エビ中をきっかけに俳句と川柳について考えてみよう | 霽月日乗・ホーマーEのブログ

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個人の備忘録です。

ぁぃぁぃがNHK俳句に昇格、というのも変だけど、ともかくまた俳句番組に出ることになったということで、俳句と川柳についてお浚いしておきましょう。放送部でもエビ俳句ってのを相変わらず募集してますからね。

みなさん俳句と川柳の違い、きちんと説明できますか?  両者のルーツはもともと同じなんですね。俳諧の連歌、というのがそれで、江戸時代に発達しました。

連歌というのは短歌の上の句(五七五)と下の句(七七)を交互に連ねたもので、中世に流行した詩歌の形式です。第一句を発句、次を脇、その次が第三、最終句を挙句といいます。他は平句。

16世紀になって、この連歌に滑稽、洒脱の味、すなわち俳諧味を加えたものが現れました。これを俳諧の連歌といいます。山崎宗鑑らが始めました。「俳諧」は性質を、「連歌」は形式をそれぞれ指す言葉ですが、後半を端折って単に「俳諧」と呼ばれるようになります。江戸時代、「俳諧をする」といえば、何人かで集まってこの俳諧の連歌を作る遊びを指します。松尾芭蕉はこれの達人でした。

端的に言えば、俳句はこの俳諧の連歌の発句から、川柳は平句から発展したものです。

発句には季語と切れを必要とします。これは現代の俳句と同じですね。では、なぜ季語や切れが必要なのか。あ、この辺りは『新版連句への招待』(乾裕幸・白石悌三)とか『俳句と川柳』(復本一郎)とかの参考書を見ながら書いてますよ。

そもそも俳諧の連歌というのは「座」の文藝、サロン文学なんですね。主人がいて客がいる。一種の社交。だから発句を詠む人はまず時候の挨拶から入るわけです。加えて、季語というのは風雪を耐えて生き残り、洗練された第一級の言葉なわけです。当然その背後に文化の総体としての遺産を背負っている。だからこういう語を入れることで一句の柄がぐんと大きくなる、句の世界が広がるわけです。日本庭園でいう借景みたいなものかな。あれも自然の風景を利用して庭のスケールを大きくしようという試みでしょ。小説で言えばジョイスやガルシア=マルケスが神話を下敷きにすることで作品の世界を重層化した、ああいう呼吸ですね。だから季語は入れないといけないという強制ではなく、季語を利用して作品に深みを持たせようという積極的要請なわけです。

次に「切れ」。これを考えるには連歌の鑑賞法を理解しないといけません。連歌の各句は「二句一章」といって、必ず前句と付句(社交ですからね。会話形式なわけです)の二つで一組と見る。前句から付句へのつながりを吟味し、また付句から前句へ戻って玩味する、「行きて帰る心の味」を大事にするわけです。ところが発句には前句がないわけですから、それ一句で二句セットの味を出さないといけない。それゆえ、一句をどこかで切って二句分のはたらきを持たせるわけです。そのはたらきを持たせるための字が「切れ字」。

古 池 や 蛙 飛 こ む 水 の を と (芭蕉)

「や」で句が「切れ」てますね。切れ字の前後で二つのイメージがそれぞれ呈示されています。もっとも、切れ字は必要十分条件ではなく、切れ字がなくても「切れ」ていればよし、と芭蕉は言っています。

梅 が 香 に の つ と 日 の 出 る 山 路 か な (芭蕉)

切れ字は「かな」。区末で切れています(「に」で微妙に切れている、という人もいますが、「かな」ほど明確な切れ字じゃありません)。これはどう解釈すればよいか。先ほど連歌の鑑賞は「二句一章」と言いました。発句は二句分のはたらきをしないといけない。「かな」は詠嘆の係助詞(切れ字と係助詞の関係については話が長くなるのでここでは述べません)、後ろに余韻を残します。この「余韻」とセットで二句と考えればいいってことですね。後半部は受け手に委ねられているということです。

俳諧の発句は明治になって、正岡子規の提唱により、それ単独で玩味されるべき「俳句」となりました。以来、現在のような形で行われています。

少し長くなってきました。川柳の歴史については(こちらはちょっと複雑なので)今回は省略します。俳句との違いを言えば、俳諧の連歌の平句、つまり無季で切れのない句から面白み、奇抜というはたらきを旨として発展したもの、と考えればいいでしょう。

現在、俳句と川柳の区別がつきにくくなっているのは、俳句にも無季のものがあったり、元来俳句の属性であるべき滑稽、洒脱が川柳に侵食されたりしていることが原因でしょうね。エビ中放送部に投稿されるエビ俳句は形式的にも内容的にもほとんどが川柳なんですが、その辺をとやかくいうのは野暮というものでしょう。俳諧的精神を以って詠まれた句は俳句、ということでいいんじゃないでしょうか。

ということで、僕も即吟。まず俳句。


梅 が 香 に の つ と 芽 の 出 る あ い か か な (霽月)


次に川柳……


五 五 七 二 三 二 〇 で 五 七 五 (霽月)



どうも実作はうまく行きませんね。最後に一句。


朝 の チ ャ イ ム 早 く 鳴 ら し て ほ っ し ー な (霽月)


あーあ、こんなんじゃ恥ずかしくてとても投稿なんてできませんね (´・_・`)


【追記】自分の俳句、あまりにもヒドい(笑)ので、もう少しちゃんとしたのを詠んでおきます。

梅 ご よ み 吾 子 も を と め に な り け ら し (霽月)