入院中のハプニング  

 

 

しばらく脱線していましたが、退院したお話に戻ります。

今回は、一転、入院時のちょっとはずかし~い体験を。。。

 

 

<パジャマから出たお尻> 退院後の初仕事も”パジャマ”

 

1995年10月28日

 

 生まれて初めての長期入院―。さまざまな思いを抱きながら、昭和五十九年三月九日に無事退院した。

 

 太陽がホント、まぶしかったのをよく覚えている。

 

 さて今日は、入院生活の付録編「赤っ恥体験」を告白しよう。

 

 高熱がずっと続いていたぼくは、当然、おふろには入れない。

 

 看護婦さんが週に二度ほど体をふいてくれたのだが、それが若い人だった。

 

 ”初体験”の日、二十八歳の純情な青年はその時のことを思ってドキドキしていた。

 

 妙に緊張したぼくは髪も自分で少しセットして、コロンもさりげなくつけて、ベッドで待っていた。

 

 軽いノックの後、笑顔のまぶしい若い白衣の人が現れた。

 

 タオルを持ちながら「体、ふきますね」。

 

 思わず、「病気になってよかった」と不謹慎にもつぶやく。

 

 「パジャマ脱いでください」・・・。

 

 温かいタオルで優しく体をふきながら、「少し、良くなられましたか?」。

 

 「ハ、ハイ・・・。そのようでございます」

 

 こういう時、人間とは不思議なもので、彼女はずっと年下のはずなのに、すごく偉く見え、かしこまってしまう。

 

 そんな経験、皆さんにもあるよね?

 

 そして上半身が終わった。いよいよ、だ。

 

 けれど下の方は脱がせてもらうのも恥ずかしいし、ここは気配りをして先に脱いでおいた方がいいかも・・・。でも、僕は毛深いし・・・。

 

 看護婦さんが下を向いたとき、意を決してパジャマをおしりの半分までずり降ろした。

 

 「あ、あの・・・、そちらはご自分でできますよね」

 

 彼女は顔を真っ赤にしながら、うつむいた。恥ずかしさが首もとから駆け上がりほおを染めたのがよくわかる。

 

 妙に気まずい空気が病室に流れ、絞ったタオルから洗面器に落ちる水音だけがリアルに響いた。

 

 「あの・・・、終わりましたら、コールしてくださいね」

 

 彼女は出ていった。

 

 そして、ぼくは何とも言えない後悔を胸に下半身をふいた。

 

 あの”コロン”は一体、何だったのだ。

 

 「西城秀樹って、いきなり下まで脱ぐんですよ」

 

 「へぇ、変わった人なのね。アハハ・・・」

 

 ナースステーションでこんな会話になっているかもと思ったら、また熱が上がった。しかし、それにしても全部脱がなくてよかった。

 

 ”赤っ恥”は思わぬ時にやってくる―。

 

 これが今回の教訓。

 

 パジャマには縁があるのか、退院後の初仕事、鳳蘭さんとのミュージカル「デュエット」でも、パジャマで踊った。

 

 もちろん脱がなかったけどね。

 

 

コロンもつけたなんて、緊張してたんだ、、、でも、よ~くわかります。。。

 

私も入院したとき、お風呂に入れなかったため、タオルで身体を拭いてもらった経験がありますので。

私の場合は、看護師さんから「下は自分でね」って事前に説明がありましたけれど、秀樹さんのときはなかったのかな?

いや、きっと激しく緊張しすぎて、よく聞こえてなかったのかも。。。

いろいろ考えすぎて、よけいに頭が痛くなったのでは???

 

やっぱり、恥ずかしいものですよね。

 

私はそのうち院内のお風呂に入れるようになり、なんと看護師長さんに背中を流していただいたことが。。。

これがまたなんとも、ありがたいのですが気を使うものでして、退院してから家でお風呂に入れたとき、ひどく安心したのを覚えています。

 

秀樹さんの退院が近くなったころ、新聞・雑誌やワイドショーで院内で過ごす写真が紹介されることがありました。

 

でも、秀樹さんはパジャマ姿を一切見せなかったのです。

そういうところを見せたくなかったようですが、私は「この人はえらいなぁ」、当時そう思いました。

 

 

今日も最後までおつきあいいただき、ありがとうございます。

 

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