曲の好みという話になると、個人的には「全力☆ランナー」とか「面皰」なんて曲は、以前だったらスルーだったでしょうね。ある音楽を聴いて、いいな、とか、つまらん、とか、そういう判断を無意識に下すのは、音楽という一種の刺激に触れた際、どういうムードというか世界を自分の脳がその中で作りたがっているか、それに係っている。自分の例で言えば、即興音楽にどハマりしていた頃は、3分キッチリで終わる、リズムパターンの平板な、旋律が甘きに過ぎてあざとい、音韻も何も踏まえない低俗な歌詞を撒き散らすポップスは和洋問わず大嫌いでした。その頃の僕は純粋音楽というか、音楽を一切のリテラチャー(文学、という狭い意味だけじゃなく、言語にかかわる活動全て)から切り離して聴くべきという思想で凝り固まっていた。もし今でもこういう態度で臨むなら、今日のブログタイトルの2曲なんて当然槍玉に上がるワケです。
アイドル楽曲の善し悪しを判断するとき、音楽的側面と同じくらい、ときにそれ以上に、当該アイドル本人(たち)への思い入れというものが判断に影響を与えます。僕は「全力☆ランナー」とか「面皰」を聴いたりMVを見たりしているとき、ああ、美怜ちゃん可愛いな、ライブで見たここの部分の振り、優雅だったな、♪恋のおジャマハァんボ最高、とか、気持ち悪いことを考えながらニヤニヤしている次第ですが、こういう時に純粋音楽だの受容理論だのジャズの10月革命だのの話をされても「ハァ?」ですよね。
まあだからどの曲が好きとか良いとかいう話は、理論武装して力こぶ入れてするものじゃない。楽曲だけでなくアイドルそのものについても、学問的にと称していい大人が唾を飛ばして議論するのもどうかと思いますよ。人それぞれ、拠って立つ土壌というか参照の枠組というか、そもそも話の出発点が(特にアイドルのファンは)千差万別ですから。
えーと、曲の話がないがしろになってしまいました。「全力☆ランナー」は杉山勝彦の作。この人の作る曲や詞はいつも清潔感に溢れてますね。クラシック的な構成美と言葉選びのセンス、大した才能だと思います。「第4回全国小・中学校リズムダンスふれあいコンクール規定曲」に選ばれたのも頷けますよね。後援は文科省だって(笑)。でも、彼はJK好きなんだろうな。ええ、もちろん僕も好きですよ。
「面皰」の吉澤嘉代子さんはエビ中にとって第二のたむらぱんになりそうですかね? 何となくそんな風な期待が持てます。 この曲は渋谷の特殊法人・みんなの歌ふうのメロディ、レトロスペクティブな効果音と録音(左右チャンネルで楽器を振り分けるステレオ初期の手法)で、みなさん昭和だ昭和だと言ってますけど、リズムセクションは結構いろいろ複雑なことやってて、なかなかの野心作です。パーソネルにハマ・オカモト、ピエール中野、なんて名前を見て納得しました。ライブで聴くとよくわかります。春ツアーに行かれる方はその辺も意識して臨まれると楽しいですよ。
