ケアマネさんも引き継ぎに対して病院に不信感を持ったようで、わざわざその病院の知り合いの看護師さんに話を聞いてくれたらしい。

ただでさえ忙しい救急病院、コロナ禍で異常事態なので状況的に引き継ぎもきちんと行えないようだった。病棟でコロナ感染が起きてバタバタしていたのは仕方ない。

ケアマネさんはとても良い方だったので介護に関して無知な私達家族に一から色々と教えてくださり本当に感謝しか無い。

 

 

翌日の朝食は父母私の三人で食べた。これまで当たり前だった光景はとても幸せな時間だったんだな。

母が入院してから面会は禁止だったので会うのは二ヶ月ぶり、残された時間は母と幸せな時間を過ごしていこうと思った。

 

朝食も終盤を迎える頃、母が一瞬気を失ったように意識が無くなりお皿を落としてしまう。

最初は脳症なのかな?と思ったが毎日続き徐々に回数も増えていく。

退院しているのだから問題は無いと思っていたが、もしかしたら病院ではカーテンを締め切り、お皿も置いたままで食べるので病院側ではこの様子は気づかれていなかったのかもしれない。

 

毎食後に訪れる大量の薬。母は面倒だと子供がラムネを頬張るように手に取り一気に飲み干してしまう。入院中もこうして一人頑張ってきたんだなと思うと辛くなる。

対処療法の薬でしかない。母は自分の病気を知っているのだろうか?

母の口から病気の事は一切質問されなかったけれど。

 

食後はリハビリしなくちゃねと歩行器でリビングを往復している。

日の当たる場所でニコニコしながら自宅が一番落ち着くねと幸せそう。

そして「あれ?お薬飲んだっけ?」と聞いてくる。たった3分前の事。

もしかしたら認知症にもなってしまったのかな。

 

これだけ人に会わず入院中は締め切った部屋で刺激がなく過ごし

こんなにたくさんの薬を飲んでいたらおかしくもなるよね。

 

久々の我が家で母とお茶ができるのが嬉しくて長話をしていたけど

薬を飲んだ後からぼーっとしているので疲れさせてはいけないという事を思い出し寝かせた。

 

午後は殆ど起きずにずっと寝ている状態だった。

今思えば看護師さんがお薬の事やその他の大事な事を母に伝えていても母は忘れてしまい

私達に伝える事ができなかのかもしれない。