前回、「幽霊飴」の取材に行ったことを書きました。(京都や長崎など、他の地域にもいくつか同じような伝承があるそうです。教えて下さった方、ありがとうございます。)
幽霊飴とは、亡くなった女性が幽霊となって、飴で子どもを育てようとした、というお話です。
私は、本当にそういうことがあったのか……を確認しに行ったわけではなく、もしも、その女性が本当にいたのなら、女性の気持ちを知りたい、と思って取材に行きました。
私の祖母は霊能者であり、霊媒でした。
なので、幽霊に体を貸して、幽霊に話をさせてあげることができました。
私が小学生の時のことです。
ちょうど学校がお休みで、祖母宅に行っていました。
そこに、30代の男性と、その母親が、ものすごく遠くの県から相談にやってきました。
半年前、男性の妻が若くして亡くなったのですが、毎晩のように、幽霊として出てくる、と言うのです。
男性宅の、2階へ上がる階段の隅に、毎晩じっと座っている、と言っていました。
悲しそうな顔をしている、とも言っていました。
その姿は、夫である男性にも、その母親にも、子どもたちにもハッキリ見えると言います。
話しかけても本人には聞こえていないようで、ただじっと寂しそうに座っており、朝になると消えている、ということでした。
妻を成仏させてほしい、
そして、何か彼女が言い残したことがあるのなら教えてほしい、という依頼でした。
祖母の体を借りて出てきた妻は、生後間もない子どものことが心配で、その子が不憫でならない、と泣いていました。
実は、妻が亡くなったのは、赤ちゃんを出産してすぐだったのです。
亡くなった時、赤ちゃんはまだ生後2ヶ月で、妻はこの末っ子が心配で心配で仕方がなかったのでした。
それで、どうしてもそばを離れることができず、成仏しないで家にとどまっていたのです。
それを聞いた祖父は、成仏したほうがいつもそばにいることができるし、赤ちゃんを守れるのだよと、優しく話して説得し、無事に妻は成仏していきました。
その後、妻の幽霊は1回も出ていません、と後日お礼のお手紙が届きました。
このことは深く私の心に残っています。
成仏について何も知らなければ、「どこか遠いところへ行く」と勘違いをするようです。
それで幽霊となってでも、このままここにいよう、そばにいよう、と思うわけですね。
幽霊のままだと波動が低いので、そばにいたら子どもに障りを与えてしまいます。
守るどころか、取り憑いた状態になるからです。
取り憑かれた子どもは、体調を崩しますし、運気もどんどん悪くなります。
家族を守りたいのなら、ちゃんと成仏をして、守るべきなのです。
幽霊飴の女性も、成仏すること、その意味などについて、まったく知らなかったのだろうと思います。
なので、幽霊飴の女性がいたとしたら、ですが、
死後の状態をどう思ったのか、何をどのように考えたのか……などを聞きたいと思いました。
成仏したら遠くに行くのだろうと思ったのなら、どれくらいの遠さと感じたのか、別世界と思ったのか、そのへんも聞きたかったのです。
本人はすでに成仏しているでしょうから、その様子をつぶさに見ていた仏様に話を聞こうと思って取材に行きました。
実際に幽霊になった人にしかわからないことなので、取材ができなかったのはちょっぴり残念だったな、という取材のこぼれ話でした。