二週間に及ぶ調査がようやく終了。
総勢六十四名もの患者さんのデータがとれた。
あとは僕の卒論指導担当学生のためにテーマを決めて、
僕の論文の構成を考えるだけだ。
詳しくは書かないけど、当初考えてた以上の成果が出て、今から解析するのが、ワクワクしている。
この結果を元に、来年治療介入出来ればいいな。
前半は入院病棟、後半は外来デイケアでの調査だった。
どちらでも昔馴染みの患者さんと沢山話しをすることが出来た。
入院病棟で、昔あんなに元気だった方が見る影もなく痩せ細って、覇気のない顔をしているのをみるのはさすがに辛かった。
外来デイケアで何年かぶりにあった患者とは、仕事を忘れ、昔話に花がさいてしばし話し込んでしまった。
僕のリハビリテーションの基本な考え方は、
『今日の満足と明日の希望』
たいそうな人生目標なんかいらない。
今日一日楽しく過ごせて、
明日に少しだけの希望があれば、
人はそう簡単に死のうなんて思わない。
だから、その手助けをするのが、
精神科リハビリテーションの仕事だと思ってる。
よって、
僕が考えるプログラムで一番大事にしていることは、
『間違いなく楽しいこと』
なのである。
例えば、釣り、という活動がある。
釣りを趣味に持つ人は、
釣りの魅力を色々語れるだろうが、
僕にとっての釣りは、
釣ってなんぼ、
食べてなんぼ、
なのである。
だから、デイケアで釣りに行くときも、
限られた時間をやりくりして、
事前リサーチなんかもしたりして、
必ず釣って、
さばいて、
料理して、
食べる、
ってとこまでをきちんと演出するわけ。
もう十年以上前になるか、
デイケアの活動で海に小アジを釣りに行ったっけ。
けっこう粘って二十匹ほどの小アジを釣って、
デイケアに着いた時はもう活動時間が終わっていて、
メンバーに「この魚どうします?」ってきいたら
ヘトヘトに疲れたメンバーは「職員が食べて」って帰ろうとするから、
そこを強引に引きとめて、
鍋に油を敷いて、
わたをとって片栗粉をまぶして、
カラッと揚げて塩をまぶして、
みんなで食べて残ったのをメンバーに持たせて。
最後は完全なる自己満足でメンバーを振り回してしまったけど、
これが僕にとっての釣りという活動の完成形。
十年たった今でも、
あの「釣り」に参加したメンバーは今でも語り草になっている。
「田中先生と行った釣りは面白かったねー。みんなで料理して食べてさ、美味しかったよね~。」って。
そういう楽しい思い出のひとつが、
今を生きる勇気になれば素晴らしいこと。
たとえそうでなくても、
十年メンバーの記憶の一部に楽しい思い出として生き続けるってすごい!
などと、
いまだに自己満足に浸ってる進歩のないワタシでした。