駅から会場までは乗せて下さる方がいらしたので自動車で。あ、帰りはまた別の方が現地から新宿まで同乗させて下さり、大変助かりました。僕のような者にも声をかけて頂いて本当に感謝です(N監督、ともさん、けんけんさん、いつも有難う)。
市原、長閑で良いところですね。僕は初めてでしたが、国分寺跡もあり、なかなかに古い町です。何となく故郷を思い出しました(大阪と京都の中間あたりです)。
会場のキャパは1500人ほどらしく、こじんまりしたホール、僕は最後列でしたが、眺めはこんな感じ、目を凝らせばメンバーの表情もうかがえる距離でした。
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画にしろ、小説にしろ、すぐれた作品がひとを打つとはどういうことか。まさしく、その作品に於て集中されているエネルギイが、それにふれるひとびとに、かつそれと因縁あるひとびとに直接に感応するものと見られる。そうして自分に於て吸収しえただけのエネルギイの量を、ひとはめいめいの流儀で、今度は自分の仕事として打出するに至るであろう。たとえば、慰問のレコードでショパンを聴いた後、兵士が勃然と銃を取って前線に駆け出して行ったり、ヴァレリイを読んだ後、学生が夢中で数学の勉強をはじめたり、光悦の茶碗に感心したとたん、書けないでいた小説家が急に何か書きたくなったり、その他よい芝居を見た晩にふと汽車に乗って山登りに行きたくなる会社員も、ドン・キホオテを読んでどうしても飛行家になると決心する中学生も、それらはすべて大小深浅にかかわらず、藝術作品が享受者に及ぼすところのうつくしい感動の発現に相違ない。一般に、立派な藝術作品はかならず惰夫を起たしめる底の力をはらんでいるものだ。もっとも、それでも起ちえないような人間のことを、惰夫というのかも知れぬ。
(石川淳『文学大概』「虚構について」、読みやすさを考慮して、新字新かなにあらためました)
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上記の引用、「作品」を「昨日のライブ」と置き換えてお読みください。僕ももちろん「惰夫」の1人ですけど、昨日のライブを見て確かに生きる力がフツフツと湧いてきました。昨日居合わせたみなさんはどうでしたか?
ファンは、少なくとも僕は、エビ中現場にこうした力を貰いにせっせと足を運んでいます。この力は一種の「救済」と言っていいかも知れない。その意味ではエビ中ライブは一個の藝術作品であるのと同時に、サンティアゴ・デ・コンポステーラやメッカや金毘羅のように、信者が巡礼の目的地とする霊場でもある。また大げさなことを言うようですが、これは僕自身の考え、心情なので、読者のみなさんが無理に賛同される必要はありません。アイドル評において用いられる「信者」という言葉はほぼ100パーセント悪い意味(狭量、妄執、排他、といった概念を含む)で使われますけど、僕は敢えて自分を信者と呼びます。だって、エビ中を、美怜ちゃんを信奉してるんだから、信者で間違い無いでしょう。
さて、ライブについてもう少し具体的なことを言うと、毎日エビ中の情報に触れ、彼女らのブログを読み、雑誌やテレビ等での仕事を随時追っている人にはわかると思いますが、短期間の準備で、しかも体調が必ずしも万全でないメンバーがいる中、これだけのパフォーマンスを見せてくれる彼女らには、毎度のこととは言え、驚きと賞賛を禁じえない。そのあたりのこと、昨日のセトリを見るだけでもある程度はご理解頂けるかと(曲名は適当に略してあります)……
1. ebiture
2. ゼッテーアナーキー
3. 出席番号2
4. ティッシュ
5. えびぞり
6. ガリ勉
7. 大人
8. 誘惑
9. 手をつなごう
10. 金八
11. ちちんぷい
12. ハイタテキ
13. PLAYBACK
14. 全力☆ランナー
15. 夏だぜジョニー
16. ナチュメロらんでぶー
17. 面皰
18. お願いジーザス
19. 参枚目のタフガキ
20. 春休みモラトリアム中学生
21. MISSION SURVIVOR
22. ポップコーントーン
E1. 仮契約
E2. スーパーヒーロー
既存曲は現在のエビ中運営が想定するところの「勝負曲」なのでしょう。いずれも風格さえ漂うパフォーマンスでした。
14から22のニューアルバム曲群(15、16は既出)の初披露は圧巻でした。21は僕は必ずしも評価してませんでした(むしろ桃か鯱向き?)が、ライブで一緒にタオルを振り回していると、そんなことはどうでもよくなりましたね。17はライブではサウンドが肚に響き、ちょっと印象が変わりますよ。パヤパヤだけの緩い曲じゃありません(でも基本は超絶カワイイ、なんですけどね)。18、19については後日また曲そのものについて思うところを書きますが、うっとりしましたね。20はライブの方がさらにいい。迫力あります。14は振りが難しそう、優雅でした。しかし14といい22といい、杉山、田村両氏の作る旋律は魔術的ですらある。両曲のサビ、恍惚の一言。
順序が逆になりましたが、ebitureからのゼッテーアナーキー、会場が一発で点火しました。この曲はやっぱり『穴空』の顔ですね。難しいことは考えずにライブに没入せよというあの強制力(笑)。
突発性難聴が未だ癒えぬひなちゃん、最後まで完走しました。ソロパートでは声はいつにも増してよく出てた気がしましたが、何ぶん遠い席でしたから細かい表情や動きは十分には把握できず。でも、完走できたことで今後のツアーへの見通しも少しは立ったのでは?
喉が不調のぁぃぁぃは歌い方や発声を工夫して何とか乗り切ったようです。歌の代わりに、というわけでもないんでしょうけど、踊りは派手でした。1人だけ別の振り付けを踊っているよう(笑)。それでも最後のスーパーヒーローでは不調なりにも渾身のシャウト、かすれ気味の切ない声に胸を打たれました。鮮やかな幕引き。
そして松野莉奈ちゃん。彼女はホントに見違えました。以前は首から上だけを使ったような、窮屈そうな発声でしたが、自分が気持ちよく歌えるポイントを摑んだんでしょうね。しかも堂々と、いかにも楽しげに躍動してました。
りかちゃんは……彼女の素晴らしいところは、見るたびにパフォーマンスの最高点が更新されるところかな。歌も踊りも頭1つ抜けた感あり。
彩ちゃん、かほちゃん、りこちゃんの3人は歌もMCも安定してました。自覚っていうのかな、不調のメンバーをカバーしようという意思に溢れていた。こうして成長して行くんですね。いつもは4=4で分かれる衣装替えの繋ぎのMC、昨日はひなちゃんとぁぃぁぃを少しでも休ませるためか、4=2の変則で、その2の部分がかほりこの2人。この2人の掛け合いを見ていて、彼女らのこの2年の軌跡が目に浮かびました。
そして美怜ちゃん。彼女の一挙手一投足にライブ中の長い時間、僕の目が釘付けになったのは、わざわざ言うまでもありません。僕は彼女のパフォーマンスをこの目で、その場で見られることを、何よりも幸としたい。僕は彼女についてはうまく語れません。客観的な認識なんて無理ですから、なかなか言葉にならない、とだけ言っておきます。



