入院中のハプニング
しばらく脱線していましたが、退院したお話に戻ります。
今回は、一転、入院時のちょっとはずかし~い体験を。。。
<パジャマから出たお尻> 退院後の初仕事も”パジャマ”
生まれて初めての長期入院―。さまざまな思いを抱きながら、昭和五十九年三月九日に無事退院した。
太陽がホント、まぶしかったのをよく覚えている。
さて今日は、入院生活の付録編「赤っ恥体験」を告白しよう。
高熱がずっと続いていたぼくは、当然、おふろには入れない。
看護婦さんが週に二度ほど体をふいてくれたのだが、それが若い人だった。
”初体験”の日、二十八歳の純情な青年はその時のことを思ってドキドキしていた。
妙に緊張したぼくは髪も自分で少しセットして、コロンもさりげなくつけて、ベッドで待っていた。
軽いノックの後、笑顔のまぶしい若い白衣の人が現れた。
タオルを持ちながら「体、ふきますね」。
思わず、「病気になってよかった」と不謹慎にもつぶやく。
「パジャマ脱いでください」・・・。
温かいタオルで優しく体をふきながら、「少し、良くなられましたか?」。
「ハ、ハイ・・・。そのようでございます」
こういう時、人間とは不思議なもので、彼女はずっと年下のはずなのに、すごく偉く見え、かしこまってしまう。
そんな経験、皆さんにもあるよね?
そして上半身が終わった。いよいよ、だ。
けれど下の方は脱がせてもらうのも恥ずかしいし、ここは気配りをして先に脱いでおいた方がいいかも・・・。でも、僕は毛深いし・・・。
看護婦さんが下を向いたとき、意を決してパジャマをおしりの半分までずり降ろした。
「あ、あの・・・、そちらはご自分でできますよね」
彼女は顔を真っ赤にしながら、うつむいた。恥ずかしさが首もとから駆け上がりほおを染めたのがよくわかる。
妙に気まずい空気が病室に流れ、絞ったタオルから洗面器に落ちる水音だけがリアルに響いた。
「あの・・・、終わりましたら、コールしてくださいね」
彼女は出ていった。
そして、ぼくは何とも言えない後悔を胸に下半身をふいた。
あの”コロン”は一体、何だったのだ。
「西城秀樹って、いきなり下まで脱ぐんですよ」
「へぇ、変わった人なのね。アハハ・・・」
ナースステーションでこんな会話になっているかもと思ったら、また熱が上がった。しかし、それにしても全部脱がなくてよかった。
”赤っ恥”は思わぬ時にやってくる―。
これが今回の教訓。
パジャマには縁があるのか、退院後の初仕事、鳳蘭さんとのミュージカル「デュエット」でも、パジャマで踊った。
もちろん脱がなかったけどね。
コロンもつけたなんて、緊張してたんだ、、、でも、よ~くわかります。。。
私も入院したとき、お風呂に入れなかったため、タオルで身体を拭いてもらった経験がありますので。
私の場合は、看護師さんから「下は自分でね」って事前に説明がありましたけれど、秀樹さんのときはなかったのかな?
いや、きっと激しく緊張しすぎて、よく聞こえてなかったのかも。。。
いろいろ考えすぎて、よけいに頭が痛くなったのでは???
やっぱり、恥ずかしいものですよね。
私はそのうち院内のお風呂に入れるようになり、なんと看護師長さんに背中を流していただいたことが。。。
これがまたなんとも、ありがたいのですが気を使うものでして、退院してから家でお風呂に入れたとき、ひどく安心したのを覚えています。
秀樹さんの退院が近くなったころ、新聞・雑誌やワイドショーで院内で過ごす写真が紹介されることがありました。
でも、秀樹さんはパジャマ姿を一切見せなかったのです。
そういうところを見せたくなかったようですが、私は「この人はえらいなぁ」、当時そう思いました。
今日も最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。
連載記事一覧はこちらから → 「のどもと過ぎれば・・・」記事一覧