日立がイギリスの原発計画凍結へ~3.11の影響大きく | 時事刻々

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はい。皆さん、こんにちは。
今日のテーマは、「まだやるの、原発?」と題して、安倍政権が縋る思いで始めた原発輸出が総崩れになっている、という件です。
それでは、どうぞ。

 

日立がイギリスの原発計画凍結へ~3.11の影響大きく

ニッポン放送 ラジオAM1242+FM93編集部

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月17日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。日立製作所がイギリスで進めている原子力発電計画の背景について解説した。

本社が入る日本生命丸の内ビル(日立製作所 – Wikipediaより)

日立製作所がイギリスで進めている原発計画凍結へ

日立製作所がイギリスで進めている原子力発電所計画は、出資企業を集めることが難航していることから、凍結される公算が大きくなった。日本政府はインフラ輸出の柱に原発を据え、官民で推進して来たが、ベトナム、リトアニアに続いてイギリスの計画も目処が立たなくなった。


飯田)総事業費3兆円のうち、イギリス側が2兆円以上融資するのですが、残りの事業費について、日立の負担が大きいということもあって、凍結のような形になったそうです。

須田)日立が事業費を提供することもいいのですが、何か問題が起こった場合、それに対してどう日立が負担をして行くのか、果たしてこの9,000億円が回収できるのかどうかという問題になって来てしまう。そういうところで日立が資金を集めることができない、困難な状況になっていたのではないかと思います。

飯田)投資をしてその利回りで、というところなのですが、原発はコストが膨らんでしまうということが建設が始まった後で出て来る。確か東芝の関わったアメリカの案件でもそういうことが出て来ていましたね。

津波によって浸水した宮城県仙台市宮城野区沿岸(2011年3月12日)津波火災も発生した(東日本大震災 – Wikipediaより)

3.11以降大きく変わった原発事業~アメリカの原発政策とどうリンクして行くか

須田)そうですね、3.11以降、状況が大きく変わってしまったという気がします。東芝の件で言うと、福島原発の事故というものが相当大きく影響しています。

飯田)その辺にプラスして、天然ガスの値段があまり高くないこともあって、特に先進国は原発でないもので電気を作ろうと、そっちにシフトしているのでしょうか。

須田)ヨーロッパはそういう方向に動きつつありますし、産油国の場合は、石油エネルギーの将来の見通しが暗いということで国を挙げて経済体制の見直し、エネルギーのシステムの見直しに入って来ているというなかで、原発を受け入れるのだけれど、安全性の確保はどうやって行くのか、という問題もあるのだと思います。

加えて、日本の原発産業と言うと、アメリカの原発産業とワンセットなのです。さらにもっと大きな枠組みで見ると、アメリカの核戦略、核兵器も含めての核戦略とワンセットになっている。つまりアメリカの基本的なスタンスとしては、アメリカとの間で原子力協定を結びましょうと、平和利用だけをすると約束してくれた国には原発の技術、資金に関しても提供します、というものがアメリカの原子力政策です。でも実際に原発技術を提供するのは日本です。アメリカの原発政策と今後どうリンクして行くのかという問題が出て来ると思います。

飯田)アメリカに関して言うと、シェールガスが相当出ているので、原発がコストに見合わなくなって来ている。だからどんどん廃炉の方向に行っている。そんななかで、その技術をどうするのかということで、日本への期待があったわけですよね。

須田)アメリカの原子炉メーカー、ウェスティングハウスを日本のメーカーに売却したり。

飯田)東芝が買ったのはそうでした。

須田)日米間で再編的な動きが起こっていたのです。そしてアメリカと原子力協定を結んでいない途上国との間で、日本が技術提供する。そういう方向に持って行こうとしたところで、3.11が発生してしまった。そこで計画に齟齬が生じているのではないかなと思います。

飯田)一方で報道されているところですが、新興国、例えばUAEで原発をやろうとしたら、韓国が安く入札したとか。ほかの国との競合が厳しいようですね。

須田)ただ安く提供しても、その後の安全性の確保に対するコストに関してはどうするのかというところがあるわけですから、この分野での安値競争はなじまないと思います。


飯田)ここは「安かろう悪かろう」ではいけないと思いますよね。

須田)もし事故が起こってしまったら莫大な費用が掛かりますから。その費用負担をどうやって行くのかというところで、果たして韓国の場合、計算があっているのか。プラントとしての原子力発電施設を輸出すればいいという話ではありませんから。そのうちのオペレーションコスト、メンテナンスコストもどう計算されているのか。購入する側も買って大丈夫なのかと思いますけれどね。

飯田)あの当時は李明博大統領がトップセールスマンみたいな感じでガンガンやっていました。今後のことで言うと、三菱重工がトルコで原子力発電所の輸出を計画していますが、こちらもコストの面などで、雲行きが怪しいぞという報道もあります。

須田)原発はインフラ輸出の中核に据えられてはいますが、採算度外視する分野ではないと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
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