南海トラフ対応方針 | 時事刻々

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はい。皆さん、こんにちは。
今日は、「南海トラフ対応方針」として、見ていきたいと思います。
それでは、どうぞ。


南海トラフ対応方針

◆地域の避難計画づくり急げ◆

 政府の中央防災会議が、南海トラフ巨大地震に対する対応方針をまとめた。東海沖から九州沖までの長い震源域の半分で大地震が起きた際、残り半分での大地震に備えて被害が予想される沿岸の住民らに1週間程度、一斉避難を呼び掛けるという内容だ。過去数回あったとされる「半割れ」は南海トラフ震源域の半分に当たる東側か西側でマグニチュード(M)8級の巨大地震が起きるケース。政府はこの「半割れ」を対象に対策を例示した指針を作る。

住宅耐震化も不可欠

 東日本大震災級の揺れと津波で30万人以上と想定される犠牲者を少しでも減らすためにも避難を求めるのは当然だと言える。

 「半割れ」対策の課題は山積だ。次の地震がいつ起きるか分からない切迫した状況で、安全な場所へ確実に避難できるかだ。高齢者や子どもなど移動に時間がかかる人も含めて安全に逃げなければならない。自動車が殺到すれば交通渋滞が起きてかえって被害を大きくする恐れもある。その予防策やルートの選定、訓練などに自治体が取り組むよう求めたい。

防災会議は、企業活動への一律の制約は見送った。実際には地震が発生せず、空振りになる可能性もあり、一律に操業停止などを求めれば起きなかった際の休業補償の議論にもなりかねない。このため、企業の操業については各社が判断せざるを得ない。自治体が中心となり鉄道や病院、デパート、工場などの対応を踏まえ、地域の避難計画づくりを急ぎたい。

 住宅の耐震化の促進も課題だ。高齢者の中には、自分の後に住む人がいなくなることを理由に、自宅の耐震化への意欲が乏しい人も多い。地震だけでなく水害や土砂崩れなど他の災害への備えとしても役立つ。命さえ助かればすぐ復興に取り掛かることもできる。それだけに迅速な対応が不可欠だ。

ハード面不足の本県

 県が2013年公表した、南海トラフ巨大地震による本県の最大震度の分布予測では、沿岸部を中心に6市7町で震度7、3市3町1村で震度6強、4町2村で震度6弱が想定されている。最大震度7の揺れと津波による被害では、死者3万5千人、建物被害が8万9千棟、資産などの経済被害が5・3兆円に上るとしている。

 約9割を占める3万1千人が津波によって亡くなる推測で、市街地が集中する沿岸部で避難するための高台をどう確保するかが課題となっている。本県の沿岸市町では既に津波避難タワー18基が整備され、来年度中に予定された全26基が完成する見通しだが、これだけでは不十分だ。県試算では河川の堤防かさ上げ、緊急輸送道の整備、橋の耐震化など少なくとも1兆1千億円以上が必要とされ、国による財政支援が不可欠だ。

 ハード整備だけでは想定外の事態には対応できない。迅速で確実な避難のため、ソフト対策を充実させることも忘れてはならない。