勤続10年・手取り14万円「日本、終わってる…」33歳・負け組サラリーマンの逆襲 | 時事刻々

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勤続10年・手取り14「日本、終わってる…」33歳・負けサラリーマンの逆襲


新卒一括採用、終身雇用、年功序列……日本特有の雇用環境がまだまだ残っていくなか、勤務年数が長くなればなるほど給与はあがり、手取りが増えていくのが一般的です。しかし世の中、無数の企業があり、そうはいかないケースもあるようです。みていきましょう。

大卒後、都内メーカー勤務の33歳会社員。手取り額は14万円はどのような水準か?

——勤続10年で手取り14万円……日本、終わっていると思いませんか? 

以前、ネットを中心に話題になった、このようなつぶやき。さまざまな意見が乱れ飛びましたが、改めてこれが「日本終了」といえる状況だったのか、考えてみましょう。前提として、つぶやき通りの部分と想定の部分を合わせて、「大卒後、都内メーカー勤務の33歳会社員。手取り額は14万円」と仮定します。

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、大卒サラリーマンの平均月収(所定内給与)は平均38万6,900円、年収は平均594万4,400円です。「勤続10~14年」だと平均月収38万3,000円、年収は598万1,200円。大卒・勤続10年・30代前半では、月収33万5,100円、年収539万9,000円。これが平均値となります。

前出の厚労省の調査で「大卒・正社員・30代前半」給与分布をみていくと、月収の中央値は33万5,300円。下位10%でも24万1,500円。月収16万7,000円、手取り14万円となると、0.4〜1.6%と、100人に1人程度。底辺といっても過言ではない水準です。

あくまでも所定労働時間が176時間だった場合なので、必ずしも法律違反というわけではありません。また、使用期間中だったり、精神・身体障害により労働能力の低い人だったりと、労働能力などの点から、最低賃金を一律に適用することが必ずしも適当ではない場合について、都道府県知事の許可を条件として適用除外とすることが認められています。しかし「大卒後、都内メーカー勤務の33歳会社員。手取り額は14万円」であれば、法律違反の可能性大。日本を嘆くよりも、会社を嘆く必要がありそうです。

万が一、そのような状況にいる人がいるならば、使用者は最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。それでも頑として支払わない場合、労働基準監督署に通報(申告)を。通常、まずは是正勧告がされます。悪質性が低く、差額が払われれば罰則はありませんが、悪質かつ指導にも従わない場合は、罰則に加えて、検察庁へ書類送検されることが多いようです。

そんなことしたらクビになる……労働基準監督署には守秘義務があるため、心配はありません。声をあげるほかにも、会社に見切りをつけるのも手。劣悪な環境に身を置き続けるのは「自分が終わっている」ことになります。行動を起こすことが第一歩になります。