろな方がいろいろなアウトプット、つまりブログやツイッターなどの私的な場から、果ては(より公共性の高い)雑誌とか書籍などのメディアにおいて、自分の感じたことや考えたことを開陳していますが、音声や映像も表現の一手段であることからすると、YouTubeや各種配信も一種の記述と考えてこれに加えても良いように思います。

当ブログの読者の皆さんもたとえばエビ中の新しいアルバムを聴いたりライブを見たりして、彼女らについて何か書きたい、語りたいと思うことがあろうかと想像しますが、その際にふと気づくことはありませんか、自分は一体何について記述しているのかと。エビ中に限らずアイドルについて語るのが案外難しいのは、今自分はエビ中の「何」について語っているのかを、かなり意識的に自覚というか自省しないとすぐにロジックが破綻する。アイドルがときに大げさに「総合芸術」などと呼ばれるのは、そういう多面的な対象であるからと自分では認識しております。

たとえば先週MVが公開された「23回目のサマーナイト」について、まず曲に注目するとしましょう。どんな曲か、先行する曲群(アイドルやJPOPに限らず、もっと対象を広げてもよい)との比較や史的位置づけ、コード進行とか楽器演奏の特徴などプラクティカルなことがら、着眼点はたくさんあります。

そして歌詞、これについては文藝批評の方法論が援用できるかも知れません。韻の踏み方や言葉の選び方などの表層的なことがら、それらが喚起するイメージ、あるいは受容する側の反応のありようなど、実際に言葉で成りなっている部分ですからとっかかりとして一番語りやすいかも知れません。

今回のMVは実際に歌って踊ってというパフォーマンスを描いたものではなく、メンバーそれぞれがデートの場面を演じているわけですが、それらも含めて視聴者の目に見える全ての表象について語る場合、たとえば芝居とか映画に関する用語を用いれば語りやすいかも知れません。

曲にしても詞にしても映像にしても、それぞれには個別に作者がいるわけで、そうすると作曲家とか作詞家とか振付師とか映像作家に対する評価とエビ中メンバーのパフォーマンスとは一応切り離して考えないと語る対象がぼやけます。この点が自覚できていない、あるいは自覚していてもそれがうまく表現できていなければ、読む人には言わんとすることがなかなか伝わりません。

このようにMV一つ取り上げるにしても個別に検討すべき要素はいくつかありますが、これらが混然一体となったところにエビ中という「アイドル」が存在するわけですから、少なくとも上記のような「分析」とそれらの「総合」にバランスよく目配せしないと、彼女らについてうまく語ることは難しいでしょう。

その上、厄介なことに、アイドルについてはメンバーとファンとの関係性、つまり現場で醸成される空気というか、「そこ」にいないと外からでは感知できない肌合いというか、現代のアイドルを語る上で絶対に無視できない、たとえば英語のatmosphereという言葉で指し示すべき「何か」、それを踏まえないと、何を書こうが語ろうが説得力を著しく欠くことになろうかと思います。長い間現場に通い続けて、対象とそこそこ歴史を築いたファンが、一部を切り取っただけの(自称、他称を問わず)評論家の文章に深みを感じたり共感を持ったりすることのないのは、この辺りに原因があるのだろうと思います。

とまあワケ知り顔でこんなことを書いている自分にしても、以上のようなことがらをなるべく頭の片隅に置くようにしてエビ中についてこの場で語っているわけですが、それがいつも成功しているとはとても言えません。どこか独りよがりな、的外れな結論に着地する場合も多々ありますし、そもそも文章としてうまく語れて/書けているかと問われれば、自分としては正直なところ言葉足らずというか満足できないことの方が多い。

ともあれ、自分はエビ中のことを言葉をもって表現するのに、たまに雑誌などに文章を載せるよりも、彼女らとともに在り続け、時に応じて綴り続けるのが方法論として最適というか、「より悪くない」という消極的選択肢としてブログというアウトプットを選んだわけです。2014年の5月に始めて以来、昨日までで総ポスト数1320、そのうちエビ中をテーマとして835本、その他にもエビ中にうっすら関連した記事多数、でも自分としてはまだまだ語りきれてないし、彼女らは日々新しいものを生み出しているので、陳腐なたとえで恐縮ですが、どこまで行ってもアキレスと亀の気分です。つまるところ、エビ中とは結果ではなくプロセスであって、その意味において日々の生活なのだ、と考えるのが(とりあえずの)僕の立場です。日々の生活を記述するのはすなわち日記を書くということに他ならない。このブログを「日乗」と名付けた所以です。

明日は配信とは言え久しぶりのライブですね。今から楽しみで仕方がないし、それについてまた僕はここで駄文をものする予定でおります。