「王子二人―アルスラーン戦記〈2〉」 田中芳樹 | holic-comic

holic-comic

艶がについていろいろ。
基本、翔太くん推しです。

ひつこいけどインフルエンザA型にかかりまして、そのときに読んでいた本がよりによってこれ。
いや、面白いねんけども、ええねんけども、物理的に体力が落ちているときに著者の本気の政治的ドロドロなシーンを読むのはムリでございました。笑

(ほんで、らぶあま小説に切り替えた)

後日、体力が回復してからいそいそと読んだよ。やっぱり著者の本は集中して読まないとね!

しかし、アルスラーン一行の章は面白いんやけど、ルシタニア側のしょうもないおっさんばっかり出てくるくだりの、なんとも花のないこと。
花がないどころか加齢臭まで漂ってきそうなこのリアルさ、泣けるよ・・・(笑)。

でもここをしっかり書き込むから、世界観が立体化してくるし、こんな加齢臭のしそうなおっさんにすら波乱万丈な人生があるんやもんな(当たり前)・・・と、思ってしまうんだよね・・・。
ヒルメスはもちろん、ギスカールですらだんだん気の毒になってくるんやから、ほんまに・・・。

荒川氏の漫画も、それをアニメ化したシリーズも、見てみたいなあ。
音と動きが(しかも荒川氏の作画で)あったら、今の私のこのイメージが一層されそう。
うんうん、そうやな。ちょっとこれは春休みにでも時間を作ってアニメを見ようかな。


しかし、前巻はリニューアルされた光文社文庫で読めたのに、ここからは光文社文庫ではなく角川しか蔵書にないらしい・・・。残念・・・。
(しかしブクログには角川がなくて講談社で本棚入り)

だってこの巻のあとがきが、光文社文庫の1巻のあとがきやったと思うよ?
ほしたら角川文庫の1巻のあとがきはどこへ行った・・・って、もしかしてあとがきはなかったっけ? 著者ならありうる。

それにしても角川文庫版なら私も持ってたよ! 売ってはないけど手元にはない・・・。ほんで、私の持ってた文庫のほうがよほどきれいだ(笑)。
まあ、ええけどな。

1巻を読んでからかなり開いてこの巻を読んだので、次こそは間を開けずに読もう。たぶん。


どれも、どこを切り取っても面白い(と、いうか「へえ・・・」と、思ってしまう)ことが多いのだけど、今回は
「正義は星のように数かぎりなくある」
と、いうナルサスに、
「そうきたか・・・」
と、やや、ずううんとなった。笑

そうだよね。それぞれに正義がある。
それぞれに正義があってそれは悪くない。自分以外の正義を認めないことが、悪なんだよね。

自分以外の星を壊してしまおうとした時点で、それは星でなくなり、正義ではなくなるんやろうな。

そういわれると、ヒヤッとすんのよ。私はもしかして他の星を壊そうとしてへんやろうか、とか。

自由を与えたはずなのにそれを喜ぶどころか、今までの生活を返せと攻撃してきた奴隷にも、
「うわ」
と、思った。

なんせ、今、私が似たようなことをしているので。

それがいいだろうと上役をクビにしたけれど、果たしてほかの面子はそれを望んでいたんやろうか、と、この二か月ずっと迷ってる。
たぶん、誰もべつにそんなことは望んでなかった。

私から見れば
「そんな扱いをする人を代表として構えていて、いいの? そんな下に扱われて、いいの?」
って思うことも、ほかの人からするとべつにたいしたことじゃなかったんやね。
それよりも、面倒くさいことを引き受けてくれるなら、その見返りとして「上から目線」な、態度をとられても、まあ、お互い利害が一致してるなって思っていたのか、と、初めて気づいた。

そうか。じゃあ私がしたことは何の意味もなかったね・・・。
と、思ったのが、きつい。


でもそれがきついと感じるのは、私が勝手に
「誰かのためにしている」
と、いう理由を作って逃げようとしてるからかもな。

アルスラーンのように、
「だからって、奴隷であることに甘んじるのはおかしい」
と、いう筋がぶれなければ、
「解放しようとした自分が余計なお世話やったのか」
と、そこでは引っかからないんだもの。

やっぱり、自分の筋だよな。誰かのためではなく。自分に筋を通す「嫌われてもいい」って思えるほどの筋を持つこと。

けれどそれが誰かの星を壊すことになってはいけないという。

ああー、難しいよね。(;^ω^)
いやいや、大丈夫大丈夫。深く考えなくても、私はそんな道に外れたことはしない。大丈夫大丈夫。


■■■■


■屈託 (屈託がないとはよく聞くけど、屈託だけで使うのは知らんかった)

[名](スル)
1 ある一つのことばかりが気にかかって他のことが手につかないこと。くよくよすること。「―のない顔」
「人は只だ黄金 (おかね) のことばっかりに―して」〈木下尚江・良人の自白〉
2 疲れて飽きること。また、することもなく、退屈すること。
「―そうな顔をして、火箸 (ひばし) で火を弄 (いじく) っていた」〈秋声・足迹〉

(2017.01.27)