オイリュトミー学校の羊騒動 | あっこちゃんの「あ〜人生はすべてぬちぐすい」ブログ

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セラピスト細川明子の日々いろいろ人生いろいろ。
日々いろいろ人生いろいろあるけれど、ぜんぶが命の薬(ぬちぐすい)なんだよね。

私が行ったオイリュトミー学校は、

イギリスの片田舎の

森と牧場にかこまれたところにありました。

 

学校の敷地内にも

森が広がっていて

よくそこを散歩したり

木イチゴを取ったり

ぼおっとしに行ったり

落ち込んだ時は泣きに行ったり

嵐のあとは落ちた枝や倒れた木を整理しに行ったり

とにかく

そばにはいつも森がありました。

 

その森を越えたところは

牧場です。

 

その牧場には

羊がメエメエたくさんいました。

羊たちは

いつも草を食んでいて

その横を通って(糞を踏まないように気をつけながら)

その向こうに続く森に

よく散歩に行きました。

 

日本ではほとんど羊は見ませんよね。

私もイギリスに行ってから

初めて身近に羊を見ました。

 

羊たちは

春になると毛が刈られ

それまでのモコモコとは全く違う生き物のようになり

子羊たちが生まれて「かわいい」なんて言っていると

あるときいっせいにいなくなり

スーパーの肉売り場の「ラム肉」を見ると

ちょっと切なくなったりしました。

 

そんな羊たちのエピソードです。

 

ある日

あれは学校が休みだったから

土曜日か日曜日だったと思います。

散歩に行こうと森の中の小径を歩いていたときのことです。

晴れたさわやかな日

ちょっと遠くの湖まで行こうかというときでした。

小径を歩いて行って

ふと前を見ると

なぜ、そこに、羊?

なぜ、森に、羊?

よく見ると、それは先頭の羊で

その後ろには、羊の大群がやってくるではないですか。

羊たちは、一列になってぐんぐんやってきます。

私が行く小径は

ひとがやっとひとり通れるくらいの幅しかありません。

羊って、けっこう大きいんですよ。(ほとんどが、毛ですけどね)

このままでは、ぶつかる!

もう、急いで引き返しました!

もちろん、走ってね。

引き返した私を見た友だちは、

「アキコが、森から走って出てきたと思ったら、

羊の大群を連れてきて笑えた」と、言ってました。

いえいえ、笑いごとではありません。

学校にやってきた羊たちは

そこにある芝生をむしゃむしゃ食べ始め、

そこはまるで牧場。。。

イギリス人の友だちが

「イギリスは、羊税というものがあって、

ここに羊がいるとバレると、税金がかかってしまう!」

と、言うので、びっくり!

これは大変と

みんなで羊を追いかけ

もとの牧場に戻そうとしました。

これがまた、なかなかうまくいかないもので(シープドッグは偉いと思いました)

どうしてもやってきた森の方向には行こうとしない。

しょうがないから別方向から、と

向かわせた先には、池。。。

ほとんどの羊は、池を迂回し、その向こうの斜面を駆け上がっていきます。

でも、おバカな何頭かは、

池にダイブ!

あらあらと見ていたら

どうも毛があるおかげで沈まなそう。

なんとか、向こう岸までたどり着き、無事生還かと思ったら

一頭だけ、なぜか岸から上がれない。

どうやっても上がれない。。。

その子を心配そうに見る仲間の羊たち。

私たちだって、心配です。

でも、どうしたらいいのか。。。

しょうがない、引っ張ってみようと、

ポーランド人のクシュシトフが近づいていくと、その羊さん、

びっくりしたのか、勢いよく池から飛び出ることができたのです。

よかったよかった、ひと安心。

羊は、ぜんぶ牧場に帰りましたとさ。

 

でも、羊騒動は、

それからなんどか続きました。

たぶん、あそこには新鮮でおいしい草が

たくさんあると知ってしまったのでしょうね。

 

あるときは、

ある朝カーテンを開けると

ほんらいいるはずのない羊たちが、

すでに芝生の上でもぐもぐやっているではないですか。

 

あるときは、

学校の駐車場の向こうから

まるで運動会の入場門から

選手入場みたいに羊の大群が(なぜか誇らしげに)やってきたり。

 

もちろん

毎回まいかい鬼ごっこみたいに

羊を牧場に追い返しました。

 

いま、こうして思い返してみると

すごく楽しかったなあ。

 

羊を追い返したあとは、

学校のとなりのパブでビールを飲みながら

みんなでゲラゲラ笑って。

 

もう大変だから

二度と来てもらいたくないよね、と話しながらも、

まだ来たら、こうしたらどうだろう、とか、

とても盛り上がりました。

 

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オイリュトミーの勉強も

とても充実して、たくさんのことを得たけど、

それ以外のことも

とてもとても楽しくて、愉快で

そして大事な経験だったなあと思うのです。

それが今でも私の中の

宝物のひとつひとつになっています。

そしてどれもこれもみんな、

私にとってのオイリュトミーだったなあと思います。