まみはユンと結ばれたことで、よりユンのことを大切な存在だと意識するようになった。
それでも仕事が忙しくて会えないということが分かっていたから、尚更寂しかった。
【りりオンニぃ、オンニはフニオッパと会えてますか?】
【ううん、会ってない。】
【寂しくありませんか?】
【寂しくないっ言ったら嘘になるけど。でもあと少ししたらもっとカッコいいフニに会えるからいいんだぁ。】
【?】
【あれ?まみちゃん知らないの?フニ達、もうすぐカンバックでしょ?】
【カンバック?カンバックってフニオッパ、歌手なんですか?】
【そうだよ、フニは歌も歌えるけどラップ担当。】
【……ちょっと待って。今、『フニ達』って言いました?それって、ユンも歌手なの?】
〔まみちゃん、もしかして本当に知らないの?でもそれを私が話していいものなのかな?〕
【ユンから何も聞いてないの?】
【仕事が忙しいのは知ってますけど……。私、ユンもフニオッパもモデルかと思ってたから。】
【あぁ、なるほど。】
〔確かに二人とも背が高くてモデル体型だわ。一般企業にあんな風に髪を染めてピアスしてる人が勤めてる訳ないし。歌手や俳優をイメージするより、モデルが一番在り来りな発想よね。〕
【私が言うのもなんだけど、二人とも結構人気あるんだよ?うーん、でもユンから直接聞いた方がいいと思うから、私はこれ以上何も言わない。】
【……分かりました。ユンに聞いてみます。】
【まみちゃん、ユンが歌手だったら嫌?】
【嫌じゃないけど……なんかビックリで。】
【私はデビューする前からフニを知ってるから何の違和感も無いけど、まみちゃんはビックリするよね。】
【はい、本当に。……またりりオンニに話を聞くかもしれないですけど、その時はよろしくお願いします。】
まみはそう返信して、りりとの会話を終わらせた。
まみはユンにLINEする前に、自分でググってみた。
《カンスンユン》
〈シンガーソングライター、WINNERのリーダー(ボーカル)。〉
そこにはユンのソロ曲、WINNERの代表曲も書いてあった。
そしてWINNERのメンバーの写真にフニがいたのだった。
〔りりオンニの言う通り、ユンとフニは同じグループの歌手だった。
!!私、ユンに『歌手になったらいいのに。』って言っちゃった。
どうしよう、知らなかったとはいえ随分失礼なこと言っちゃってた。
ちゃんと謝ろう、ユンは許してくれるかな……。〕
【ユン、お仕事お疲れ様~】
【ありがとう、まみもお疲れ~】
【ユン、前に『歌手になったらいいのに』って話したことがあったよね。】
【あぁ。】
【ごめんなさい。ユンはとうに歌手だったのに、私知らなくて失礼なこと言ってしまって。】
【いや、それは別にいいんだ。え?】
〔まみ、今 俺が歌手って気付いたような事言ったよな?〕
【まみ……俺が歌手だったら嫌?】
【え?どうして?】
〔俺は歌手としてのカンスンユンじゃなく、一個人としての俺を見て欲しかったんだ。でも本当にそれで良かったのか?〕
【俺、ちゃんと話してなかったから……。】
【そうね。でも私も自分の仕事の話はしたことないから、おあいこ。】
【でも……。】
【ユンは私が普通のOLだったら嫌?】
【そんなことない!俺はまみが良いんだ、まみがどんな仕事をしていようが関係ないよ。】
【私もよ、ユンが何の仕事をしていても構わないの。ただビックリしただけ。】
【……本当?】
【ちょっとライバルが多すぎるのが難点かな?モテる彼氏を持つと大変~!】
【なっ?そんな事?】
ユンはまみの意外すぎる答えに驚いていた。
そしてその返信の直後、ユンのスマホの着信音が鳴った。
「ヨボセヨ~」
「まみ、どうしたの?」
「うん、これはちゃんと話して伝えないとって思って。私はユンが好き。
ユンがどんな人であったとしても、私が今まで見てきたユンに変わりはしないから。
今もこれから先もずっとユンが好き。だから側にいていい?」
ユンはまみの言葉が嬉しかった。
「ありがとう、まみ。俺もまみのことが好きだよ。だからずっと一緒にいて欲しい。
いつもまみの笑顔を見ていたいよ。俺にはまみが必要なんだ、だから……。」
まみもユンからの言葉が嬉しかった。
「ありがとう、ユン。仕事が一段落したら、またいっぱい愛してね♡」
ユンはスマホを握りしめたまま、ボッと火がついたように顔を真っ赤に染めた。