参院選・政党別議席予測、自民圧勝の〝死角〟 財政政策、対韓外交で「岸田離れ」も 「自公144議席」 選挙プランナー・松田馨氏が分析

松田馨氏

今年最大の政治決戦である参院選(22日公示―7月10日投開票予定)が近づいてきた。現時点で、岸田文雄首相(総裁)率いる自民党の優勢と、泉健太代表の立憲民主党など左派野党の苦戦、松井一郎代表(大阪市長)の日本維新の会の勢いなどが伝えられている。ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、日本を取り巻く安全保障環境が激変したうえ、コロナ禍や物価高が国民生活に追い打ちをかけるなか、有権者はどんな審判を下すのか。選挙分析で定評のある選挙プランナーの松田馨氏が、政党別の獲得議席を予測した。


「全体として選挙への関心が低く、投票率が伸び悩むことが予想されるなかで、自民党に強さがある」「32ある1人区のうち、自民党は多くの選挙区で優勢だ」「内閣支持率は、新型コロナウイルスやウクライナ侵攻への対応が評価されているが、『他の内閣よりいい』など消極的支持も多い」「ウクライナ侵攻によって国民が現実的な安全保障を求めるなかで左派政党への支持が失われつつあるのも大きい」

松田氏はこう語った。

世論調査や過去のデータ、最新情勢をもとに、松田氏が算出した各党の獲得議席予測は別表の通り。

まず、自民党は「選挙区43、比例18」の計61議席で、非改選を含め6議席増の116議席に伸ばすという。

産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査(5月)でも、岸田内閣の支持率は68・9%と、昨年10月の発足以来、最高となった。

ただ、「財務省寄り」とされる経済・財政政策や、前のめりな対韓外交などを危惧する岩盤保守層の「岸田離れ」も指摘される。

「岸田内閣を支持するのは高齢者が多く、若い世代への浸透に課題がある。今後、物価高の影響がどう出るか。急速な円安で打撃を被った企業は少なくない。選挙は不祥事や失言で、風向きは突然変わる。僅差の1人区もあり油断は禁物だ」

山口那津男代表の公明党は「選挙区7、比例7」の計14議席で現状維持。自公与党は非改選も合わせて144議席と、参院過半数を大幅に超えそうだ。

一方、苦戦が予想されるのが左派野党だ。ウクライナの過酷な現実を見て、沖縄県・尖閣諸島を圧迫する中国や、核・ミサイル開発を加速する北朝鮮の脅威が「現実的なリスク」として認識された影響が大きい。

野党第一党の立憲民主党は「選挙区12、比例9」の計21議席で2議席減という分析だ。

「政党支持率が2ケタ台に乗らないなど、低迷が顕著だ」「昨年の衆院選敗北を受け、枝野幸男氏が代表を辞任したが、後継代表の泉氏は認知度が低く、国会でも存在感に欠けている。『提案型野党』への脱皮を目指したが情勢は厳しい」

志位和夫委員長の共産党は「選挙区1、比例3」の計4議席で2議席減。福島瑞穂党首が改選という社民党は「選挙区0、比例0」で、勢力ゼロとなる予測だ。「護憲」を強く掲げる政党は厳しそうだ。

「現実の脅威が迫るなかで『護憲』は支持を失いつつある。ロシアはソ連の系譜を連想させ『侵略=共産主義』という悪印象もある」「ビジョンが見えず、士気が低い」

改憲に必要な議席大きく超える 松田氏予測

同じ野党でも、日本維新の会は党勢拡大が予想される。「選挙区4、比例8」の計12議席で6議席増。

「コロナ禍での大阪府市の対応や、保守的立ち位置が独自色となって追い風となっている。ただ、一気に『参院の野党第一党』奪取には至らない見通しだ」

岸田内閣に是々非々の立場をとる玉木雄一郎代表の国民民主党は「選挙区2、比例2」の計4議席で、3議席減となる見込みだ。

「共産党との連携を否定して一部で評価されているが、党勢拡大にはならなかった」

このほか、国会でのパフォーマンスが注目される山本太郎代表のれいわ新選組は善戦しそうだ。松田氏は「選挙区1、比例2」の計3議席で、3議席増と分析した。

新勢力の政治団体「参政党」も、「インターネットを武器に選挙戦に臨み、保守系の支持も得ている」といい、「比例1」とした。

参院選は、憲法改正の行方にも影響を与えそうだ。

松田氏の予測では、自民党と公明党、改憲に前向きな日本維新の会、国民民主党の合計議席(非改選を含む)は174議席となる。参院248議席のうち、改正の国会発議に必要な参院3分の2を大きく超える。