日本では、電力のコストは電気事業法という法律に基づき、「総括原価方式」と呼ばれる方法で計算されています。
この方式は、簡単に言うと、発電・送電・電力販売費、人件費等、すべての費用を「総括原価」としてコストに反映させ、さらにその上に一定の報酬を上乗せした金額が、電気の販売収入に等しくなるように電気料金を決める、というやりかたです。
つまり、電力会社はすべての費用をコストとして計算することができる上に、報酬まで最初から保証されています。
このシステムは基幹産業である電力会社を保護する目的があり、電気事業法という法律で保証されています。
はい。
つまり、電力会社は、自分で自分の利益を決めることが出来る、というわけです。
何故こうなっているのかと言えば、電力は国家の基盤ということで、国が法律で定め、保証しているからです。
具体的な算定方法については、一般電気事業供給約款料金算定規則第4条に規定されており、事業に投下された電気事業の能率的な経営のために必要かつ有効であると認められる事業資産の価値(レートベース)に対して、一定の報酬率を乗じて算定される。
経済産業省 平成24年3月 第6回電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議報告書より
とあります。事業の発展のためのコストで支払利息及び株主への配当金等に充てるための費用だという説明です。
ただ、実際には、普通の企業の儲け(利益)に近い、という報道がたびたびなされています。普通の企業も儲けが出れば、それは支払利息及び株主への配当金等に使われます。
いずれにしても、電力会社は人件費や燃料費などの費用にこの報酬を上乗せし、家庭向け電気料金を決めるための「総括原価」を出しています。
他の会社は、自分の利益の中から、利息を支払ったり、株主への配当金を支払ったりします。
こういうことが出来るのも、「総括原価」だからです。
》 一般企業の利益にあたる事業報酬の計算方法にも問題があります。
事業報酬は上記で述べたように発電所などの事業資産額と研究開発などの投資額に一定割合(3~5%前後。会社およびその年によって異なる)の事業報酬率をかけて出します。
問題点になりやすい箇所として、事業資産×報酬率のうち、事業資産にかなり多くのものが含まれる事です。
例えば、具体的には、固定資産、建設中資産、核燃料資産、運転費、特定投資(研究開発費や資源探査など)が含まれます。
資産を増やせば報酬が多くなる仕組みです。
「原子力発電所を造れば造るほど、電力会社が儲かる仕組み」と言われるゆえんは、こちらにあります。
電力は、私たちの生活にはなくてはならない非常に公益性の高い基幹産業ですのでこのように手厚い保護が必要とされ、それは戦後の経済復興、産業が発展した高度成長期の時期には必要で重要なものでした。
総括原価方式は、発電所の建設をどんどん進めることが重要であった高度成長期の1960年に決められた古い制度ですが、その後50年以上、一度も見直されていません。
正確に言うと、総括原価方式の問題点と見直しは度々議論には上がりますが、様々な要因により見送られています。