Dynagrooveというのは60年代初めに米RCAが開発したシステムで、レコード再生時に生じる内周の歪みを補正、静音時の低音を増強、といった「お化粧」をあらかじめ施した方式、と、ものの本には書いてあります。但しこれは当時の主流だった円錐針(丸針)を用いての再生を前提としているので、その後開発された楕円針で聴くと逆に歪んで聴こえます。僕の使っているPickering社のカートリッジNP/ATの交換針は丸針で、特にそれほど大きな問題はありません。でも、そもそも変な味付けをしていることに変わりはないので、この方式は一般にあまり評判がよろしくない。確かにダイナグルーヴを謳ったレコードには優秀録音盤はないなあ、というのが個人的感想、中古市場でもおしなべて廉価です。このレコードも1kしませんでした。
ラヴェルのボレロといえば、アンドレ・クリュイタンスがパリ音楽院管を振った仏コロンビア盤が演奏的にも録音的にも、またジャケットの美観的にも(アトリエ・ジュベールのデザイン)決定盤でしょうが、僕はこのミュンシュ盤も好きなのでこうして手元に置いています。あ、B面の亡き王女のためのパヴァーヌもラ・ヴァルスも素晴らしいですよ、後者はちょっと騒々しいけど。
また、ボレロといえばベジャール振付のバレエ。ジョルジュ・ドンはすでにこの世の人でなく、シルヴィ・ギエムも引退してしまった今、彼らのパフォーマンスを生で(しかも複数回)観られたことは、かつて自分が考えていたよりもかなり幸運だったと、最近になってから感じるようになりました。やっぱりね、観られるときに何でも観ておくものです。

