伝説のデザート 「ヨーグルトポムポム」超簡単なのに美味しい「秘密」 レシピ 繰り返し作りたくなるレシピ
小学生の頃からレシピ本の魅力に取りつかれ、ケーキ屋さん、料理人に憧れるも、不器用で、センスも根気も足りずに断念。代わりに料理本の編集を20年以上も生業にしてきた筆者がお薦めしたいのは、マドモアゼルいくこ著『秘密のケーキづくり』の巻頭にある「ヨーグルトポムポム」だ。
公開後、Twitterなどで話題となり、絶版していた『秘密のケーキづくり』の復刊を求めるリクエストが数日間で350以上も復刊ドットコムに集まり、約12年ぶりの復刊につながった2022年3月12日の掲載の記事を再編集してお届けする。
写真のないお菓子の本
子どものころ、一番のごほうびは、お菓子作りをさせてもらえることだった。次は、何を作ろうかと、お菓子の本を広げては、わくわくしながら眺めていた。中でもお気に入りは、マドモアゼルいくこ著『おいしくて太らない 簡単で失敗しない 秘密のケーキづくり』だ。写真のない、文字とイラストだけのお菓子の本だが、著者の「ケーキ作りが好きで好きでたまらない」思いが伝わり、どのお菓子も「読んでいると食べたくなってしまう」のだ。
筆者が40年近く前に購入した「おいしくて太らない 簡単で失敗しない 秘密のケーキづくり」(マドモアゼルいくこ著/主婦と生活社刊)。長年お世話になりあちこちしみだらけになってしまった。
バターもクリームもいらないケーキ
この本のレシピは、とにかく作りやすい。高価で固いバターではなくマーガリンを使ったり、クリームチーズを裏ごししたり、砂糖をふるう必要はなし。紹介されている多くのお菓子が、家にある安価な材料をレシピ通りに混ぜていくだけで出来上がる。
中でも、中学生の頃に初めて作って以来、デザートを切らした日や、りんごやヨーグルトを使い切りたい時にと、かれこれ200回近く作ってきたのが、「ヨーグルトポムポム」だ。卵、砂糖、サラダ油、ヨーグルトを混ぜ、粉とベーキングパウダーをふるい入れた生地に、薄切りにしたりんごをのせて焼く。お菓子作りに出てくる「固いバターをクリーム状になるまで混ぜたり」「卵を湯煎にかけてフワッとするまで泡立てたり」といった面倒な作業が何もない。材料を混ぜるだけでできる超簡単レシピだ。
復刊リクエストコメントでも人気の「ポムポム」
作りやすいと感じているのは、自他ともに認めるぶきっちょな筆者ばかりではなさそうだ。2002年に復刊ドットコムに集まった復刊リクエストの声を見ると、それがよくわかる。
ヨーグルトポムポムもチーズケーキも本当においしかった。
本をボロボロになるまで読みました。
今、子供達に作ってやりたいけれどレシピがなくて、とても残念。
心から復刊を祈ってやみません。」
娘といっしょに作りたくて 実家で捜したけど どうしても見つからずがっかり。
ぜひもう一度、簡単でおいしいケーキを作りたいです。」
イラストも可愛くて,素材もバターじゃなくマーガリンを使うとか,堅苦しくないし。
カラーの写真がてんこ盛りの今の本とは違って,とても使いやすくいい本だったと思います。」
昔のレシピ本は、文章を読んでいても素敵でほっこりします。
とても評判がいいみたいなので、是非復刊お願いします。」
ヨーグルトポムポム、フルーツケーキ、レアチーズケーキ…簡単で美味しいですよ〜(^_−)−☆
ケーキづくりの好きな娘2人に新しいものをあげたいので、是非復刊して下さい!」
『秘密のケーキづくり』の本の中には、実に137種類のお菓子が紹介されているが、「ヨーグルトポムポム」に限らず、どれも手頃な材料で失敗なく作れるものばかりだ。
プロセスチーズで満月ケーキ、材料3つの黒砂糖カステラ
また、写真はなくとも、著者のマドモアゼルいくこさんが、「私が描いたたくさんのイラストもそえて……。作り方はもちろん、とてもていねいに説明しました。だって、お菓子の本の生命は、どんな豪華な写真よりも、ていねいな作り方にある、と私は信じていますから。」とあるとおり、写真以上にわかりやすいイラストが随所にちりばめられている。
もちろん「ヨーグルトポムポム」以外にも、粉と卵と黒砂糖で作れる「黒砂糖カステラ」、プロセスチーズを使った「満月ケーキ」、卵黄2個で1と2/3カップ分できる「カスタードクリーム」(筆者の知る中で、卵:牛乳の効率がもっともよい)、「どの店よりおいしい」と復刊リクエストコメントでも絶賛のチーズケーキなど、ヘビロテレシピとして、ご紹介したいものはまだまだある。

残念なのは、主婦と生活社から昭和53年に刊行されたこの本が絶版となり、その後の復刊ドットコムの復刻版も完売し中古品の販売のみとなっていることだ。
(2022年8月15日現在は在庫僅少ながら復刊ドットコムにて購入可能)
タイトルにある「おいしくて太らない 簡単で失敗しない」のうち、「太らない」はともかくとして、「おいしくて簡単で失敗しない」ことは、35年以上ともにしてきたぶきっちょ筆者が、「間違いない」といえるレシピである。混ぜすぎ、こねすぎの心配なし、お子さんとぜひ挑戦していただきたい。

ヨーグルトポムポムの作り方

りんごは4つ割りにしてから薄く切り、レモン汁をかける。

小麦粉100gとベーキングパウダー小さじ1を合わせてふるう。

ボウルに卵2個、砂糖80g、サラダ油1/2カップを入れて混ぜる。

ヨーグルト1カップを加えて、よく混ぜる。

粉を2~3回に分けて混ぜ入れる。

油を塗って、粉をはたいた型に生地を半分ほど流し、りんごを並べて残りをかける。


本では200度とあるが、オーブンのくせや大きさにもよるので、180~200度で30~40分ほど焼く。


焼き立ても、冷やしてもおいしいとあるが、筆者のお奨めは、2日間ほど冷蔵庫で寝かせ、少し生地が締まった頃。しっとりとして、こくがあり、またすぐ作りたくなってしまう。