こんにちは。
 
「アロマテラピーの教科書」では、アロマテラピーの基本のキから実践的な知識まで、アロマテラピーを知って使えるようにするための情報をお伝えしてまいります。

 

アロマテラピーは、植物の芳香成分を利用して、心身の健康管理や美容に役立てる療法です。

 

この「芳香成分」は、植物にとってどんなものなのでしょうか。

 

最初に動物と植物の一番大きな違いは何でしょう。

 

  • 動物は動き回ることができるが植物は動かない。
     
  • 動物は、栄養分としてほかの生命を摂取しなければ生きていけないが、植物は自ら栄養を作り出すことができる。

例外はあるとして、この2つが大きな違いです。

 

植物は、動物のように動き回ることができませんが、餌をとらなくてよいので動く必要がないともいえます。

 

植物は、根から吸い上げた水と空気中の二酸化炭素と太陽の光があれば、光合成によりグルコース(ブドウ糖)を作り出すことができます。

 

化学式で書くと下のようになります。

植物は、光合成によって作られたグルコースをもとにほかの物質に変化させていき様々な物質を作り出します。
 
生物が生命維持のために外界から取り入れた物質を変化させる化学反応のことを代謝といいます。
 
代謝には、異化(細胞呼吸のように物質を分解することによりエネルギーを得るもの)と、同化(エネルギーを使って物質を合成する過程)があります。
 
代謝によって生みだされる化合物のうち、生物の生命維持に必要でほとんどの生物に普遍的に存在する化合物を一次代謝物といいます。
 
一次代謝物(一時代謝産物)からさらに二次代謝物(二次代謝産物)が作られます。
 
一次代謝物が欠如すると生命の危機に陥るのに対し、二次代謝物が欠如しても即時に死には至ることはありません。
 
ただ二次代謝物が欠如すると、長期において生物の生存や繁殖力、美しさにおいて障害を与えることがあります。
 
一次代謝物は、どの種にも共通しているのに対し、二次代謝物はその種に固有のものになります。
 
二次代謝物は植物の感染防御や環境への対応、生態系との相互作用のために生産されていると考えられます。
 

一次代謝物:
・エネルギー獲得系
・炭水化物、タンパク質、脂肪、核酸合成系

二次代謝物:生物が生産する生命現象に直接関与しない固有な化合物
・生命に絶対必要とはいえない反応。植物ではとくに発達している。
 
植物の芳香成分である精油は、二次代謝物になります。
 
植物はどのような目的で芳香成分をつくりだすのでしょうか。
 
まだわかっていないことも多いですが、次のような目的があると考えられています。
 
  • 誘引作用
    ・・・動くことができない植物が子孫を残すため、香気成分をだして昆虫などを引き寄せ、受粉できるようにしている。
     
  • 生育阻害作用
    ・・・他の植物との生存競争に勝つため、他の植物の成長を阻害する働きのある香気成分をつくりだす。
     
  • 忌避作用
    ・・・植物を食べる動物や昆虫などを遠ざけるために香気成分と使う。
     
  • 抗酸化作用
    ・・・DNAを傷つけたり、生体に対して望ましくない働きをする活性酸素からの攻撃から守るため、活性酸素を取り除く作用のある香気成分を利用する。
     
  • 抗微生物作用
    ・・・植物が、病気の原因となる微生物から身を守るために香気成分を用いている。
    微生物の活動を阻害したり、微生物を殺したりすることで、人間にとっての免疫や薬のように使っている。
     
  • 治癒作用
    ・・・人が怪我をして傷ができたときは、かさぶたを作って、微生物の感染から身を守り、血液が失われるのを防いでいる。
    植物は香気成分を使って傷口をカバーし、微生物の侵入を防ぎ、傷口から水分が失われるのを防いでいると考えられている。
    複数の香気成分を合わせて使っている。
     
  • 個体間コミュニケーション
    ・・・外敵から攻撃された植物が、近くにある同じ種の植物に香気成分をとばして、攻撃に備えるよう警告を発していると考えられる。

こうした目的で植物がつくりだした精油成分をわたしたちは利用させてもらっているのですね。
 
今日がすばらしい1日になりますように。