【60歳代】厚生年金・国民年金の平均月額はいくらか「働く60歳代」は半分以上に
働くシニアは正社員とパート、どちらが多いのか

帝国データバンクによれば、企業の3割が今後約 11年以内に値上げを予定しており、特に2022年10〜12月で値上げが増えることがわかりました(2022年8月22日公表)。

出典:帝国データバンク「10月~12月に「値上げラッシュ」懸念」
既に数多くの分野で値上げが続いており、家計を苦しく感じる方も多いと思いますが、しばらく値上げが続くことが予想されそうです。
特に年金生活の方は収入が限られているため、生活も厳しいのではないでしょうか。
ただ、最近では企業の退職年齢が延びたり、老後の必要資金が不足していたりなど、さまざまな理由で60歳を超えても働く人が増えてきています。
働くことが生きがいになる一方で、「物価は上がるのに給与は上がらない」といった状況が、一昔前の就労状況とは大きく異なっている一つの要因でしょう。
今回は60歳代の暮らしに注目して、年金の平均受給額、働く人の割合や雇用形態についてみていきたいと思います。
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【画像】60歳代の働く割合や雇用形態は?企業の値上げ動向もチェック
1. 60歳代の働くシニアはどれくらいいるのか
では早速60歳代で働いている人の割合を確認してみましょう。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表している「60代の雇用・生活調査」によると、60歳代で働いている人の割合は以下のようになります。

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.199 60代の雇用・生活調査」
この資料によれば、60歳代で収入を伴いながら働いている人の割合は59%となっています。
60歳代を前半と後半に分けると以下のようになります。
60歳~64歳:70.2%
65歳~69歳:50.1%
60歳代後半になると就業率は下がっていますが、それでも約半数の人が働いています。
また、男女別にみると以下のようになります。
男性:69.1%
女性:49.3%
男性の方が働いている割合が高いことがわかりますね。ただ、女性でも約半数は仕事をしていることがわかります。
2. 60歳代で働くシニアの雇用形態をチェック
では次に、60歳代で働く人の勤務形態についてみていきましょう。
同調査によると、以下のようになっています。

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「調査シリーズNo.199 60代の雇用・生活調査」
2.1 60歳代の雇用形態
正社員:21.4%
パート、アルバイト:40.7%
嘱託:15.2%
契約社員:14.4%
全体で見ると半数近くの人がパートで働いていることがわかります。ですが、男女の違いに目を向けると、雇用形態に違いがみられます。
2.2 60歳代の雇用形態(男性)
正社員:29.3%
パート、アルバイト:22.4%
2.3 60歳代の雇用形態(女性)
正社員:11.0%
パート、アルバイト:64.9%
男性は正社員で働く人が約3割を占める一方で、女性は約6割以上の人がパート、アルバイトで働いているようです。
また、60歳~64歳の正社員で働く男性の割合は、2014年の31.7%と比較すると、2019年時点で37.1%と上昇しており、正社員で働く人の割合も徐々に高まっていることがわかります。
3. 60歳代の厚生年金と国民年金の受給額とは
ここまで60歳代の就労状況についてみてきましたが、次は生活の柱である年金受給額に注目してみましょう。
今現在60歳代の方は年金をどのくらい受給しているのでしょうか。
厚生労働省が2021年12月に公表した「令和2年度厚生年金・国民年金事業の概況(2020年度)」を参考に、年齢別の年金受給額をみていきましょう。
3.1 国民年金の平均年金月額
60~64歳:4万2306円(男性:6万2200円/女性:4万9400円)
65~69歳:5万7502円(男性:6万4400円/女性:5万9500円)
3.2 厚生年金(第1号)の平均年金月額
60~64歳:7万5922円(男性:7万4100円/女性:3万7200円)
65~69歳:14万3069円(男性:12万8200円/女性:7万5300円)
※国民年金(基礎年金)の月額を含む
国民年金は、日本に住む20代以上60歳未満のすべての人が加入するもので、年金受給の基礎となる部分です。ちなみに、国民年金を40年間納めた方の場合、2022年の受給額は満額で6万4816円となります。
特に、自営業やフリーランスの方は国民年金のみの受給となるため、年金だけで老後生活を送ることは極めて難しいと言わざるを得ません。
会社員や公務員であれば、更に上乗せして厚生年金にも加入しており、平均受給額は国民年金だけの場合と比べても大きくなります。
また、年金の受給開始は基本的に65歳からとなっています。
年金受給額が60歳代前半と後半で大きな差となっている理由は、「受給開始のタイミング」が理由として挙げられます。
現在の年金制度では、65歳よりも前に年金を受給する場合、1カ月前倒しにする毎に原則0.4%ずつもらえる額が減ってしまいます。
逆に65歳よりも1カ月先延ばしにする毎に0.7%ずつ受給できる額が増えます。
このような制度も上手に活用していきたいですね。
4. 長く続くられる仕事選びを
独立行政法人労働政策研究・研修機構の資料によれば、「経済的理由」が60歳代で働く理由の76.4%を占めています。それだけ、老後の生活について不安視している人が多いことの裏返しでしょう。
特にこの相次ぐ物価高では、辞めるに辞められない人、仕事を再開した人もいるのではないでしょうか。
60歳代でも半分以上が働く今、長く続けられる仕事選びは重要といえそうです。現役生打の方も長い目で見たキャリアプランを立てる必要があるでしょう。
加えて、流動性の高い預貯金も大切ですが、老後を見据えた際には資産運用を一つの選択肢として取り入れてみるのもよいでしょう。運用益が非課税になるNISAやiDeCoをはじめる方も増えています。
自分のことは自分で守らなければならないからこそ、老後に向けてできることを考えましょう。