私の平安時代の前世は男性で、標準よりもかなり小さくて小柄でした。
顔も小さく、アゴが尖っています。
性格に難があり、ひいき目に見ても、いい人とは言えません。
私は高貴な生まれで、殿上人で、身分は高いです。
その部分に強い優越感を持っているので、身分が低い人を見下しています。
自分の屋敷の庭 (寝殿前の所) をいちいち細かくチェックして、下働きの人をイライラと叱っています。
いつもこんな調子で、下の者に感情をぶつけ、文句ばかり言います。
しかもネチネチといつまでもイヤミや小言を、自分の気がすむまで、しつこく繰り返します。
そんな私でしたが、やっと通う女性が出来ました。
時々、忍んで行き、文も交わしていました。
でも、私は性格が良くないので、女性の身の回りの世話をしている人に嫌われています。
ある日、その人の手引きで訪れると、なんと他の男性が先客で来ていました。
わざとその場面に遭遇させられたのでした。
私はショックで、それから少し寝込みました。
それ以後、生きる気力がありません。
恥をかかされたのと、女性の裏切りがショックだったのと、失恋の痛手です。
仕事も窓際みたいなもので、つまらない仕事をしています。
出世の見込みもなくなり、すべてが絶望的なのでした。
母親の身分が高かったので、子供の頃は楽しいことばかりでした。
母親もお付きの侍女たちも、私が何をしても、何を言っても、コロコロと笑ってくれて、私は大切に育てられました。
若くして殿上人になり、人生勝ち組だったのに、母親が亡くなり、後ろ盾もなくなると、運は下降していくばかりです。
たった一つの生きがいだった、結婚しようと思っていた女性も他の男に取られてしまいました。
生きていくのが嫌になり、ある日、私は小舟に乗って川の中央まで行き、そこから身を投げました。
この時代は川もまだ大きく、水量も多く、深かったのです。
私は泳げなかったので、簡単に溺死しました。
この人生で、私は自殺をしたのでした。
前にも書きましたが、私には死後の世界の記憶が一切ありません。
ですので、自殺してその後どうなったのか・・・が、わからないのです。
祖父母は私が小さな時から、 「自殺をしたら成仏出来ないから、自殺だけはするなよ」 と言っていました。
成仏出来ない幽霊がどんなに苦しんでいるか、それを目の当たりにして育ったので、成仏出来ない恐ろしさは知り抜いています。
自殺って怖いんだな、と子供心に思いました。
現に、元夫の叔父は自殺をして、成仏出来ずに元夫に憑依したりしていました。
今もまだ、そのままさまよっていると思われます。
でも・・・ずっと、未来永劫、成仏出来ないわけではなさそうです。
平安時代に自殺をした私が、こうして転生をしているからです。
しかも、平安時代から今まで、たくさんの人生をしているので、そんなに長い時間とらわれていたとは思えません。
そこで、私はこう考えます。
自殺後、何らかの縛りがあって、すぐには成仏出来ず苦しむ期間がある・・・それは ”自分” という人間を殺したので、つまり殺人を犯したわけで、仕方のないルールだと思います。
けれど、ある程度時間がたてば、自殺という罪も許され、ちゃんと成仏が出来る、と思います。
成仏するまでの時間は一律で決まっているのではなく、本人の反省の度合いによるのかもしれません。
自殺する動機、原因なども考慮してもらえそうです。
いずれにせよ、そんなに長くとらわれないのではないか、と思っています。
今のところ、私はそう考えていますが、また何か違う発見があればご報告したいと思います。