(※京都市 下鴨神社/賀茂御祖神社 楼門、糺ノ森)
夢を見た。夕暮れ時、駐車場に停めてある車に戻ってきた。ふだんは大人しく寝て待っているはずの犬が、後部座席でリールが絡まって暴れている。助手席へ移動させて、リールをほどきにかかる。首のハーネスも外れているが、動くので上手くはめられない。
車は勝手に出口ゲートに差し掛かっていた。あたりはすっかり夜になっている。遮断バーの手前の、右手のスピーカーからはにぎやかな喧騒が漏れてくる。何名さまですか?、と明るい女性の声。こちらはテディベア座りをした犬を掴んでハーネスと格闘しているのでそれどころではない。女性の声は気を利かせるように、大人6名子供3名ですね?、と言ってきた。…何を言ってるんだ、犬一匹に女1人だよ、と思って、それでも返事しないでいた。すると、夜の木々の左斜め向こうの隙間にお寺が見え隠れしているのに気づいた。それと同時に、自分だけがひゅっとそちらへ飛んだ。
お寺の前に居た。昼間で晴れている。青い空に白い雲が浮かんでいる。北東~東に続く山の裾野の田畑のど真ん中に、コンクリート二階建ての堂宇が建っている。のどかである。稲の刈り取られた後の田んぼに、ゆるい鶏糞の匂い。寺の前にはまばらに並んだのぼりがはためいている。中に入り、ぐるりとお堂をめぐって来て、外の白テントで御朱印をもらった。その脇に、広いコンクリートスロープで半地下へ続いているのに気づいた。スロープと外廊下は陽光が差して明るい。寺男さんに、行っていいですか?、と聞くと、いいですよ、どうぞどうぞ、とのことだったので、半地下へと進んだ。
スロープを降りて角を右へ曲がると、引き戸の開いた広い薄暗い倉庫があった。中にクロレラでも培養しているかのような直径20メートルほどの浅い広いタンクがあり、漆黒の水をたたえている。その上の空中に、なぜかセーラームーンの美少女戦士たちがひしめいており、月野うさぎが 「さーせるかー!」などと黄色い雄叫びを上げている。子供の頃、美少女戦士にあこがれていた(という設定らしい。当人が子供のころにセーラームーンはなかった)。目の前の広浅タンクは非常に危ないことを知っているので、近づかないで離れたところで見ている。すると後ろから、ミイラ取りがミイラになるよ、と誰か友だちの声に注意された。わかってる、もうちょっと、と答える。しばらくして、…引き込まれるよ?、と再度友だちに促され、今度は、うん、と言って素直に場を後にした。
倉庫のとなりには黒い鋳物のお不動様が居た。しつらえられたお堂は、白木の柱に白い真新しい漆喰の壁。下半分に斜めに太陽光が当たっている。拝んでから、お不動様の向かいにあった幅広ベンチに腰掛け、陽を背中に受ける。
隣の倉庫の広浅タンクは、その後どうなっているのだろう、と斜めからよく見えない内部を見やった。すると何やらカサカサいう音が聞こえてきた。ちょっとやそっとではない。大量の何か。何だろう。ああ、何百匹何千匹ものカイコが桑の葉を食んでいる。…蚕ノ社、と思った瞬間、自分はお寺のベンチではなく自室のベッドに腰掛けていて、お尻の右隣からウサギ大の黒い何かが文字通り脱兎のごとく飛び出し、開いた部屋のドアから凄まじい勢いで逃げていった。
それで目が覚めた 。目を開けた先には、同じ部屋の光景が、同じ明るさで広がっていた。ただしドアだけが閉まっている。朝5時半。寝返りを打つと違和感がない。あれ?、と思って起きて腰掛けると、痛かった左腰の痛みが、ぽすんと消えていた。
…またか。また何かに憑かれていたというわけなのか。2日前に整骨院へ行ったときも、何をしたわけでもないけれどずっと痛いんです、座り姿勢ですかね?、などと言いながら重点的に揉んでもらって(左お尻の筋肉も張っていた)、さして良くなるでもないままでいた。腰や肩なんて昔からしょっちゅう痛いものだし、何でも霊のせいにするのもアホらしいので、大して気にしていなかった。1匹こっきりで大したやつではなかったと思うけれど。
何しか、桑の葉を食む蚕が超絶苦手な存在であることは確かだ。蚕が魔除けになる? そんな話は聞いたことがない。調べても、蚕や蚕の夢は良いことばかりが出て来るが、やはり除霊に当たるような話は出てこない。
そこで思い出した。百日霊障中に来た「翡翠模様の白蛇」の一連の件で、たしか最後「蚕ばやし」という神事の動画を繰り返し見て、しつこい頭痛が潰えたのではなかったか。あの蛇なのか? …いや、あの蛇ならこんな生ぬるいものでは済まないはず。なんしか、蚕が死ぬほど苦手な低級霊の類、というものが存在するようだ。覚えておこう。そして今度何かあったら、数百匹の蚕がカサカサと桑の葉を食むイメージをしてみよう。
「翡翠模様の白蛇」の話(時系列順。怖いです)
ところで痛みの抜けた左腰は、またスカスカな感触がしている。そこだけ目の粗いスポンジになったような感じ。んー、先日もそうやって金の独鈷を埋めたのではなかったっけ。どうしたものか。今度は金色の五鈷杵を埋めて、溶かして弾力性のあるシリコン状にしてスカスカを埋めるイメージをしてみた。いつまでもつだろうか。もとい効くだろうか。…知らない内に、というのが如何ともしがたい。

