人口減少や若者のテレビ離れなどで、公共放送としてのあり方に見直しが迫られているNHK。
総務省は21日、公共放送に関する有識者会議の初会合を開き、今後、NHKのインターネット事業をテレビ放送と同じ本来業務として認めるかなどについて議論を深めていくという。
現在、放送法(64条)では、NHKの放送を受信できるテレビを設置している者から受信料の徴収が可能だが、テレビ所有率は98.8%(2010年)から92.9%(22年)と減少傾向なのに対して、スマートフォン所有率は88.9%と急伸。29歳以下のテレビ所有率(80.9%)を上回っている。
さらに、大手量販店「ドン・キホーテ」などで発売されているチューナーレステレビが人気を集めていることから、このままではNHKの将来が危ぶまれている。
ネットでのコンテンツ配信を本来業務と定めた場合、気になるのが受信料の対象をどこまで広げるかについてだ。
「10代、20代だけでなく、下手すると40代でもテレビ離れが起こる中、現状のスキームの延長のままで、《ネットに軸足を置くのでスマホ保有者からも受信料を取ります》というのでは理解が得られないでしょう」(放送ジャーナリストの小田桐誠氏)
受信料を支払っている人だけが視聴できる「スクランブル化」についてNHKは、公共放送として問題が生じるという姿勢を崩さない。
政権への忖度報道や旧統一教会問題に消極的な姿勢が指摘されるなど、公共放送としてのあり方に疑問符が投げかけられているのも確かだ。
「豪雨災害やこれから起こるとされる南海トラフや首都直下型地震などの災害報道も、被災者が必要とするライフラインにかかわる情報と全国に発信する情報は異なるのが筋だと思います。公共放送を標榜するのであれば、ネットを活用して国民が本当に必要とする情報をどう提供していくのか。広告収入をネットに抜かれてシュリンクする民放やラジオ局も含めて、戦後に勃興した放送インフラを包括的に見直す局面に来ているのではないでしょうか」(小田桐誠氏)
有識者会議での議論は来年6月までにとりまとめられるが、公共放送のあり方にどういう道筋が示されるかに注目が集まっている。

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