はい今回は、ミュシャの装飾パネルの絵です✨
みんなが知ってるミュシャ
4枚、或いは2枚セットの連作シリーズを沢山描いてました
これがまたなかなか痺れるの
連作「四芸術」シリーズから3つ展示されてました
まずは、今回の展覧会のメインビジュアルでもある、この作品
「舞踏」
装飾的なのに躍動感ある~
踊りの途中、爪先立ちして、少し身体を反らせたままこちらを振り向いた瞬間。
その勢いで靡いた髪と衣裳。髪飾りから舞い散ったような花びら。
ここまで動的なミュシャ、なかなか無いですよね
そんな女性が、ちょっと三日月を思わせるような円形の装飾の中に居て、しかもドレスの裾の靡き方がもう完全にQの形ですよ
Q型方式の完成形です
この四芸術シリーズは、1日の内の4つの時間をもそれぞれ表しています
この「舞踏」は、朝です
朝から元気だな~(笑)
「絵画」
昼は絵画です
四芸術シリーズは、全て三日月形の装飾が共通してますが、この絵は更に虹の装飾で奥行きを感じさせます
絵筆の代わりに花を持ってるのかな
小指立ってる(笑)。
「詩」
夕暮れは詩なのね
物思いに耽ってる風味の女性。暮れゆく景色を眺めながら、詩を考えている所なのかな
でも、「詩」って言われないとそうとは分からないカモ
あと四芸術には、夜の一枚「音楽」があるのですが、今回展示されてません
次の連作「四つの花」は同じく4枚セットなのに、1つしか無かった(笑)
「ユリ」
セットの4枚の中では、清楚な印象の一枚デス
4枚セットで観たかった
この絵では女性はやや上を向いてますが、4枚全て顔の向きが違ってて、感情も違って見えるの
「カーネーション」の横顔なんて、絶対何か企んでる顔してて最高ですよ(笑)
ユリの花の描き込みも、凄く細かく観察した上で、イラスト風味に描かれてるの
この女性は、ユリの擬人化なのね
日本のオタク文化で、何でも美少女に擬人化しちゃうってのがありますが(笑)、まさにその先駆けですわ
そしてこの絵で分かり易いミュシャ様式に、
輪郭線の表現があります
人物の輪郭線の、一番外側の線を、殊更に太く描いてるの
ちょっと、木版画の浮世絵っぽいカモ
これ、ミュシャの色んな絵で使われてる手法で、これにより人物をより際立たせているの
ミュシャの絵って、背景の装飾が繊細で煌びやかだから、下手すると人物が埋もれちゃうの
でもこの輪郭線が、それを補ってくれてるのね~
さて次は、4枚全て揃ってました
連作「四つの宝石」シリーズです
一気に観て頂きましょう
「エメラルド」
「アメジスト」
「ルビー」
「トパーズ」
座ってる女性4人それぞれが、全然違う表情デス
一体何を考えてるのか、想像力掻き立てられます
そして、宝石シリーズとは言いながら、実際に宝石は描かれてないの 宝石が擬人化された女性だけなのね
そこに、その宝石を思わせる色合いのドレスや植物を描いたりしてるの
あと、それぞれの肘掛け()部分の違いも面白い
タイトル見ないと分からないけど、
タイトル見たら納得してしまう
更にこのシリーズは、背後の円環の装飾の緻密さもワタクシ好み
これもビザンティン風味でめっちゃ素敵
輪郭線は、手前にある植物が一番太く、次いで人物。円環の装飾は極細の線で描かれていて、それで奥行き感出してるの
線描の遠近法とでも言う感じ
次は2枚組ですが、
美しさに度肝を抜かれた作品デス(笑)
2枚続けてご覧下さい
「浜辺のアザミ」
「崖に咲くヒース」
はああああぁ
溜め息出ちゃう美しさですわ
ミュシャの繊細な描き込みに惚れ込むワタクシでございますが、この連作の描き込みは異次元のクオリティ
被り物のレースの細やかさ
そして、髪の毛の1本1本、まつ毛の1本1本まで描かれてるし
「アザミ」の肩掛けなんて、長々と凝視しちゃいましたし(笑)、
「ヒース」の肩の布も、白いだけじゃなくて、よく観ると布目が見えてくる
背後の円環の装飾の華麗さは言うに及ばず
こんなのお絵かきソフトもコピペもない時代によく描けるな どんな集中力だよ(笑)
アザミの表現は簡素化して見えますが、その写実的な造形は決して絵の雰囲気を壊しません
ん この女性達は花をどうやって持ってるのかな 花瓶に挿してるの
ちょっぴり不思議
きっとこの女性達も、アザミやヒースの擬人化なんだろうな~
それにしても、リトグラフってのは凄いのね
あ、当時のポスターや装飾パネルへ印刷するための石板画の技術の事なのだけど、
これだけ描き込まれたものを印刷できちゃうんだ
しかも安価で大量に印刷できたのだそうで、
「芸術を生活に」というミュシャの理念を実現するのに大きく貢献してたそうです
侮れん 当時の印刷技術(笑)
「北極星」
こんな暗い色調のミュシャ
このシリーズは4枚共、暗い画面の中に星が輝いてるの
女性の手の中にある北極星、夜空がこれを中心に廻っているって感じなのね
輪郭線は今までと同じですが、女性の肌の描き方が全然違う
今までは割と平面的に表現してたのが、陰影をつけて立体的に描いてます
ちょっぴり象徴主義風味にも見える
この雰囲気は、この後に描き始めるミュシャの人生を注いだ大作、スラヴ叙事詩へと繋がっていく感じがします
さて最後は、装飾パネルでもポスターでもないのですが、紹介させてください
スラヴ叙事詩にも深く関連してる、この絵デス
これがそのお部屋
壁にはチェコの歴史が描かれてます。
天井の丸い絵には、スラヴ民族の守護神で統一の象徴、鷲の絵が大きく描かれ、
それを囲むように、豊かな実りと働くスラヴの人々が円形に描かれてます
そしてその天井と、それを支える柱とを繋ぐ部分に、さっきのヤン・ジシュカさまを始め、スラヴの英雄たちの描かれた逆三角の絵があるの
宗教改革を訴えて火刑になった、ヤン・フスの絵もあります
英雄たちが、この天井を支えてるのね
この絵、全部ミュシャが描いたの
わああああああ
行きたい行きたい プラハ行きたい
あ、スミマセン、つい発作が(笑)
ミュシャが「スラヴ叙事詩」を描き始めるのは、この部屋の絵を描き終えた翌年からだったそうです
今回の展覧会の趣旨とは外れた作品ですが、嬉しくて載せちゃいました(笑)
さて次の日記では話を戻しまして、
ミュシャの作品が、後年に与えた影響について、デス
つづく。