年金「3つの放置」が招く悲しい末路


森本 由紀




老後の年金は、長期間かかって準備するものです。「年金制度はわかりにくいから」「年金をもらうのはまだまだ先だから」と年金を放置していると、後で困ることになります。今回は、年金に関して避けたい「3つの放置」をするとどうなるか説明します。年金を放置して将来の自分を困らせないよう、今できることをやっておきましょう。




年金の放置1:「ねんきん定期便」の放置をするとどうなる?



毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」。ねんきん定期便が届いても、「見方がよくわからない」「後で見よう」と、放置してしまうことはないでしょうか?


ねんきん定期便を見れば、将来の年金見込額、年金の加入状況や納付状況などを確認できます。特に50歳以降のねんきん定期便には、60歳まで年金に加入した場合の年金見込額が記載されています。将来の年金額を知れば、不足する老後資金の準備もできるでしょう。もしねんきん定期便で年金納付記録の漏れや誤りに気付いたら、厚生労働省に記録の訂正を求めることもできます。


ねんきん定期便をちゃんと見ていないと、老後の生活費の目途が立てられないだけでなく、もらえるはずの年金がもらえなくなる可能性もあります。ねんきん定期便は放置せず、届いたときに内容を確認しておきましょう。




年金の放置2:「年金未納」の放置をするとどうなる?



国民年金の第1号被保険者(主に自営業者、フリーランス)は、自分で年金保険料を納めなければならないため、払い忘れが生じることがあります。年金未納の期間があれば、将来もらえる年金が少なくなってしまいます。もし保険料納付期間が10年に満たなければ、年金自体もらえません。


年金未納を放置していると、老後の年金だけでなく、遺族年金や障害年金にも影響があります。未納期間が3分の1以上あったり直近1年以内に未納があったりすれば、いざというときに遺族年金や障害年金ももらえません。そもそも、年金保険料の支払いは国民の義務です。未納を続けると、財産を差押えされる可能性もあります。


年金保険料を払う余裕がない場合には、放置せずに免除や猶予の手続きをしておきましょう。年金は、免除や猶予の手続きをしておけば、未納の状態にはなりません。また、年金の免除や猶予の手続きをせず未納にしてしまうと、納付期限から2年以内にしか追納できませんが、免除や猶予の手続きをしておけば10年以内の追納も可能になります。期限内に年金保険料を追納すれば、本来の年金額がもらえるようになるため、年金を減らさずにすみます。




年金の放置3:「確定拠出年金」の放置をするとどうなる?



確定拠出年金とは公的年金に上乗せする私的年金。確定拠出年金には個人で加入する個人型(iDeCo)と会社で加入する企業型(企業型DC)の2種類があります。確定拠出年金では自分で投資信託や定期預金などの金融商品を選んで運用し、運用した年金資産を60歳以降に受け取ります。確定拠出年金は通常の運用と違い、税制優遇が受けられるのが大きなメリットです。


確定拠出年金もしくみを理解しないまま放置してしまうと、せっかくのメリットが受けられなくなるので注意しましょう。たとえば、確定拠出年金に加入したものの、リスクを気にして定期預金に入れたままでは、年金資産は増えません。確定拠出年金を始めたら、定期的に運用商品や配分を見直し、年金資産を増やすことを考えましょう。


iDeCoに加入している場合、自動的に税金が安くなるわけではありません。iDeCoで税金を安くするには、年末調整や確定申告の際に控除の手続きをする必要があります。うっかり控除を忘れて放置していると、せっかく掛金を払っているのに節税メリットが受けられません。


企業型DCに加入している場合には、転職や退職の際に移換の手続きが必要です。会社を辞めた後6か月以内にiDeCoや他の企業型DCに移換しなかった場合、年金資産は国民年金基金連合会に「自動移換」されます。自動移換になると運用がストップし、手数料だけが差し引かれてしまいます。しかも、自動移換の期間は加入期間とみなされないため、60歳になってもお金を引き出せないこともあります。移換を忘れて放置することのデメリットは大きいので、くれぐれも注意しておきましょう。




まとめ



年金を放置するとどうなるか、紹介してきました。年金についてよく理解しないまま放置してしまうと、後で痛い目にあい、悲しい末路を招く可能性があります。まずは年金のしくみを知って、必要な支払いや手続きを放置しないことが大切です。